【感動する話】社長の推薦で取引先の大企業の社長令嬢とお見合い。「え、俺…!?」当日、お見合い相手を見ると「君はあの時の…?」【いい話・朗読・泣ける話】
Summary
TLDR物語は主人公・五藤涼介と佐々木社長の令嬢・恵の出会いと成長を描く。涼介は貧しい家庭出身で、苦労を乗り越えて会社で成功を収めた。一方、恵は父の会社での就職を悩んでおり、涼介との出会いが彼女を変える。二人は過去に子どもの頃に出会い、涼介の初恋だった恵を再会し、彼女の悩みを支える。最終的に、恵は自分の道を選び、涼介との関係も恋人として深まる。
Takeaways
- 👨💼 スクリプトの主人公は、高卒で地元の公立高校を卒業後、父親の説得で進学し、その後も家庭を支えるため働いていく経緯がある。
- 👨👩👧👦 主人公は5人兄弟の長男で、家族7人で生活しており、経済状況が苦しくも両親は平等に愛を与えて育ててくれた。
- 👦 主人公は高校卒業後、父が亡くなり母と共に家計を支えるようになり、弟妹の将来を考えるためにも努力を続けた。
- 💼 職場では、主人公は高卒ながら評価され、昇給にも恵まれ、プロジェクトリーダーのポジションまで上達した。
- 🤝 主人公は取引先に紹介され、社長令嬢との食事会を通じて、社長令嬢と出会い、お見合いという形で接近する。
- 👸 社長令嬢は、実は社長の連れ子で、小学生の頃から苦労を経験しており、主人公に昔会ったことがある。
- 💔 主人公と社長令嬢の関係は、最初は緊張や誤解が交わり、食事会で意見の衝突が起こる。
- 🌟 社長令嬢は主人公の真っ直ぐで優しい人柄に心を動かされ、徐々に打ち解ける。
- 👫 経緯を共有し合い、主人公は社長令嬢を守る兄のように、そして恋人として受け入れる。
- 🏢 職場でのトラブルにも関わらず、主人公は契約を維持し、クライアントからの信頼を得ることができた。
- 💕 物語の結末では、主人公と社長令嬢は恋人として関係を深め、将来に向けて共に前進する。
Q & A
主人公の名前は何ですか?
-主人公の名前は五藤涼介です。
主人公の家庭構成はどのようなですか?
-主人公は5人兄弟の長男で、父親、母親と兄弟5人で育ちました。一番下の妹とは10歳の差があります。
主人公が高校を卒業した後の進路はどうでしたか?
-主人公は高校卒業後、進学せずにすぐに就職し始めました。
主人公がなぜ高卒で働くことになった背景はありますか?
-主人公の家庭は裕福ではありませんでした。父親の言葉と母の働きから、高校卒業までが目標とされ、その後は働くことになりました。
主人公が会社でどのようなポジションに就いているか教えてください。
-主人公は会社でプロジェクトリーダーとして働くことが増え、評価に基づいた昇給をされています。
主人公が社長令嬢とのお見合いはどのように進められたのですか?
-主人公の会社での取引先の社長が、主人公と社長令嬢との食事会を提案し、お見合いを進めました。
社長令嬢の名前は何で、彼女はどのような人物ですか?
-社長令嬢の名前は恵(メグミ)で、写真以上に綺麗で、主人公とは昔会ったことがある人物です。
主人公と恵さんが過去にどういう関係があったのですか?
-主人公と恵さんは子供の頃、田舎の小学校で知り合い、主人公の妹が恵さんを守ってくれる存在でした。
恵さんが主人公に対して抱いていた感情はどのようなものでしたか?
-恵さんは主人公を初恋の人に思い、優しいお兄ちゃんとして慕っていました。
主人公と恵さんの関係はどのように変化していくのですか?
-主人公と恵さんは大人になって再会し、お見合いから始まった関係が進展して、最終的には恋愛関係に発展しました。
主人公が会社で直面した問題とは何でしたか?
-主人公は会社のプロジェクトの担当者である河野によって、打ち合わせの時間を意図的に変更され、遅刻したように仕向けられました。
主人公が最終的にどうやって会社での状況を改善したのですか?
