カセットテープ音の違いを検証する③
Summary
TLDRこのビデオでは、1991年に発売されたTASCAM 112カセットデッキの性能を掘り下げ、さまざまなカセットテープの性能を比較分析します。安定性と信頼性に重点を置いた業務用モデルであるこのデッキを通じて、メタル、ハイポジ、ノーマルの各テープの周波数特性、歪み、ヒスノイズを詳細に検証します。特に、録音レベルが高音質に与える影響や、ドルビーBノイズリダクションの効果についても触れ、最適な録音条件を提案します。最後に、カセットデッキの音質差の本質を解き明かし、オーディオ機器の評価に新たな視点を提供します。
Takeaways
- 😀 テープの種類と録音レベルによって周波数特性が異なる
- 😯 オーディオテープにはノイズ低減以外にも改善すべき課題がある
- 🤔 テープとデッキの相性が音質に大きく影響する
- 🧐 ドルビー処理は高域を落とす可能性がある
- 😮 メタルテープでも記録レベルを上げすぎると高音が出にくくなる
- 🥳 適切なバイアス調整でドルビーの高域低下もある程度緩和できる
- 🤨 変調ノイズがカセットテープの音質劣化要因の1つだが対策は難しい
- 😐 カセットデッキの機構設計も音質に大きな影響を与える
- 🤔 テープ走行の安定性が振幅ゆらぎや変調ノイズと関係が深い
- 😮 オーディオ機器の音の違いを定量的指標から明らかにできる可能性がある
Q & A
カセットテープの録音レベルはどの程度が適切ですか?
-メタルテープはドルビーマークから+4dB、ハイポジテープはノーマルテープと同じくドルビーマークから+1dBが最適です。これ以上上げると高域が出なくなります。
ドルビーをかけると音質が落ちる原因は何ですか?
-ドルビーをかけると高域が2dB程度落ちてしまいます。これはテープのバイアスがドルビー込みで調整されていないためです。バイアスをフラットに調整すれば防げます。
なぜカセットテープの音が濁るのですか?
-テープの走行のゆらぎによって発生する変調ノイズと、振幅方向のゆらぎが原因です。これらはテープとデッキの両方が関係しています。
カセットデッキの音の違いは何が決めているのですか?
-周波数特性と歪率の違いではなく、変調ノイズと振幅ゆらぎの違いがデッキの音の本質的な違いを生み出しています。
ダブルキャプスタンの効果とは何ですか?
-今回のスクリプトでは言及されていません。今後の検証課題として提示されています。
アルミダイキャストヘッドの効果はありますか?
-今回のスクリプトでは言及されていません。今後の検証課題として提示されています。
カセットスタビライザーの効果とは何ですか?
-今回のスクリプトでは言及されていません。今後の検証課題として提示されています。
maxell XL2の変調ノイズが少ない理由は何ですか?
-maxell XL2とこのカセットデッキの組み合わせがうまくマッチし、変調ノイズが少なかった可能性があると考えられます。
時間軸方向のゆらぎであるワウフラッターとは何ですか?
-音の周波数のゆらぎのことです。良いカセットデッキでは聴覚限界以下に抑えられています。
カセットデッキのアウトプットインピーダンスはどの程度必要ですか?
-今回の測定値は十分小さな値でした。ほとんど影響ないレベルといえます。
Outlines
😀 カセットテーブの基本特性
このパラグラフでは、様々なカセットテープの周波数特性と歪率の測定結果から、録音レベルを上げれば高音が出にくくなること、最適な録音レベルはメタルテープがドルビーマーク+4dB、ノーマルテープがドルビーマーク+1dBであること、ドルビーはノイズを減らす代わりに高域のドロップを招くことが分かった。
😖 テープとデッキの相性の影響
このパラグラフでは、テープ走行の不安定さに起因する変調ノイズがカセットテープの音を濁らせていること、このノイズはテープとデッキの相性に左右されること、高度なメカニズムを持つデッキで少なくできることが分かった。
😎 ドルビーの最適活用法
このパラグラフでは、ドルビーによる高域の落ち込みはバイアスをドルビー込みで調整することで防げること、調整できない場合は高域が強調されたテープを使う方法があることが分かった。
🤔 デッキの音の本質を数字で評価
このパラグラフでは、デッキの音の違いは変調ノイズと振幅のゆらぎ方の違いであること、これらの数値化で初めてデッキの音を評価できることが分かった。
Mindmap
Keywords
💡周波数特性
💡歪
💡ノイズ
💡ドルビー
💡バイアス
💡メタルテープ
💡ハイポジテープ
💡変調ノイズ
💡テープ走行
💡キャリブレーション
Highlights
カセットテープは録音レベルを上げれば上げるほど高音が出にくくなる
最適な録音レベルはメタルテープがドルビーマーク+4dB、ハイポジはノーマルと同じ
ドルビーを使うと高音が落ちるが、ドルビー込みでバイアスを調整すれば防げる
無視できないほどの変調ノイズがあり、これが音を濁らせる原因
テープ走行の不安定さが変調ノイズの原因で、テープとデッキの両方が関係
周波数特性と歪の違いでオーディオ機器の音が決まり、これは設定できる
デッキの音の本質的な違いは変調ノイズと振幅ゆらぎで、メカの出来栄えによる
これらの数値化で初めてデッキの音を定量的に評価できるようになる
技術者の情熱が音質向上のために注がれてきたが、その効果を検証していく
ダブルキャプスタン、アルミダイキャストヘッド、スタビライザーの効果を検証
