【解説】量子力学って何?①奇妙な実験 なぜ「量子」と呼ばれるのか【二重スリット実験】
Summary
TLDRこの動画では量子力学の基礎と歴史について解説しています。光の波動説と粒子説の長い議論から、ヤングの二重スリット実験や光の量子化を通じて、量子力学の誕生を巡る過程を追跡します。また、プランクのエネルギー量子化仮説、アインシュタインの光子説、そしてボーアモデルによる原子の量子化についても触れ、これらの理論が過去の物理学では説明できなかった現象を明らかにする鍵であることを示します。
Takeaways
- 🌌 量子力学は日常とは異なる世界で、SFやオカルト、スピリチュアルなどのジャンルでよく取り上げられる。
- 📚 量子力学は物理学の一分野で、光の波動説と粒子説の議論から始まった。
- 🌐 ホイヘンスは光を波動と見なしたが、ニュートンは光を粒子の流れと見なした。
- 🔬 ヤングの二重スリット実験は光の波動性を示し、干渉模様が現れたことを証明した。
- 🕊️ 1982年の実験では、光の粒子性が示され、光が波動であるという考え方を疑問視した。
- 🔄 光は波動と粒子の両面を持つという量子力学の中心概念が徐々に明らかになる。
- 🔵 プランクはエネルギーの量子化を仮定し、黒体放射の現象を説明するプランクの法則を導いた。
- ⚡ アインシュタインは光を量子化された粒、つまり光子と見なして、光電効果を説明した。
- 🌈 ボーアは水素原子の量子化されたモデルを提案し、発光スペクトルを説明した。
- 🏆 プランク、アインシュタイン、ボーアはそれぞれノーベル賞を受賞し、量子化のアイディアが重要な突破をもたらした。
- 🔍 量子力学は物理学の基礎を大きく変え、これまで説明できなかった現象を解明する鍵となった。
Q & A
量子力学とはどのような学問分野ですか?
-量子力学は物理学の一分野で、原子や分子、基本粒子などの極めて微小なスケールの現象を研究しています。
量子力学とSF、オカルト、スピリチュアルの関係について説明してください。
-量子力学はSF映画などでよく取り上げられ、オカルトやスピリチュアルの文脈で誤解されることがありますが、科学的に厳密な物理学の学問です。
光の波動説と粒子説の議論はどのように始まりましたか?
-光の波動説はホイヘンスが提唱し、粒子説はニュートンが唱えました。長い間どちらが正しいか議論されました。
ヤングの二重スリット実験とは何ですか?
-ヤングの二重スリット実験は光の波動性を証明する画期的な実験で、光を2つのスリットから通過させ、干渉模様を観察します。
1982年の実験で光の粒子性はどのように示されましたか?
-1982年の実験では、光の出力を極限まで弱めた状態で二重スリット実験を行い、ポツポツと点がつくという粒子性を示しました。
光が波動であるとすると、スクリーンにポツポツと点がつく現象はなぜ説明できませんか?
-光が波動であるとすると、弱い波でも重なり合いが起こるはずであり、ポツポツと点がつくという現象は波動性からは説明できません。
光の波動性と粒子性の両立はどのように説明されていますか?
-光は波動と粒子の両性を持つとされています。これは量子力学の波動関数と粒子の性質を両立する量子力学的解釈です。
ブラックボディ放射とは何ですか?
-ブラックボディ放射とは、物体に熱を加えると起こる光の放射現象で、温度によって放射される色が決まります。
プランクの量子化仮説とは何ですか?
-プランクの量子化仮説は、エネルギーが飛び飛びの値しか取らないという仮説で、これがブラックボディ放射を完璧に予測できる法則を導くことに成功しました。
アインシュタインの光量子仮説とは何ですか?
-アインシュタインの光量子仮説は、光が波ではなく、hνというエネルギーを持つ粒であると仮定するもので、光電効果を説明するのに成功しました。
ボーアモデルとは何で、なぜ重要ですか?