-主人公は佐々木社長からの紹介クライアントとの本契約が成立し、その評価に基づいて会社での状況を改善しました。
Outlines
😌 運命のいたずら
主人公五藤涼介は、取引先の社長から突然のプロポーズを受ける。社長の娘と食事会を兼ねたお見合いを進めることに。五藤は裕福ではない家庭で育ち、高校卒業後すぐに働き始め、兄弟の長男として家族を支えることになる。彼は職場での実力に認められ、プロジェクトリーダーに抜擢される。しかし、五藤は自分と社長の娘との間には秘密があると感じる。
👔 格好の重要性
五藤は河野とのプロジェクトリーダーとしての初回ミーティングでリーダーに選ばれる。河野は五藤が部長に選ばれた理由を尋ねるが、五藤は自信に乏しい。河野はエリートで、五藤とは教育背景も違う。食事会が決まったことで、河野は五藤に服装について注意を促す。五藤は河野との関係に微妙な緊張を感じる。
🍽 食事会の裏事情
五藤は高級ホテルのフレンチレストランで取引先社長の佐々木と娘の恵との食事会に出席する。佐々木社長は五藤の実家事情に興味を示し、五藤は自分の苦労話を話す。社長は五藤の努力を高く評価し、娘の恵と食事会を提案する。五藤は緊張と困惑の中、社長の申し出を受け入れる。
😳 恵との出会い
五藤は恵とレストランで出会う。恵は予想外の美しさで五藤を驚かせる。食事会中、恵はほとんど言葉を発さず、五藤も言葉に詰まる。社長が席を立った後、恵は突然五藤に激しい言葉を投げかける。五藤は困惑し、自分の格好について恵から指摘を受ける。
😖 恵との緊張の对话
五藤と恵の对话はさらに緊張し、恵は五藤の貧しい出身について非難する。五藤は自分の苦労を誇るわけではないが、恵の態度に傷つく。恵は五藤が貧しい出身を売りにしていると誤解し、食事会を終わらせ、五藤は失意の中で家に帰り、河野に非難される。
😓 再会と誤解の解消
社長から再会を提案される五藤は、恵との間に誤解が解けないままでいる。社長は五藤に娘のことを話すが、五藤は自信を失い、会うことをためらう。しかし、社長は恵が五藤に助けられたと言っており、五藤は会うことになる。
👗 ショッピングデート
五藤は恵とショッピングデートを楽しむ。恵は五藤の服装に不満を表明し、彼を服を買うように説得する。五藤は恵のファッションセンスに驚くが、デートの後、二人は少しずつ打ち解け始める。就職の話は避けられ、代わりにショッピングとデートが中心になる。
😡 恵を守る
五藤は雨の中、恵が男に絡まれているのを目撃し、彼女を守る。恵は五藤に感謝し、自分の父の会社と関係を語る。五藤は恵を励まし、彼女が父と向き合うべきだと促す。恵は五藤の優しさに触れ、二人は駅まで向かう。
😓 仕事の危機
五藤は打ち合わせの時間を忘れてしまい、クライアントに失礼をする。河野はこの機会を利用して五藤を責める。五藤は河野の策略に気づき、自信を失う。しかし、社長は五藤の契約を成功させ、彼を賞賛する。
😌 恵との過去
恵は五藤に幼い頃のことを語り、五藤は彼女の初恋の人であったと気づく。恵は五藤の優しさに触れ、二人は過去の記憶を共有する。五藤は恵の初恋の人であり、今も彼女の恋人になりたいと決意する。
💑 恵との未来
五藤と恵は恋人として関係を深める。恵は大学を卒業し、父の会社ではなく、自分の選択で就職する。五藤は仕事で成功し、恵との関係も着実に進む。二人は未来を共に築き、家族の愛を育む。
Mindmap
Keywords
💡お見合い
💡貧困
💡家族
💡自己犠牲
💡社会的地位
💡就職
💡恋愛
💡自己認識
💡成功
💡初恋
Highlights
主人公は取引先の社長から、自分の娘との食事会を提案される。
主人公は高卒で、家庭は裕福ではないが、親の支持で高校まで学び続けた。
主人公の父は中卒で働き、子供たちに学びの機会を与えたいと説得。
主人公は高校卒業後、父の死により母と共に家計を支える責任を負う。
主人公は会社で評価され、プロジェクトリーダーに任命される。
河野は主人公に対する懐疑的な態度を示す。
主人公は高級レストランでの食事会で、見合いのプレッシャーを感じる。
社長令嬢は主人公に衝撃的な秘密を明かす。
主人公は会社での地位を問われ、自分の価値について考える。
主人公は河野の策略的行動に直面し、プロジェクトが脅かされる。
社長は主人公に謝罪し、娘の誤解を解く。
主人公と恵さんは共通の過去を共有し、互いの理解が深まる。
恵さんは父親との関係を改善し、家族への愛情を再確認する。
主人公は会社での地位が確固たる存在になる。
恵さんは主人公への愛を表明し、恋人として関係を確立する。
主人公は自分の貧しい出身を乗り越え、自信を持つようになる。
主人公と恵さんは将来に向けて、共に進むことを誓う。
Transcripts
よかったら今度娘と食事をしてみないかあ
え取引先の社長との食事会で平社員の俺が
美人社長令嬢とのお見合いを進められた
こんな美人と食事社長令嬢となんで高卒の
地味な俺がこんな美人とおお見合い狐に
つままれたような思いで迎えたお見合いの
日
俺の目の前に現れた社長令嬢は顔をあめて
言うのだった私のこと覚えてますかずっと
会いたかったんですそれは運命のいたずら
とでも言うべきだろうか俺と彼女の間には
ある秘密があったのだった俺の名前は五藤
涼介俺はお世辞にも裕福とは言えない家庭
で育った父親と母親兄弟が5人俺は5人
兄弟の長男で1番下の妹とは10歳離れて
いる田舎の小さな子かし屋に家族7人毎日
毎日白米やうどんを大盛りで食べ肉野菜を
思いっきり食べるなんてできなかったそれ
でも両親2人は俺たち兄弟を分け隔てなく
愛し育ててくれたと思う余裕のない経済
状態でも最低限高校まではと両親は俺を
高校に行かせてくれた本当は進学せずに
働こうと思っていた俺を説得したのは父親