カセットテープは録音レベルを上げすぎると高音が出にくくなる
ドルビー使用時の最適バイアス調整が高音落ち対策に効果的
変調ノイズが再生音質の決定的な要因の1つであることが判明
周波数特性と歪率の数値化によりオーディオ機器の音の違いを定量化できる
デッキの本質的な音の違いを数値化し、これまでの経験と勘に頼る評価を補完
Transcripts
皆さんこんにちは。
こちらはTASCAM112です。
発売は 1991年。8万6000円前後で販売されていたようです。
これは安定性と信頼性を重視して作ら れた業務用のモデルです。
音楽用のカセットデッキは70年代に 登場して、90年代まで作られました。
音質を良くするための情熱が、最も注がれた機器の1つです。
今回は、このデッキを使って、カセットテープの性能を詳しく見ていきます。
このモデルの主なスペックは、次の通りです。
エントリーモデルによく見られる、2ヘッドのシングルキャプスタンです。
周波数特性は、録音レベルが非常に小さい時の数字で、実際はこれほどよくありません。
これについては、後で詳しく見ていき ます。
前回は修理する様子をご覧いただきました。
今回はこのデッキを使って、カセットテーブの音を明らかにしていきます。
今回の測定に使ったカセットテープは ご覧の通りです。
メタル2本、ハイポジ3本、ノーマル2本です。
右上のマクセルURは、現在販売されているテープです。
それでは、測定結果を見ていきます。
まずは、音色を決定付ける周波数特性です。
この結果は、ノーマルテープの代表 TDK ADです。
録音レベルを変えて測定した結果を、見やすいようにレベルを揃えています。
ドルビーマークは2dBの位置です。
カセットテープは、録音レベルに比例して高域がドロップします。
ドルビーマーク付近では、12kHzまで記録できるようです。
他のテープはどうでしょう?
これはいろんなグレードのテープを、ドルビーマーク+1dBで録音した結果です。
メタルテープが、1番高音が伸びていて、16kHzまで記録されています。
ハイポジのSAは、ノーマルと大差ありません。
同じハイポジのSRは、ノーマルより高音が伸びない結果になっています。
maxelのURは、現在入手できるテープです。
一番高音が出ない結果になっています。
こちらは、録音レベルをドルビーマークから7dB上げた結果です。
メタルテープの特性が、10kHzに落ちています。
メタルの録音レベルを上げすぎると、ノーマルテープより高音が出なくなることが分かります。
ノーマルとハイポジのSAは大差ありません。
高音が伸びないハイポジのSRは、maxel URと同じくらいになってしまいました。
こちらは、高域が揃う録音レベルを調べた結果です。
これに従って録音すれば、どのテープも12kHzまで記録できます。
ノーマルのADはドルビーマークから+1dBです。
メタルテープのMAは、ドルビーマークから+4dBです。ノーマルテープより3dB余裕があります。
ハイポジのSAはノーマルと同じです。
ハイポジだからといって録音レベルを 上げると、ノーマルより高音が出ない結果になります。
高音が伸びないSRは、ノーマルより録音レベルを落とさないといけないようです。
歪を見ていきます。
これは録音レベルを大きくしていった 時の歪です。
線が下にあるほど、低歪です。
クリアに再生できる歪の目安は、3%です。
ハイポジはドルビーマークから3dB上げて録音できます。
ただし、先ほどご覧いたたように高域が落ちてしまいます。
こちらはメタルテープです。
ドルビーマークから4dB上げることができます。
高域の特性も4dBまでOKでしたから、実際に4dBまで上げて使うことができます。
こちらはノーマルテープです。
3%のポイントは、メタルと大差ありません。意外に優秀です。
ただし、線の傾きが大きいので、3%から上の歪はメタルより多くなります。
ヒスノイズを見ていきます。
ヒスノイズは、カセットテープの大きな課題でした。線が下にあるほど、ヒスノイズが小さいテープです。
1番上のmaxell URは、現在入手できるテープです。
かつて販売されていたテープに対して 明らかに性能が悪いです。
メタルはノーマルより、2、3dB低いようです。
メタルとハイポジは大差ありません。製品によって多少違いますが、大体同じくらいです。
ハイポジのSRは最も優秀です。
とはいえ、録音レベルを落とさないと高域が落ちるテープでしたから、
実質的には他のハイポジと同等です。
1番下はノーマルのADに、ドルビーBをかけた結果です。
メタルテープを使うとノイズが下がる、と言っても、
ドルビーの効果には敵わないことが分かります。
以上の結果から、ベストな録音レベルとノイズの低減量は次のようになります。
これは12kHzまで記録できて、歪とノイズを最小にできる最適な録音条件です。
このように周波数特性を揃えると、テープの違いは単にヒスノイズの違いになります。
この条件は今回の結果です。
ヘッドの性能によって結果が変わる可能性がある点に注意してください。
他の特性を見ていきます。
こちらはTDKのADに、正弦波の信号 を録音した結果です。
ヒスノイズの上にピークが立つのが理想ですが、裾野が広がっています。
これは、変調ノイズです。
ヒスノイズはドルビーで落ちますが、変調ノイズは落ちません。
変調ノイズは音を濁らせる要因で、しかも無視できない大きさで存在することがわかります。
他のテープはどうでしょう?
