日本はなぜ世界の国際政治のリアリズムを理解できないのか①|伊藤貫×室伏謙一
Summary
TLDRこのスクリプトは、日本の国際政治の理解とリアリズム外交の重要性について議論しています。日本の政治家や官僚がリアリズムを理解していなかった理由を探り、日米同盟の誤解を指摘し、現実の国際政治の厳しさと力関係を強調しています。また、アメリカの外交政策の変化と、中国、ロシア、インドなどの国々がリアリズム外交を推進している現状を分析しています。日本の対米依存政策が将来的にリスクをもたらす可能性について警告し、日本の自主防衛能力の強化を促進しています。さらに、将来の国際政治の見通しについても触れており、日本人がリアリズム外交を理解し、自国の安全保障を強化する必要性を訴えています。
Takeaways
- 🤔 日本人の国際政治理解の欠如:一般的な日本人や官僚、政治家が国際政治のリアリズムを理解していないと指摘しています。
- 🇯🇵 日米同盟の誤解:日米同盟が永遠の同盟ではなく、戦略的関係であることを強調しています。
- 🌐 平衡オブパワーの議論の弱体化:欧米諸国でバランスオブパワーの議論が過去150年で弱まってきて、最近30年間はさらに顕著になっています。
- 👎 アメリカの対外政策の偏り:アメリカの過去の大統領や政治家がバランスオブパワー外交を実行していないと述べています。
- 🇺🇸 トランプとバイデンの外交政策:トランプは孤立主義者であり、バイデンは世論に流されがちな外交政策をとっていると分析しています。
- 🚫 日本の自主防衛の無視:日本の外務省や防衛省、自衛隊の上層部が自主防衛の重要性を認識していないと危惧しています。
- 🧐 核戦略理論の無知:日本の政治家や自衛隊の上層部が核戦略理論に無知であり、それが日本の安全保障に悪影響を及ぼす可能性があると警告しています。
- 🌍 ブリックスの台頭:中国、インド、ロシアが中心となって布里ックスを通じてアメリカの影響力に対抗していると見ています。
- ⏳ リアリズム外交の再興:将来的にリアリスト外交が再び主流になる可能性があると予想しています。
- 🇨🇳 対中戦略の不明確さ:日本の対外戦略が不明確で、中国やインド、ロシアなどの国々と比較して不利に立っていると述べています。
- 📚 学術研究の不足:日本の政治家や官僚が国際政治学や核戦略理論の優れた文献を十分に読んでいないと指摘しています。
Q & A
日本の一般市民や官僚、政治家が国際政治のリアリズムを理解できない理由は何ですか?
-日本の人々は過去1600年か2000年の歴史の中で、外国との軍事紛争に本格的に巻き込まれたのは50年間だけであり、その経験が乏しく、現実の国際政治の厳しさとリアリズムを理解するのが難しいとされています。また、アメリカによる安全保障の存在と、その影響下にある日本の政策や考え方から、自主防衛の必要性を認識していないとも指摘されています。
日米同盟の関係をどのように説明する人がいましたか?
-ある外務省の人が、日米同盟は醤油の貸借りをする隣人のような関係だと説明しました。これは、同盟関係が永遠的なものではなく、状況によって変わることがあるというリアリズムの考え方を無視しているとされています。
欧米諸国でリアリスト外交がなぜ弱まっていくとされていますか?
-最近30年間で、特に1991年のソ連崩壊以降、欧米の言論人や政治家はバランスオブパワーの議論をやめて、アメリカ中心の世界秩序を支持する無責任な態度をとるようになったとされています。これにより、リアリスト外交の重要性が認識されなくなっており、欧米諸国で弱まってきていると指摘されています。
ブリックスやブリックス2とは何ですか?
-ブリックスやブリックス2は、アメリカの外交に追従しない独自の組織であり、中国、インド、ロシアなどが中心となって作られています。これにより、世界的GDPの40%以上を占める経済力を持ち、アメリカの影響力に対抗する力を持つようになっています。
日本の外務省や防衛省、自衛隊の上層部が抱える問題とは何ですか?
-日本の外務省や防衛省、自衛隊の上層部は、アメリカの影響を受けすぎており、自主防衛能力を強化しようとする考えが弱く、核戦略理論についても深く理解していないとされています。また、国際政治学や核戦略理論家の著作を十分に読んでいないため、リアリスト外交のパラダイムに基づいた議論を行っていないと指摘されています。
日本の対米依存政策が将来的にどのような影響を及ぼすと予想されますか?
-日本の対米依存政策は、将来的に失敗を招く可能性があり、数年後または10数年後にその影響が顕在化する可能性があります。これは、アメリカの世界支配能力が低下していく見通しであり、日本が自主防衛を強化しないままでは、安全保障上の問題を抱える可能性があるからです。
最近のウクライナ戦争についてリアリストの観点からどう評価されますか?
-リアリストの観点から、ウクライナ戦争は全く必要ない戦争であり、アメリカの知的立場が劣化しているとされています。また、戦争によって、アメリカの立場が東アジアにおいて不利になり、中国とロシアの協力関係が強まっていると指摘されています。
日本の政治家や大学教授がリアリスト外交を理解しない理由は何ですか?
-日本の政治家や大学教授がリアリスト外交を理解しない理由は、最近100年間の欧米の知識人や言論人が徐々にバランスオブパワーの外交論をやめ、アメリカ中心の世界秩序を支持する無責任な態度をとるようになり、その影響を受けているとされています。
中国、インド、ロシアのリアリスト外交の研究状況はどうですか?
-中国、インド、ロシアではリアリスト外交を徹底的に研究しており、アメリカの国際政治支配力が低下していくことを見越して、自国の外交と軍事政策を設定しているとされています。これらの国はブリックスを作ってアメリカの外交に追従しない独自の組織を作っており、将来的な国際政治の流れを読み替えていると見られます。
日本の外交政策は将来的にどのような変化を見られると予想されますか?
-日本の外交政策は、現在の対米依存政策が持続する限り、自主防衛能力を強化しなければならず、アメリカの影響力が低下する中で独自の外交戦略を築かなければならないと予想されます。また、将来的にリアリスト外交が再び主流派になる可能性があるため、日本の政治家や学者がリアリズムの考え方を理解し、実践する必要があるとされています。
最近の国際情勢について、どのような見解がありますか?
-最近の国際情勢は、アメリカの支配力が低下しているという見方から、中国、インド、ロシアが自国の利益を追求する独自の外交政策を展開しているとされています。また、欧米諸国はアメリカ中心の世界秩序を支持する姿勢を強めており、将来的にリアリスト外交が再び注目される可能性があると予想されます。
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