だ父さんは中卒で働き口に苦労したお前ら
の時代はきっともっと苦労することになる
そんな父の移行から俺は地元の公立高校に
入学した特にバイトを禁止にしている学校
ではなかったので高校からはバトし少ない
ながら家計の足しにと親に渡していた
毎月給料日に茶ブートを渡すたび
ありがとうと申し訳なさそうにする母の顔
が忘れられないバイト代は家に入れるお金
とは別に自分の小遣いとしても少し貯めて
いたとはいえ学校終わりにはほぼ毎日
バイトに開けくれていた俺にはお金を使う
ところがなく玉の休みに下の兄弟たち特に
一番可愛がっていた末の妹と出かけたする
ことが多かったこの年の離れた妹は気が
強い上が男4人の末に生まれた妹は兄たち
と対等に喧嘩をして育ち今では誰も妹に口
では勝てないほどだ小学校低学年の頃は
クラスの男子と喧嘩をし学校から呼び出さ
れるのもしちで両親が共働きだったこと
から長男の俺が迎えに行くことも多く少々
心配になるお天場ぶりだった俺が迎えに
行くと妹は反省なんかしちゃいない顔で
よっ驚けて見せるからお前なあと俺は
ため息しか出ない叱るべきところだが俺が
それをしなかったのはケラケラと笑う妹の
横にはいつも俯いて泣きべそを描いている
女の子がいたからだ妹と真逆の物静かな
その子は男子によくいじめられていたよう
で気が強けりゃ正義も強い妹はその男子
たちと喧嘩をしていたの
だ妹と一緒にその子も連れて帰るのが定番
になっていた帰り道では喧嘩っぱやい割に
甘えなところのある妹が俺に音部をせがむ
のも定番になっていたお兄は大きいなと
高校に入る頃には180cmを超えていた
俺のせで妹は楽しそうに笑っていた時には
焼きもちを焼く妹が可愛くてと妹の友達の
女の子を音部することもあった俺が高校を
卒業後すぐに状況して働き出すことにした
のは俺が高校2年になる頃父が亡くなった
からだ母は父がいなくなってしまったこと
を悲しむ暇もなく仕事を増やして働いて
くれた俺もバイトを増やしてさらに家にお
金を入れるようになったりすごめんね高校
卒業の日母は疲れた顔で泣きながら俺に
謝っていた卒業と同時に就職した会社では
高卒と大卒で初任休こそ違うものの
しっかりと評価に基づいた昇給をして
くれるおかげで30を超えた俺の給料は
決して低いということはない下の兄弟たち
がやりたいことをできる環境にしてやり
たくて俺は今でも実家に仕送りを続けて
いるが来年には妹が大学を卒業するから
もう仕送りはしなくていいと母から言われ
ている主人としてプロジェクトを担うこと
も増え俺なりに順調に生活しているつもり
だ確かに金で苦労はしたが高校までは行け
と言ってくれた父の言葉と高校卒業までは
とがむしゃらに働いてくれた母には感謝し
ているじゃあ次のプロジェクトのリーダー
はごと補佐を河野で頼む
よ次のプロジェクトはの案件その初回
ミーティングで俺はリーダーに選ばれた
大役に嬉しさと緊張が込み上げる五藤さん
ミーティングルームから出た俺に後ろから
声をかけたのは今回補佐となった河野だっ
たどうやって部長に売り込んだんですか
年齢は俺と同じだが大卒で入社し
ストレートで現在の部署に入ったこの会社
でのいわばエリート組に入るやっぱり会社
にいるのが長い人間の方が部長たちもひき
しちゃうもんなんですかね後藤
先輩高卒で入社し現場からの叩き上げで今
のポジションまで来た俺のことをあまり
よく思っていないらしく普段の会話や態度
の橋柱にトを感じることがあるまさに現在
進行系でだ別に他の候と同じように
プレゼンして今回はたまたま選んでもらえ
ただけだよ補佐にがいてくれて頼もしいよ
よろしく彼の言う通り今の部長は俺が現場
の頃から面倒を見てくれている俺にとって
の恩人だ俺の実家の事情も知っていて道場
されているという自覚もあるだからこそ俺
としてはあまり波風を立てたくはない先方
とのスケジュール調整をしていきます俺の
返答がつまらなかったのかピクリと左眉を
動かした河野はいつもの冷めた表情に戻る
と今後の仕事について話しだした近いうち
に取引先との挨拶とミーティングを兼ねて
食事会をセッティングします先方の予定を
確認しておきますああ助かる合槌を打つ俺
の姿を河野はむに上から下まで見て言葉を
続けた食事会の際は先方の佐々社長も
いらっしゃるので服装に気をつけて
くださいねさすがに業では来ないと思い
ますけどあけるような表情をして河野は
立ち去った全とたんだ河野の後ろ姿を
見送りながら自分の格好を見下ろした俺は
ため息をついた高そうなスーツはオーダー
だろうか綺麗に磨かれた皮靴俺でも知って
いるブランドもの時計を身につけた河野
大して俺は職場の作業技に底の減った汚れ
た靴現場の頃から使っていた耐水性の安い
時計を身につけていた取引先との食事会の
日挨拶や仕事の話は滞りなく進み酒の合間
の一服を挟みながら会話はだんだんと雑談
へと変わっていった取引先の佐々木社長は
とても鬼作で人とのコミュニケーションが
上手な人だ相手と会話をしながら話を
聞き出すのがうまくよく人を見ていると
いった印象を受けた君はいい時計をして
いるね俺の隣に座っていた河野が新たなお
しりを社長に渡す際に目に止まったの
だろう河野の時計について社長が話題に
するありがとうございます身につつける
ものは仕事では気をつけています現場
上がりだとそれが分からない人もいるよう
なんですがね河野の後半の言葉は明らかに
俺に対して言っているのだろう視線を俺に
向け口の橋をあげたのが分かる五藤君は
あまり興味がないのかな社長はこちらに目
を向け問いかけてきた今日の俺はさすがに
スーツを着ている俺にとっては奮発した
スーツだが河野の高そうな生地のスーツと
は明らかに違うのが分かる時計はつけ
