皮膚科医が「アトピーは治るの?」の質問に答えます

こばとも先生のスキンアカデミー
9 Sept 202106:42

Summary

TLDR筆界の小林智子が、アトピー性皮膚炎について解説する動画です。アトピー性皮膚炎は、乾燥肌、免疫異常、かゆみの3つの病態が複雑に関係して発症・悪化する病気です。炎症を抑えるためにステロイド外用薬を適切に使用することが重要ですが、患者さんの目標はアトピー性皮膚炎の「治る」ではなく、炎症をコントロールしてステロイドフリーを目指すことが大切だと説明しています。最近の新薬を活用することで、重症の患者さんにも炎症のコントロールが可能になり、すべすべの肌を取り戻すことも十分に可能になってきました。

Takeaways

  • 😊 こんにちは。筆界の小林智子です。今回はアトピー性皮膚炎をテーマにお話をします。
  • 😃 インスタのストーリーでアトピーに関する質問を募集したところ、「アトピーは治るのか?」という質問が非常に多く寄せられました。
  • 😕 アトピーが「治る」と言う表現が、患者さんと医師の間で認識のずれが生じる可能性があります。
  • 😮 アトピー性皮膚炎の3つの主な病態は、乾燥肌、免疫機能の異常、そして痒みです。
  • 💦 アトピー患者の肌はバリア機能が低下しており、水分を保持できない状態にあります。
  • 💊 炎症を抑えるために、ステロイド外用薬を適切に使用し、徐々に減量していく「プロアクティブ療法」が推奨されています。
  • 🤔 乾燥した肌のバリア機能の低下は残念ながら完全に回復することは難しく、保湿を続ける必要があります。
  • ⚕️ 最近では生物学的製剤などの新しい治療法が登場し、炎症をよりコントロールできるようになってきました。
  • 💯 最終的には、炎症をコントロールし、ステロイドフリーの状態で保湿を行えば、すべすべの肌になることが可能です。
  • 🎯 アトピー患者さんは、治るか治らないかに固執するのではなく、炎症をコントロールしステロイドフリーの状態を目指すことが大切です。

Q & A

  • アトピーとは具体的にどのような症状ですか?

    -アトピーは3つの主な症状から成り立っています。1つ目はドライスキン(乾燥した肌)、2つ目はバリア機能の低下(肌がダメージを受けやすい状態)、3つ目はかゆみです。これらの症状が複雑に絡み合って発症したり悪化したりします。

  • なぜアトピー患者の肌はバリア機能が低下しているのですか?

    -アトピー患者の肌は、水分を蓄える力が低下している状態にあるため、バリア機能が弱くなっています。そのため、肌から水分が蒸発しやすく、外的刺激を受けやすくなり、結果としてアトピー性の炎症を起こしやすくなります。

  • アトピーの標準的な治療法とは何ですか?

    -アトピーの標準治療法には、ステロイド外用薬を使用することが主要な治療法になります。ステロイド薬は強い抗炎症作用を持っており、肌の炎症を速やかに鎮めるのに有効です。ただし、副作用もあるため、使用量と期間には注意が必要です。

  • プロアクティブ療法とは何ですか?

    -プロアクティブ療法とは、ステロイド外用薬を最初は十分な量を使用して炎症を抑えた後、徐々に使用量を減らしていく方法です。この方法で薬の量をコントロールしながら、最終的にはステロイドフリーの状態で保湿剤のみで肌を健康に保つことができるようになることが目標です。

  • 中等症以上のアトピーでは?

    -中等症以上のアトピーの場合、ステロイド外用薬だけでは炎症がうまくコントロールできない重症のケースも存在します。しかし、最近では生物学的製剤を使った新しい治療法も登場し、これまでコントロール不良だった重症患者でも炎症を上手く抑えられるようになってきました。

  • アトピーが完治する可能性はあるのでしょうか?

    -残念ながら、アトピーはバリア機能の低下した肌の状態が根本的な原因となっているため、完全に治すことは難しいと言えます。ただし、適切な治療法を通じて、炎症をコントロールし、ステロイドフリーで保湿のみで管理できるようになれば、肌の状態は大きく改善する可能性があります。

  • アトピー治療の目標は何ですか?

    -アトピー治療の目標は、完治させることではなく、炎症をコントロールしてステロイドフリーの状態で管理できるようにすることが重要です。そのため、一時的に完治したと感じられても、保湿ケアを継続して行い、炎症のコントロールを維持し続けることが重要となります。

  • アトピーの改善には何が大切ですか?

    -アトピーの改善には、患者側でステロイド外用薬を正しく使用することが非常に重要です。医師の指示通りに十分な量を塗り、プロアクティブ療法を通じて徐々に減量していくことが、炎症のコントロールと長期的な改善につながります。

  • 患者と医師の間でアトピーの認識にずれがあるとのことですが、どのようなことが問題になっているのですか?

    -アトピーが治ったと言う解釈が患者によって異なります。例えば、ステロイドフリーになった状態や、肌がすべすべになった状態などです。このような認識のずれが医療不信につながる恐れがあるため、患者と医師間での意思疎通が重要になります。

  • アトピーに関する誤解を解消するために、患者に伝えるべき重要なポイントは何ですか?

    -アトピーを完治させることは難しいので、治るか治らないかに固執するのではなく、まずはステロイドフリーで炎症をコントロールできる状態を目指すことが重要だということを患者に理解してもらうことが大切です。適切な治療と保湿ケアを続けることで、肌の状態は大きく改善できる可能性があるということを伝える必要があります。

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