-ボーアモデルは原子内の電子が特定の量子化された軌道しか存在できないという仮定に基づくモデルで、水素の発光スペクトルを説明することができました。
Outlines
🌌 量子力学と光の波動性
この段落では、量子力学の紹介と光の波動説の歴史について説明しています。量子力学は物理学の一分野であり、日常生活と異なる感覚を要求するため、SFやオカルト、スピリチュアルなどのジャンルで誤解されていることがあります。また、光の波動説と粒子説の議論が長く続き、1805年にトーマス・ヤングの二重スリット実験により光の波動性を実証し、光が波であると認識されるようになりました。
🔬 光の粒子性と波動性の両面性
この段落では、光が波動であるとされているにもかかわらず、実験で観察された光の粒子性について議論しています。1982年の実験では、光の出力を弱めることで、光が波動ではなく粒子であるという衝撃的な結果が得られました。しかし、粒子性と波動性の両面性は、光がスリットを通過し、最終的に波動的な干渉模様を形成する点で矛盾しています。この矛盾は、光がスリットを通過する瞬間に波から粒子に変わるとされる理論で説明できますが、これは直感に反する現象です。
🔄 量子力学の誕生とプランクの量子化仮説
この段落では、量子力学の誕生とマックス・プランクの量子化仮説について説明しています。1800年代後半に物理学では説明できなかった黒体放射現象があり、プランクはエネルギーが量子化されていると仮定し、プランクの法則を導き出し、黒体放射を完璧に予測できました。この量子化のアイディアは、物理学の常識を覆し、エネルギーが飛び飛びの値しか取らないという考え方を導入しました。
🏆 アインシュタインの光子説と光电効果
この段落では、アルベルト・アインシュタインがプランクの量子化の概念を応用して、光電効果を説明する光子説について紹介しています。光電効果では、金属に光を当てると電子が放出される現象が観察されており、アインシュタインは光を量子化された粒であると仮定し、光子と呼ばれるものを導入しました。この考え方で、光電効果の実験結果が完璧に説明でき、また、プランク定数が再び登場し、量子化のアイディアの重要性が強調されました。
🌈 ボーアモデルと原子の量子化
最後の段落では、量子化のアイディアが原子の構造にも適用され、水素原子の発光スペクトルを説明するボーアモデルについて述べています。ニールス・ボーアは、電子が特定の量子化された軌道しか存在できないと仮定し、電子がこれらの軌道間を移動する際に放出される光子のエネルギーが特定の波長と一致することを示しました。このモデルは、量子力学の基礎を築き、原子物理学における量子化の重要性を強調しています。
Mindmap
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Keywords
💡量子力学
💡波動説
💡粒子説
💡二重スリット実験
💡光子
💡プランク定数
💡黒体放射
💡光电効果
💡ボーアモデル
💡量子化
Highlights
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Transcripts
今回は名前だけならみんな一度は聞いたことがある 量子力学のお話をしていきたいと思います
量子力学は列記とした物理学の一学問なわけですが
そこから導ける内容が普段生活する中の一般的な感覚とは 相入れない内容になりがちなので
SF、オカルト、スピリチュアルといったイメージを お持ちの方もいるのではないかと思います
実際SF映画などで物語を最もらしく見せるためのエッセンスとして 量子力学の要素が使われているというのを一度は見たことがあるのではないでしょうか
オカルトやスピリチュアルの世界でも 量子力学で幸せになるための引き寄せの法則とか
量子エネルギーを波動に乗せるとか なんだかよくわからない文脈で量子力学というワードを使い
内容としては単なる自己啓発のものをそれらしく見せると そういう材料として使っているのをよく見かけます
ということでこの動画では量子力学とその歴史について 簡単すぎず難しすぎないような形でお話をしていこうと思っています
もし興味のない方もぜひ高評価ボタンを押して この動画を拡散していただいた上で睡眠用のBGMとしてお楽しみください
量子力学は光にまつわる謎から始まっています では光にまつわる謎の歴史から紹介をしていきましょう
そもそも光というものの存在は古くから知られていました ですがその正体をめぐっては長い間議論が繰り広げられてきた
そういう対象でもあります 1690年クリスティアン・ホイヘンスはとある本を出版しました