なかった今日のような大切な場につけ
られるようなプラチナが輝く時計を俺は
持っていないからだお恥ずかしながら私は
そういっったものに疎くてごとはなかなか
の苦労人なんですようちでは珍しく大卒で
はなく高卒で入社してここまで来た
叩き上げなんで俺の言葉を遮切った河野の
セリフは俺を持ち上げているようで実の
ところは下げんでいるのがよくわかる
そんな河野の俺を貶めたい気持ちに気づい
ているのかいないのか社長は俺に
話しかける高卒でか
大したもんじゃないかここまでになるには
大変だっただろうクイっとチョコに口を
つけた社長に俺はとっくりを傾け酒を継ぎ
ながら答えたいえ実家の経済的に大学への
進学が難しかっただけです今に至るのは私
の人波の苦労のおかげではなく会社や現場
での出会いに恵まれたからだと思ってい
ます経済的にか君の言う並の苦労とは
どんなものだったんだいチョコを置き
とっくりを手にした社長は俺に目だけで
チョコを持つように促した俺は恐縮し
ながら両手にチョコを持ち社長の酒を頂戴
しくいっと飲み干し会話を続けた何が
面白かったのか社長は俺の実家の話を興味
不に聞いていた俺としては自分の苦労話
なんぞ自慢にもならないのであまり
大っぴらにしたかったわけではないのだが
社長ののおかげもあってか田舎の実家が
貧しい暮らしであったこと兄弟が多いこと
など結構な身の上話をしてしまった社長は
むに自身の携帯をいじり出し1枚の写真を
俺に見せたその写真は社長と奥様ご四則と
ご霊場の移る家族写真ご四則は社長に
だろうかそう明な顔つきの青年だごは社長
とは似ていないようにがリとした雰囲気の
あるとても美しい女性だ息子はもう私の
会社で働いているんだが娘は来年卒業なん
だ君の妹さんと同い年かなよかったら今度
娘と食事をしてみないかはあえこんな美人
と食事社長令嬢と突然の話に俺が言葉を
つまらせていると河野が口を挟んだそれは
ごととお嬢様と2人でということでしょう
かよろしければこちらでセッティングして
私も同席させていただきたいのですがいや
私は五藤君を娘に合わせてみたくなったん
だよ五藤君の話を聞いていて来年就職する
娘の今後の話を聞いてやって欲しいと思っ
たんだ無理をしているわけではない見合い
とか堅苦しいもんじゃないただの食事会だ
と思ってそう身構えないでくれ
そう言われてしまうと断る理由もなく俺は
社長からの申し出を受けることにしたその
日の帰りのタクシーでは河野の俺への
当たりが一段と強かったように思えるごと
さん家が貧しくて大学に行けないなんて
本当に大変な苦労をされていたんですねご
家族も多いようですしよくテレビでやっ
てる大家族的なやつですか上の人間って
やっぱりそういう人の苦労話好きそうです
もんねま俺にはよくわからないですけど酒
のせいもあってかいつもの遠回しな
言い回しより直球な物言いをしてくるああ
娘さんとの食事会逆玉の腰なんて
恥ずかしいことを考えない方がいいですよ
家柄のある人間はそれなりの家柄の人間を
選ぶもんですあなたのご実家の感じだと
相手になんてされるわけないんですから
散々な言われよだが酔っ払いの戯事に
答えるほどバカじゃない貧乏人の話がネタ
になるなら結構じゃないかそう内心で呟い
た俺はタクシーが目的地に着くまで窓の外
の流れる景色を眺めていたそうして後日
改めて社長から連絡が入り本当に俺とご
令嬢との食事会が行われることとなった
当日集合場所に指定された店はホテルの
フレンチで明らかに高級と分かる店の
佇まいに困惑してしまうこんなちゃんとし
た店で食事か変に緊張するなウェイターに
案内された席に着席した俺はスマホの
ホーム画面を開く12時20分予約は12
時半とされていたので10分前に来ていれ
ば問題ないだろうスマホの音をサイレント
に設定してジャケットにしまいふうと息を
ついた違に思える店内のの悪さに視線が
世話しなく目移りしてしまうのが自分でも
分かり落ち着かせるように窓の外に目を
移したホテルの高層会に入っている店の
ため窓からは都会のビル軍が一望できる
夜景も綺麗だろうなそんなことを考えて
いると後ろから声をかけられたごと君
待たせてすまないねビル軍に夢中になって
いた俺はその声にはっとして席から
立ち上がり声の方へ振り向いた声をかけて
きたのは佐々木社長でその一歩後ろに立っ
ている小柄な女性の姿を確認した俺は一瞬
動きが止まってしまう娘の恵だ恵こちらが
五藤君だ紹介されたご令嬢恵さんは写真
通りいやそれ以上に綺麗な人だった恵です
そう言って俺と目があった恵さんの表情
がいような困惑したような表情を浮かべた
ことで俺は挨拶もせずにまじまじと彼女を
見つめてしまっている自分に気がついたあ
すみませんご藤と申します本日はお招き
いただきありがとうございますコース料理
が終盤になりデセールがテーブルに配電さ
れた頃社長が時計を確認し申し訳ないが私
はこれで失礼するよあとは2人でゆっくり
してくれ席の時間はまだあるからワインで
も追加して楽しんでくれ会計は気にしない
で構わないよそう言って席を立ってしまっ
た見合いの席の後は若いお2人でのような
状態に俺は困惑する食事が始まってから今
の今まで会話をしていたのは社長と俺
ばかりだったその間恵さんが喋ることは
ほとんどなくたまに話を振られれば合槌を
打つ
程度俺が何か話しだそうか瞬していると恵
さんから大きなため息が聞こえたはあごと
さんでしたっけ今日は父になんて言われて
きたんですかお見合いとか言われてきたん
ですかそれまで喋らないせいもありやかな
雰囲気に見えた恵さんが突然崩した喋り方
をしたことに俺は明けに取られてしまった
いやお見合いなんてそんなたださんの職の
話を私に聞いてもらいたいとおっしゃって