テープによって変調ノイズに差があります。
この中のチャンピオンは、maxell XL2です。
変調ノイズはメカとの相性もあります。たまたま相性が良かったのかもしれません。
こちらは、音のゆらぎを分析した結果です。
音のゆらぎには振幅方向と時間軸方向 の2つがあります。
時間軸方向のゆらぎのことを、ワウ フラッターと言います。
音質を重視して作られたカセットデッキのワウフラッターは、聴覚限界を下回ることがほとんどです。
振幅方向のゆらぎは4%もあって、ハイファイとはほど遠い数字です。
こんなに大きいのに、今まで問題視されてきませんでした。
振幅のゆらぎは、変調ノイズと同様にテープとデッキの両方が関係します。
ところでドルビーをかけると音が悪くなると言われています。
実際どの程度悪くなるのでしょう?
こちらはTDKのADにドルビーBをかけた結果です。
高域が2dBくらいドロップしています。
ノーマルテープにドルビーをかけると、高域が少し甘くなると思います。
こちらは、メタルテープの結果です。
ノーマルテープより少ない落ち込みで済んでいます。
このくらいなら、多分わからないでしょう。
ドルビーによる高域の落ち込みを防ぐ手段は、
録音バイアスを、ドルビー込みでフラットに調整することです。
バイアスを調整できないデッキの場合は、高域が強調されたテープを使うといいでしょう。
こちらは、アウトプット端子の出力インピーダンスです。
十分小さな値です。
低域にかけて上昇していますが、カセットデッキの低域は25Hzから下降していきますから、
ほとんど影響ないでしょう。
ガセットテープの音を聞いてみましょう。
今からお聞きいただくのは、次の音です。
今回はメタルテープの音と、ノーマルテープの音を比較します。
1番の原音は、音楽ソースそのものです。
2番は、メタルテープの音です。ドルビーはかけていません。
3番は、ノーマルテープの音です。ドルビーはBタイプをかけています。
録音レベルは、どちらも12kHzまで記録できる条件に設定しました。
メタルテープとノーマルテープに、音の違いはあるのか?
高価なメタルテープに価値はあったのか?
今回の視聴は、答えを伏せてお聞きいただきます。それではどうぞ。
いかがでしたでしょう?
A,B,Cのどれがメタルテープで、どれがノーマルテープだったか。
解った方は、結果をお聞かせください。
カセットテープに関して今回解ったことは次の通りです。
カセットテープは基本的に、録音レベルを上げれば上げるほど高音が出なくなります。
今回の調査で分かった最適な録音レベルは、
メタルテープはドルビーマーク+4dB、ハイポジはノーマルと同じでした。
ドルビーのノイズリダクションは使うと高音が落ちてしまいます。
この問題は、ドルビー込みでバイアスを調整することで回避できます。
バイアスを調整するためには、キャリブレーション機能が付いたデッキが必要です。
カセットテープの再生では無視できない変調ノイズがあって、
これがカセットテープの音を濁らせます。
原因はテープの走行不安定です。
これはテープとデッキの両方が関係する現象です。
高度なメカを搭載したデッキは、それなりに安定したテープ走行を実現していて、
変調ノイズが少ないと考えられます。
オーディオ機器の音の違いは、周波数特性と歪の違いでした。
たカセットテープの周波数特性はバイアスで決まっていて、歪は録音レベルで決まっています。
これらをキャリブレーションしてしまえば、どのデッキも同じ結果です。
カセットデッキの音の違いは、変調ノイズと、振幅のゆらぎの違いだったと考えられます。
この2つはメカの出来の良さ、つまりデッキの本質そのものです。
この2つに注目すれば、
今まで耳だけで語られてきたデッキの音を、数字で評価できるかもしれません。
カセットデッキは音質を良くするための技術に情熱が注がれてきました。
ダブルキャプスタンは、シングルとどう違うのか?
アルミダイキャストのハーフは、音が良かったのか?
カセットスタビライザーは、効果があったのか? の
今後これらの効果を検証して、カセットデッキの本質を明らかにしていきます。
ご視聴ありがとうございました。
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