その中でホイヘンスは光の解説や干渉といった現象を 波の性質を用いて説明できるので光は波動であるという説を提唱しています
一方1704年アイザック・ニュートンはとある本を出版しました この中でニュートンは光が直進する性質や反射屈折する性質から光を粒子の流れと見なせるため光は粒子であるという説を唱えていました
どちらも言ってることが違うんですがどちらもそれなりに合理的ではありました こうして長らく光の正体は粒子説と波動説の両方があるという状態でした
ところがその100年後の1805年一旦光の正体に決着がつくことになります 1805年にトーマス・ヤングが画期的な実験二重スリット実験と呼ばれる実験を行いました
この実験で用意するものは3つです まず光を出すためのライトそしてその奥に2つのスリットを開けた壁
そしてそのさらに奥に光に反応して色がつくようなスクリーンを置いておきます それらをこんな感じに配置しますこれで準備完了です
さてこの状態でライトから光を放つとスクリーンにはどういう模様が現れるのでしょうか 実験の結果このスクリーンには次のような模様が現れました
シマシマ模様のようなこういう模様です このシマシマ模様は干渉模様といって2つの波が重なり合った時に現れる模様と一致しています
これを図にするとこういった形になります光の正体は波であると考えた場合 スリットから出てくる2つの波の重なり合いによってこのような模様が出来上がるということは知られていました
本当に波が重なり合ったらこんな模様になるのか 湖で実験している動画があったので見てみましょう
このように湖の水の上で2つのボールを同時に揺らして2つの波を作ります するとこの波はそれぞれが打ち消し合う部分と強め合う部分が生まれ最終的に先ほど示したような干渉模様が生まれるというのが
こんなシンプルな実験でも示せますよね 光が波であったとしてこれと同じことが光でも起きたというふうに考えるとヤングが行った二重スリット実験というのは説明できます
これにより光の正体は波動であるという決着がつけられることになります 1805年にヤングが行った実験はここまでです
そのため1800年代の間は光は波動であるというのが正解とされてきました
ですがこの実験には続きがあります このライトの出力を極限まで絞って同じ実験を行ってみましょうこの実験は1982年
浜松ホトニクスによって実際に行われた映像があるのでそれを見ていきます 光が波であるとすると出力を弱めたとしても薄い干渉模様は現れてくるはず
ですだってそうですよね波が弱かったとしても重なり合いは起こるはずです ではどんな結果になったんでしょうか
するとその結果スクリーンにはポツポツと点がつくようになりました この時点で光は波動であると考えていた人にとっては衝撃です
もし光が波であればこんな風にポツポツと模様がつくということが説明できません どんなに弱い波であっても重なり合いは起こって干渉するはずだしそうじゃなかったとしてもこんな風にポツポツと点がつくという結果は起こり得ないからです
この結果を受け入れようとすると光は粒子であると考えた方がどうも良さそうに見えます さてこの調子で実験を続けていきましょう
引き続き弱い光を当て続けますすると点の数はどんどん増えていきます 点はランダムについて言っているようにも見えますよねやっぱり光は粒子なのでしょうか
そして光を照射し始めて6時間後結果はこうなります 大量の点が明らかに干渉島を作っているように見えます
これは先ほど見た干渉模様と全く同じ模様のようです
ちょっと待ってください干渉模様というのは波が重なり合った結果生まれるものでしたよね 光が粒子であったとしたらこんな模様のような分布になるということが説明できません
ヤングが行った実験で干渉模様が現れたということは光は波であるという結論も合理的です でも光を弱めると確かにスクリーンにはポツポツと点がついているので粒子であるということも合理的です
でも不思議なのは光が最初から粒子であったとするとライトから発射された粒がスリットのどちらかを通ってスクリーンにぶつかって跡が残るという風に解釈するしかなく
こういう解釈をした場合この光の粒を打ち続ければ最終的にさっきの波の干渉模様になってしまうという点が説明できなくなります
波は両方のスリットを通るからこそ干渉という波の重なり合いが起こるからです 粒子が2つのスリットを同時に通るというのは考えられません
粒子だとか波動だというようなシンプルな表現でこの実験結果を説明するというのが難しくなってきました
一粒一粒は粒子なのに最終的に波と同じ結果になるというのは非常に直感に反します
これを光が波動だもしくは粒子だという二元論で考えようとするとこういうことになります