いただけですよ戸惑いながらも俺が答える
と就職の相談ごとさんにですかと彼女の
表情がいぶかしげに歪んで言外に高卒の
人間に相談することなんてないと言われて
いるような気がした食事中の社長と俺の
会話から俺の追いたちが貧しく高卒で今の
会社に勤めていることなどは聞いていたの
だろう末の妹が恵さんと同じ年齢なので
それもあってお声がけしていただいたのか
もしれません妹の話をすると恵さんの表情
が少し柔いだような気がしたふうまあ何で
もいいですけどせっかくなのでディジェ
ティフを頼みますか急に言われた聞き慣れ
ない単語に俺は派手なマークを浮かべる
それが顔にも出ていたのだろうこういう
ところ慣れてなさそうですもん
と彼女はため息をついた食後のワインの
ことです五藤さんお話を聞いていた限り
あまりこういったお店は得意じゃないです
よね無理しない方がいいと思います
よ井たに会っていない店には来るなとでも
言いたいのか随分な言われよだそもそも
今回は社長の指定でこの店になったのだ
から俺にとっては不可効力なのだそうです
ね
恥ずかしながら粗末な家の出なのでこう
いった場所には遠く今後は身のたにあった
店選びが必要ですね妹と同じ銃も下の子に
言われて少なからずイラつきを感じたもの
のあくまで彼女は取引先のご令嬢だ俺は
ビジネスライクを崩さぬままに彼女の
セリフに返したしかし俺の返答は恵さんに
とってはおに召さない物言いだったらしい
綺麗な顔に明らかな嫌悪感が浮かんだ父と
話している時から思っていたんですけどご
藤さんは貧しいというのを売りにでもして
いるんですかそれとも父や私はそういった
話を面白がる人間だと思ってますか彼女
から出てきたセリフは予想外のもので俺は
とっさにその意味を咀嚼できずに言葉に
詰まってしまった貧乏人結構でもそれを
ひげして話のネタにするのは卑しいと思い
ますよ頭をドンキで殴られたような気分
だった俺の今までの苦労も知らない人間に
何が分かるんだそこからは行りでいっぱい
になった頭を抑えるのに精一杯でお互いに
会話という会話をせずディジェティフを
頼むこともなく店を出た今日はお時間
いただきありがとうございました私などで
はお役に立てず逆に恵さんに不快な思いを
させてしまったようで申し訳ありますでし
たタクシー乗り場でタクシーを待つ間に
発した俺の言葉に俺を見上げる恵さんの
表情は何か言いたげに見えたが到着した
タクシーのドアに手をかけた俺はどうぞと
彼女に乗るよう促した促されるまま車に
乗り込んだ恵さんはごめんなさいと
消え入りそうな声で言った気がしたが俺は
気のふりをしてドアから一歩下がり閉まる
ドアに向かって作り笑顔で頭を下げたやっ
ちまった帰宅した俺は頭を抱えることに
なる最後の挨拶は明らかにトゲトゲしかっ
ただろうどうすんだよ大事な取引先のご
令嬢だぞでもあの子も何なんだよ偉そうな
物言いで貧乏人結構ってむしゃくしゃし
つつも銃も下の子に言われた言葉が
引っかかって仕方ないあの小さな謝罪は何
に対して言ったんだいややそれよりも仕事
の方だ今日のことで取引が白死になる
なんてことになったら目も当てられない俺
は帰りに勢いで買ってしまった安いボトル
ワインを100均のグラスに継ぎ喉に流し
たやっぱり食後は酒より麦茶が飲みて飲み
慣れないワインは喉に渋みを残してそれは
まるで今の俺の思考のようだった週明けの
月曜日修行して間もい時間に受付から
取りついだ電話は佐々木社長からで俺は汗
が滲む手で受話を握っていた夜に食事を
しようという誘いを俺が断れるはずもなく
喜んで承知して電話を切ったおかげで俺は
その日1日憂鬱な気分で仕事をするはめに
なりその様子を見ていた河野に食事会で
ヘマでもしたんですかプロジェクトから
降りるなら早めに引き継いでくださいねと
まで言われさらにうつうつとさせられる
こととなったその日の夜佐々木社長との
食事の席で俺は席について早々に社長に頭
を下げた私が至らないばかりにお嬢様には
不快な思いをさせてしまったかと思います
申し訳ありませんそんな俺に社長は驚いた
様子だった娘からは食事会の日のことを
まだ何も聞いていないんだよどんな話をし
たのか聞かせてくれないか恐る恐る顔を
あげた俺があの日のことを社長に話すと
社長は少し考えるように目を閉じて今度は
社長が俺に頭を下げてきた五藤君すまない
娘が失礼なことを言って俺はまさかのこと
にいや社長頭をあげてくださいと慌てて
しまうそれでも社長は頭を下げたまま
続ける娘がというよりもそもそも私が君の
ご実家の話をり聞いたのもよくないことだ
決して君のこれまでの苦労を哀れんだり
面白がって聞いていたわけじゃないでも
それを話のネタとして話すように促してい
たのかもしれない申し訳ない思ってもい
ない謝罪に俺がどう答えるべきか考えあね
ていると少し家の話をしてもいいかなと頭
を上げた社長は話し始めた実はね恵は妻の
連れ子なんだの妻は息子を産んでから早く
になくなってしまってね恵が小学生の頃に
恵の母親と再婚したんだ再婚するまでの
母子の暮らしは決して豊かなものでは
なかったらしい社長と再婚したことで生活
は一変し何不自由ない暮らしになったが
未だに社長と恵さんの関係は家族と呼ぶに
は心もとない関係で社長は踏み込めずに
いるらしい私はあの子を本当の娘のように
思っているんだよでも就職の話が出てから
は余計に私と距離を取るようになって
しまった上の兄ともあまり会話をしない子
でねここ最近はどこか塞ぎ込んでいるよう
に見えると母親も心配しているんだどこか
で悩みを打ち明けられる場所があればと
思っていた時に君に出会えた君はまっすぐ
で優しい人間だ恵の相相手になってやって
くれないか気が強いようで弱いあの子には
君くらい年の離れた頼れる兄のような存在
が必要だと思うん
だそう言って再び下げられた頭に内心では
なんで俺がと戸惑いが消えない娘のことに
なると父親は不甲斐ないなそう清に笑う
社長の姿に分かりましたお役に立てるかは
分かりませんが寄り添ってみます
そう答える他なかったその後俺とご令嬢は
社長が間に入り再度食事をする機会を設け
た俺がよくとも恵さんが俺と会うのを拒否
するのではと危惧していたが意外なことに
彼女もすんなりと了承したようだその日は
俺が店を選び店の最寄駅の時計台下で
待ち合わせることとなった時間ちょうどに
駅前に着くとすでに彼女の姿があった
待ち合わせ場所として多くの人が集まり
やすい時計台の下だが目を引く彼女はすぐ
に見つけられたこの日の行き先が
カジュアルなイタリアンだと事前に伝えて
あったためか彼女の服装は前回の時よりも
幾分かラフな格好だやっぱり美人だなラフ
な予想いでもリとした雰囲気を感じる彼女
に目を奪われてしまう時計を確認した彼女
が辺りをちょろりと見渡すと
その視線が彼女を見つめていた俺と
ぶつかった一瞬パッと華やいだように見え
た顔はすぐに不機嫌そうになり慌てた俺は
彼女に駆け寄るお待たせしました呼んで
おいて待たせるなんてありえないんです
けど時間ぴったりについたのだから小言は
勘弁してほしいが待たせてしまったことは
素直に申し訳ない本当にすみません今日は
来てくださりありがとうございますそう
いった俺の学校を上から下まで見た恵さん
はもう少し服装に気を使ってくれませんか
と今度は俺の服装が気に入らないらしい
前回はスーツを着ていた俺も今回はラフな
服装をしていたファッションに興味のない
俺は確かにおしゃれとは言えないかもしれ
ない恵さんのいたちは流行に疎い俺でも
おしゃれに見えるきっと俺の知らないどこ
ぞのブランドもの服なのだろう私みたいな
貧乏臭服のおじさんとじゃ歩いてて
恥ずかしいですよねすみません謝る俺に
対し彼女は驚いた顔の後に違うと少し強い
口調で言ったそんなこと思ってないデート
なんだからもう少しおしゃれして欲しいっ
てことです貧乏ともおじさんとも思って
ません八早に言われた言葉の勢いに俺は
思わずすみませんとまたも謝ってしまう
いいから早くお店に案内してくださいあと
ごとさんの方が年上なんですから話し方も
普段通りに崩してくださいそう言って
ふいっと顔を背けた彼女の耳が少し赤い気
がして俺の顔まで暑くなった気がした頭の
中には彼女の放ったデートというフレーズ
がリフレインしているじゃあ普段通りに
喋らせてもらうよ恵さんも普段通りにして
くれるかな
そう言いながら彼女の顔を覗き込んだ俺に
上目遣いでこりと頷いた彼女は少し嬉し
そうに見えたその後は食事をしながら他愛
のない話少し打ち解けてきたように感じた
ところでそういえば恵さんは就職はもう
決まってるのと問いかけた受かってるとこ
もあるけどまだ最終面接がある会社もある
から確定はしていないの彼女の通う学部
ならばそのまま父親の会社に行くことも
できるのではと素朴な疑問が浮かび佐々木
社長の下にそのまま就職しても良さそうだ
けどそれは考えてなかったのと問いかけた
しかし瞬時に彼女の空気がりついたのが
分かり彼女の地雷はこれだったかと自分の
不容易な発言に後悔した恵さんはこの話は
今日はしたくないとだけ言いこの話題は
終了となるずを振り払うようにこの後は
時間あるどこか行きたいとこがあれば一緒
に行こうと提案するとじゃあ買い物に
付き合ってと彼女が言うので俺はそれを買
した疲れた買い物に付き合うと開拓したの
はいいもののこんなに疲れるとはそんな
服装の人と一緒には入れないからと言って
まず連れて行かれたのはメズの服も売って
いるアパレルショップ意外なことに俺でも
知っているローブランドの店だ買い物に
付き合うはずの俺が世界人形のように服を
散々試着させられ5回目に試着室から出て
きた俺の姿に彼女はようやく満足げな顔を
してくれたそして店員にタグを切って
もらうよう頼むとそのままで行くわよと
会計を済ませてしまう代金は払うよ慌てた
俺に今日は買い物にとことん付き合って
もらうから荷物持ちでその分の代金にして
と彼女はいいいつの間に買っていたのか
自分の服が入ったショップバッグを俺に
押し付けて店を出てしまっ
たその後は本当にあっちこっちの店に
付き合わされ俺は召使いよろしくブランド
の袋を両腕にかけて歩いた空がオレンジ色
に変わる頃最後に今年の流行食だという春
らしパステルグリーンのバッグを購入した
ところでショッピングは終了満足彼女を
タクシーに乗せたところで俺はようやく
解放されたちなみに服の代金は彼女を
タクシーに乗せる際に半ば無理やり渡して
おいたいくらなんでも学生に服を買わせる
なんて俺にはできない俺でも手が出せる
価格帯でまとめてくれていたのは彼女の
配慮だったのかもしれないと思ったとは
いえどんだけ人を連れ回すんだあの子はま
少しは打ち解けてくれたかなみの体には
多少ぐったりとする1日だったが目標は
一歩前進したと言えるかもしれない就職の
話題は佐々木社長の名前が出たことで不
機嫌になった様子を見るに恵さんも父との
関係に悩んでいるのではないかだとすると
やっぱ親子の会話が必要だよなやはり目標
にはまだ遠いかもしれない俺はオレンジ色
から薄紫が勝ってきた空を見上げてたを
こぼしたそれからは俺と恵さんの双方が
忙しく会う機会を作れないでいたただ連絡
先だけは咲のデートで交換をしていて週に
何回か連絡を取っていたなんてことはない
お互いのその週にあったことを少し共有
するだけのメッセージのやり取りはどこか
こばゆくも感じた佐々木社長の会社との
プロジェクトの他にも同時進行の仕事も