光はライトから放たれたら波として空間を進み二重スリットを波として通り抜けるので干渉が起こると
ただしスクリーンにぶつかる瞬間に突如姿が粒に変わるということですよね
ここまででもかなり直感に反した実験結果が得られているんですが さらにこのような実験をするともっと興味深い結果になります
今度はこのスリットそれぞれに光が通ったらお知らせしてくれるようなそういうセンサーをつけて光がどっちを通ったかがわかるようにしてみましょう
ついでにスリットに名前もつけてスリットAスリットBとしておきましょう
こうすれば光が一体どちらを通ったのかもしくは同時に通ったのか何かがわかりそうです
この状態で先ほどと同じ光を放つ実験を行うと面白い結果が得られます
まず実験結果としてセンサーには必ずどちらか片方しか反応せず同時に反応するということはありませんでした
では問題です最終的にスクリーンにはどんな模様が浮かび上がるのでしょうか考えてみてください
スクリーンにはこのような模様が浮かび上がりました
光の波としての性質である干渉模様が消えてしまっています
あたかも光が最初から粒子であるかのようです光がどちらのスリットを通ったのかを確認するだけで光が波であるかのような振る舞いがなくなってしまいました
この後センサーを外して実験をすると最初の実験のようにまた干渉模様が浮かび上がってきます
この結果でさらに光が波動だもしくは粒子だとシンプルに考えることが難しくなりました
光はライトから放たれたら波として空間を進み二重スリットを波として通り抜ける
ただしスクリーンにぶつかる瞬間に突如粒に姿を変えるここまではさっき話しましたが
スリットにもしセンサーがあった場合波として進んでいた光がセンサーで観測された瞬間粒に姿を変えそれ以降は粒として進みスクリーンにぶつかる
こういうふうに考えれば一応実験結果は説明できますよね ただし我々が持っている一般的な直感には反しています
でも事実としてこういう現象が起こっているわけでいくら直感に反する結果だったとしてもそれは受け入れざるを得ません
少なくとも言えるのは光が波動だとか粒子だという考え方そのものが成立しなくなっているという事実があるということがわかります
これが量子力学とどう関わってくるのでしょうか
では次になぜ量子という単語が生まれることになったのか紹介をしていきましょう
そもそも科学サイエンスというものは何らかの事実からそれを説明できる枠組みを作り上げていくこととも言えます
ある事実からこういった法則なんじゃないかと過程を置きその過程をもとに新たな実験を行ってその過程が事実と一致するのかどうかというのを確認していく
そういう作業なわけですよねそして1800年代後半当時の物理学では説明できない一つの現象がありました
物体に熱を加えると光り出すという現象ですこの現象自体は昔から知られていましたそれに皆さんも知っているはずです
金属を熱々に加熱したら赤く光っているという様子を見たことがあるはずです
火山噴火などでドロドロに溶けた岩石が赤く光っているっていうのもそうですよね
身近な例だとオーブントースターとかヒーターとかも熱を加えたら赤く光っているとそういうものを見たことがあるはずです
これは黒体放射という名前がついている現象で温度によって何色に光るのかというものは決まっています
物理学者は何度の時に何色に光るのかというような法則を説明しようと試みましたが一部分だけ説明できたものの全部を説明できる法則は
どうやっても今までの物理学からは導くことができませんでした
そこに1900年マックス・プランクが当時の物理学としては突飛なある仮説を立てた上でプランクの法則という法則を導きました
このプランクの法則をもとに黒体放射の周波数分布を予測した結果
なんと実験結果と完璧に一致するということが分かりました
この法則を導く際に立てた仮定がエネルギーは飛び飛びの値しか取らないというものでした
ここで示した式がEイコールnhνというものでEがエネルギーνが振動数です
そこにくっついているものがnとhです
nは整数そしてhは何かしらの定数です
このポイントそれはnが整数であるということです
整数ということは0とか1、2、3とかそういった飛び飛びの値しか取らないということです
nイコール1.3とか1.5みたいなものは存在しません
ということはEも0、hν、2hν、3hνといったように
hνを最小単位とした飛び飛びの値しか取ることができないということがこの式で示されています
こういうものを非連続的とか離散的とか言ったりします
これは感覚的に考えると受け入れられないことでした
物理学的な現象は連続的であることが当然だと考えられていたからです
まあものすごく極端に誇張した例を言うとすると
例えば水の温度は10度単位しか取り得ないと言うとどうでしょうか
その間の温度は存在しないというわけなんですが
感覚的におかしいと思うんではないでしょうか
だって水を温めていったら10度になったと思ったら
急に20度になり急に30度になり
その間の15度とか23度とか
そういった数字は存在しないと言ってるわけです
エネルギーが飛び飛びになってるっていうのは
そのぐらい突飛なことなんですよね
そのようなイメージで感覚には反していますが
とにかくプランクがエネルギーが飛び飛びの値しか取らないということを仮定すると
黒体放射を完璧に予測することができます
エネルギーEがhνという最小単位として
Eイコール0hν2hν3hνという飛び飛びの値を取る
この最小単位まとまったエネルギーのことを量子と呼ぶことにしました
量子は英語でQuantumと書き
これはラテン語から来ているそうで
どのくらいのという意味があるらしいです
よく聞く英単語のQuantityとかQualityとか量とか質って意味ですが
こういう意味の単語の語源と同じ語源です
プランクはhνというひとまとまりになっている
量の最小単位のことを量子と呼ぶことにしました
そしてこのようにエネルギーが量子を単位にした形となっているという仮説を
エネルギー量子仮説と呼ぶことにしました
先ほどもお話ししたようにこの仮説は直感には反していますが
そうすることによって黒体放射が説明できるということも事実です
またここで使ってきたhという定数は黒体放射の実験がぴったり再現できる値として
6.6×10-34乗という数字で定義されました
今ではこの定数はプランク定数と呼ばれる重要な定数になっています
これが量子力学という学問の始まりです
ただしこれは今だからこそ言える話で
当時はただ黒体放射を説明するためだけに無理やり設定されたようにも見える
大した意味もなさそうな法則でした
この5年後の1905年アルベルト・アインシュタインがこの概念をさらに発展させることになります
当時の物理学で説明できなかった現象の一つに光電効果という現象がありました
これは1800年代に見つかっていた現象で
金属に光を当てると電子が放出されるという現象です
この光電効果は様々な実験がされた結果次のような法則があるということが分かっていました
ある一定以上の振動数の光でなければ電子の放出は起こらない
光の強度を上げると放出される電子の数は増加するが電子のエネルギーは変わらない
光を照射した瞬間に電子が放出されるこの3つですね
ですがなぜこうなるのかというのは説明できませんでした
最初にもお話ししましたが1800年代において光の正体は電磁波「波」であると考えられていました
光が波であるという証拠は多数あり
すでに光が波であるということを前提にマクスウェルが電磁気学というものも完成させていたためです
ただし光が波であるとすると先ほどの実験結果の説明ができないというのが難問でした
もし光が波であった場合たとえ振動数が低くても長時間光を当て続ければ電子を放出するのに必要なエネルギーは溜まるはずですし
光の強度を上げると放出される電子のエネルギーが増加するはずだからです
そんな謎が多い光電効果ですがアインシュタインはプランクが考えた量子化の概念を光にも当てはめてみることにしました
つまり波であると考えられていた光ですが実はhνというエネルギーを持った粒の集合体であり
それらが集まってエネルギーEイコールnhνという集合になっているという考え方です
つまり光をhνという単位で量子化したということです
ちなみにこの光の量子一粒を光子と呼んでいます
こう考えることによって光電効果の実験結果はすべて説明できました
ある一定以上の振動数の光でなければ電子の放出が起こらないのは光子一粒のエネルギーは振動数によって決まるので
電子を弾き出すために必要なエネルギーは振動数によって決まると言えるためです
光の強度を上げると放出される電子の数が増加するが電子のエネルギーは変わらないというのは
光の強度を上げても光子の数が増えるだけであり光子一粒が持っているエネルギーは変わっていないためです
光を照射した瞬間に電子が放出されるというのは光子が粒であり金属に衝突すると即座にエネルギーが電子に伝わるためです
このようにアインシュタインは光を量子化された粒であると仮定し光電効果の実験結果を完璧に説明しました
ここでも量子化というアイディアから当時謎だった実験結果を完璧に説明できてしまったわけですよね
そして光電効果の実験結果からhが何なのかという数字を計算してみました