抱えていた俺はなかなかにを極めていて次
のデートに誘うタイミングを見つけ出せず
にいた前回のデートから1ヶ月近く経とう
としていた日俺は仕事の打ち合わせのため
外出していたこの日は愛の雨模様で晩春
独特の生ぬるい空気と湿った空気が
煩わしく感じるそんな日に限って移動が
多いなんてついていないしかし次の
クライアントは佐々木社長が紹介して
くださ会だ本契約につながれば会社にとっ
ても俺にとっても大口の契約となる重要な
案件だ昼の時点ですでに一社との
打ち合わせを行った後だった俺は駅に
向かいながら時計を確認した現在の時刻は
12時50分次の打ち合わせは前の
打ち合わせの都合上13時からだったのを
14時に変更してもらっているためもう
少し時間がある昼食を取っていなかった俺
は資料の最終確認をしながら軽食でも
取ろうかと辺りを見渡すやたらと若い
女の子が立っているのが目に入りここも
治安が悪くなったなと眉間にしが寄って
しまう彷徨せていた視線の先で何やら揉め
ている男女の姿が目に止まる俺から少し
離れたところで揉めている2人は傘を刺し
ているため顔は見えないだから違うって
言ってるでしょう話してくださいその聞き
のある声に俺は目を見張ったそして女性の
持っているカの色が目に入った瞬間には足
が走り出していただからいいねを出すって
言ってんじゃん
23男の虫が走るような下世話なセリフが
聞こえた時には女性の細い腕を掴む男の肩
に俺の手が置かれたその子になんかよう
突然の俺の問いかけにあんだよと声を荒げ
振り向いた男は俺の目線まで目をあげて
ビクッと表情をこらせたこんな時ばかりは
自分の無駄に高い信長はありがたいと思う
俺の妹になんかよその手話せよ威圧する
ように男を見下ろせば男は本当にちげえの
かよと吐き捨て掴んでいた女性の腕を
投げるように話したその反動で後ろによけ
た女性はうえと短く声をあげる俺はとっさ
に彼女の肩を掴んで自分の方に引き寄せた
大丈夫恵さん思わず抱きとめ自分の傘に
引き入れてしまった女性恵さんの体から
距離を取り彼女の手から落ちた傘を
拾い上げ彼女に手渡した大丈夫
パステルグリーンの鞄の持ち手をぎゅっと
握る彼女は少し震えているように見える
なんでこんなところにいるの自分でも少し
低い声が出てしまった自覚はあるだが
こんな場所にいる彼女にどうしても憤りを
感じてしまい畳みかけるように問いかけて
しまったここが今どういう場所か分かっ
てる君がこんなとこに来てるの佐々木社長
は知ってるのここは近年若い女性たちが男
に物色されるために集っていると問題視さ
れている場所だ社長の名前を出したことで
恵さんはきっと睨むように顔をあげたなん
で父の名前が出てくるの別にあの人には私
がどこで何していようと関係ないでしょ
ああ私のせいであの人の会社の評判が
落ちるとでも思ってる大丈夫でしょあの人
は私にあの会社に関わらせたくないみたい
だし優秀なお兄様がいらっしゃるからね私
が何か起こしたって本当の娘じゃないって
切りしてるんじゃない気が同点しているの
か口を開いた彼女は早口にまくし立てる
そうなったらこういう風にお金を稼ぐって
のもできるのかもね次長気味に吐き捨てた
彼女に俺は声を荒げたいい加減にしろよ
社長がどれだけ君を心配してるか分から
ないのか本当の娘じゃないしっかりと大学
まで行かせてくれて何不自由なく暮らさせ
てくれてそれがどれだけの愛情なのか
わからないかお金をかけているだけじゃ
ない私はそんなの頼んでない子供みたいな
ヘリ屈こねるなよ愛する子供だからこそ何
でもさせてあげられるように何でもなれる
ようにそのために親は金を使うんだろう
大事な家族の将来のためだからだ社長は君
を本当の娘だと思っていると言っていたよ
でもだからこそ君に拒絶されるのが怖くて
踏み込めないってそれは君も同じじゃない
の
か会社の経営のことはにはよくわからない
けど君を携わらせたくないと社長が言った
のかちゃんと向き合って話せよ家族だって
話さなくちゃ分かり合えないだろ恵さんの
肩を掴みながら俺がそこまで言い切ると
驚いた表情を浮かべていた彼女の大きな瞳
がだんだんと俯いていきしばらく沈黙した
後に小さな声で話しだしたただ駅に向かっ
ていただけなの普段はこんなとこ通らない
けど雨だから近道したくてそしたらさっき
の人に声かけられて知らなかったのよ
こんな場所だなんてそこまで聞いて俺の口
から思わず舌打ちが出るそれに恵さんは
ビクッと肩をふわせたいや違う恵さんは
悪くない俺が悪いちゃんと話も聞かずに
ごめん俺は先ほどの男と同じくらい自分の
言動に生りを感じていた本当にごめん駅
行くんだよね一緒に行こうそう言って歩き
出した俺の後ろでいたっと恵さんが声を
あげた突き放された表紙に左足を痛めて
しまったようだあの男への腹立たしさが
さらに湧き上がる俺の服の裾を掴んだ恵
さんは俯いていてまるで幼い子が泣きだし
そうなりない雰囲気にぎゅっと胸が
締めつけられた恵さん俺の傘持って不思議
そうな顔をする恵さんに傘を渡し自分の
リュックを前に背負い直した俺は彼女に
背中を向けてしゃがみ込んだ乗って音部を
する姿勢に入った俺にえでもと恵さんが
戸惑っているのが分かるその足で駅まで
行くのは大変だよタクシー乗り場までおっ
て行くから恵さんは傘をさしててよ
それともタみたいに担がれたい最後の脅し
文句が聞いたのか恵さんはそっと俺の背中
に乗ったありがとう耳元で消え入りそうな
声でつぶやかれたお礼に俺の口元はほんで
いたタクシー乗り場につき足の様子を伺い
ながらベンチに彼女を下ろしたねえ
ポケットのスマホがずっと震えてた気が
するけど電話が来てたんじゃないさんは俺
のポケットを指さした俺は慌ててポケット
からスマホを取り出すとそこには次の