するとプランクが黒体放射を説明するときに設定した6.6×10-34とぴったり同じ数値となりました
黒体放射と光電効果全然関係ない全く異なる2つの実験の説明において
ぴったり同じ定数のhが導けてしまったというのは偶然にしてはできすぎています
ということはこの量子化という考え方が何かの本質を捉えているんだろうということがだんだんわかってくるんですよね
ちなみにアインシュタインはこの功績によりノーベル賞を受賞しています
量子化という考え方がとある実験結果を説明できた例をもう一つ紹介します
それは発光スペクトルと呼ばれるものです
皆さん空にかかる虹を見たことはあるかと思います
青色から赤色まで様々な色が見えると思うんですが
あの現象は空気中の水分によって太陽の光が分解されたために起こります
光の正体は電磁波であると考えられているという話は先ほどしましたが
太陽から届く電磁波というものは様々な波長のものが混じり合っています
電磁波はその波長によって呼び方が変わっていますが
波長がまあだいたい400nmから800nmくらいの電磁波を人間は目で見ることができます
目で見える電磁波のことを人間は光と呼んでいるわけですが
この電磁波波長ごとに分解をすることができます
電磁波を分解する装置は分光器と呼ばれます
実際にね私このちっちゃい分光器を持ってるんですが
これを使って太陽を覗くと綺麗に虹色が見えます
一方これを使って蛍光灯の光を覗くと線のようになっているものが見えます
これはつまり特定の波長の光しか出ていないということを意味します
この理由としては蛍光灯の管の中にとあるガスが入っているからなんですが
実はガスの種類によって発光する波長というものが違っています
これを発光スペクトルと呼んでいます
同じように水素ガスに電気を流した時の光を覗いてみると
こんな感じに見えます
このように4本線があるように見えるんですよね
このこと自体は昔から知られていました
ただしなぜこのように線が見えるのかという理由は今までわかっていませんでした
物理学者のニールス・ボーアは水素原子の構造を考え
原子の中にいる電子は特定の飛び飛びの軌道にしか存在できないという仮定を考えました
言い換えるとこれはまさに電子の軌道を量子化するということです
ボーアは量子数nというものを考え
nによって決まる軌道でしか電子は存在できないというふうに仮定しました
電子の軌道が量子化されているということは
当然その電子が持つエネルギーも量子化されていることになります
そしてある軌道の電子がある軌道に移った時に
その軌道のエネルギー差にあたるエネルギーを一個の光子として放出するんだと
そういうふうに考えました
これをボーアモデルと呼んだりしますが
このボーアモデルを用いると水素の発光スペクトルが完璧に説明できるようになりました
この図で示すようにある軌道を占めている電子が
別の軌道を占めるようになった時のエネルギー差というものを計算すると
先ほどの水素のスペクトル線の波長と完璧に一致します
ちなみにこの図には他の線もありますが
水素のスペクトルというのは実は4本だけではなく
目で見えない波長の部分にも何本か線があり
ボーアモデルはそのスペクトルについても完璧に説明することができました
ニールスボーアはこれらの業績によってノーベル賞を受賞しています
ちなみにこのボーアモデルは今となっては正確なモデルではないんですが
原子を量子力学的に考えた初めての例ということでとても有名です
このようにプランクやアインシュタイン、ボーアらが量子化というアイディアで
今まで説明できなかったことが説明できるようになったという例をお話ししてきました
何かしらの量が連続的ではなくとびとび理算的になっているという量子化というアイディアは
今までの常識をひっくり返すような突飛で極端な発想でした
でもその発想によって今まで理由がわからなかった現象を3つも解明してしまったわけなので
やっぱり量子化という考え方は何かの本質を掴んでいるんだろうとそういうことですよね
ということでここまででプランクやアインシュタイン、ボーアといった天才たちが
量子化というアイディアを使って物理学の難問を解決する様子を見てきました
次回ではこの量子化というアイディアが発展し量子力学と呼ばれる学問になる歴史を見ていくことにします
次回動画は概要欄とコメント欄に記載しておくので見てみてください
ということで今回の動画は以上です
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ご視聴ありがとうございました
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