打ち合わせ先からの着信が7件も表示され
ていた時刻は13時20分打ち合わせ時刻
まで30分以上あるここからならそう時間
もかからず行ける場所だ何かトラブル
だろうかそう思っているとちょうどまた
着信が入り俺は電話に出たはいごとですお
電話に気づけず申し訳ありませんでした今
折り返しをしようとそう言いかけた俺に
かせるようにお約束の時間はとくに過ぎて
いますがどうなっているんですかと先方の
怒りを含んだ声が耳に入ったで雨に当たっ
たせいかスマホを持つ手が指先から冷えて
いくのを感じた大変申し訳ありません13
時40分過ぎ息が切れるほど走り
たどり着いた打ち合わせ先で俺は上がった
息が整うのを待たずに頭をふぶかと下げた
佐々木社長からのご紹介とのことで恩社と
のお話の機会を設けさせていただいたの
ですがね通りと呆れが混じったような相手
の言葉に俺はさらに頭を深く下げる今回は
河野さんからお話を伺えたので問題あり
ませんが本来の担当者は五藤さんのはず
でしたよね本契約となった際には担当者を
こちらから指定させていただくことになる
かもしれませんのでそのつもりでいて
ください頭をあげた俺の視線は河野と勝ち
あった今回の打ち合わせの時間を変更する
際にその連絡などを受け取ってくれたのは
河野だ同じプロジェクトを行っている
リーダーと補佐の共有のスケジュール管理
チャットには14時に変更と確かに記載さ
れていたはずだしかし今視線が勝ちあった
河野の目を見てやられたと俺はぎっと
手のひらを握りしめた会社に戻ると俺は川
のグムに呼び問い詰めたどういうことだ
時間の変更はしてなかったってことか戻り
ながら確認したスケジュールには14時に
変更の文字が消え13時打ち合わせと記載
されていた基本的にこのスケジュール管理
は当人同士でしか管理していないこの
チャット内での変更は俺と河野しか知る
ことはないこんなことまでしてもしこの
取引が白死になったら会社にとっても大
損害なんだぞ俺を引きずりがためにここ
までするのか目の敵にされているのは前々
から分かっていたがこんなことまでする
河野が信じられず俺は声を荒げてしまう別
に五藤さんがいなくてもうまくいったのに
何か問題ありますか大体あんたは貧乏だ
苦労だをネタにして仕事を取って気に入ら
ないんですよ今回のクライアントだって
佐々木社長からの紹介でしたよねどうやっ
て取り入ってるんです本当尊敬しますよ
その貧乏根性ま今回の失態であんたが貧乏
を売りにして気づいてきたもんはなくなる
でしょうねよくて攻殻もしかしたらまた
現場ですか河野の吐き捨てるような言葉と
あけるような視線にここまで人は人を剣を
できるのかと俺の頭を真っ白にさせた何も
言えずにいる俺の肩を叩いた河野は俺に
楽しげに一言放って立ち去っていったはい
お疲れ数日後俺は社長室に呼び出されてい
たこの数日間こなすべき仕事をしながらも
俺はずっと気がきじゃなかったが社長室に
入り社長の言葉を待つ俺はもう半ば覚悟を
決めていた現場に戻ったっていいじゃない
か実家への仕送りは現場の給料だってどう
にか
なるそんなことを考えていた俺に反し社長
はニやかに俺に告げた五藤君よくやった
佐々木社長からの紹介のクライアントとは
は本契約になったよ担当はそのまま君にお
願いしたいと先方からの指名も頂いた
引き続きよろしく頼むよ予想だにしなかっ
たことに俺は社長に頭を下げながら驚く
しかできなかった俺はどのクライアントと
も本契約前からこまめに連絡を取るように
心がけているそれは今回の佐々木社長の
紹介であっても同じことだどんなに確実性
があってこちらの有利な契約であったとし
ても変えることはない前回大事な
打ち合わせ時間に遅れてしまうという最悪
の失態をしてしまったがそれまでの俺の
対応を評価してくれた先方の意行で俺を
そのまま担当に指名してくれたとのこと
だったがクライアントに改めて挨拶に伺っ
た際実は佐々木社長の口添えもあったと
いうことを聞かされた俺はその日のうちに
佐々木社長に連絡をし今回の件のお礼を
述べた
いや私は本当に何もしていないよ君の今
まで気づいてきた仕事の結果だよ俺を言わ
ないといけないのは私の方だ恵がね君に
助けられたと言っていたよその言葉はあの
雨の日のことを言っているの
だろういえ私は大したことはしていません
お嬢様の足の具合は大丈夫でしょうか本来
なら病院まで連れて行くべきでした幸い足
の怪我は軽い捻挫だったようだから大丈夫
だよあの日以来俺と恵さんは連絡を取って
いなかったため心配していたが社長の言葉
にほっとする恵がね君と話したことで私と
も色々話してくれた
よあの子も私と一緒で家族との関係に悩ん
でいたんだな変なところで似てしまってい
たようだ穏やかな社長の声には嬉しさが
入り混じっている親子ですから似ていて
当然ですよそれこそ私は何か助言ができた
とは思えません就職についても佐々木社長
の会社に自分は不要とでも言いたげで私は
何も言ってあげられませんでしたおそらく
今1番彼女が悩んでいるのであろうことを
社長に言うとそれも私の言葉たらずでね私
は子供たちの意思を尊重してあげたかった
んだ息子は望んで私の会社に入ってくれた
が恵にそれを共用したくなかったんだ何も
言わないことで恵がそんな風に感じている
ことも気づかないなんて君が恵の背中を
押してくれたことで私もあの子と正面から
話せたよちゃんと父親として家族としてね
本当にありがとうその数日後恵さんから
連絡が来て2人で会うことになった改めて
2人で会うのは久々な気がしてなんだか
初めて会った時のような緊張感が漂う父
から聞いてると思うけどちゃんと話せたよ
家族としてそう話す彼女の声からは先日の
社長と同じ穏やかさと嬉しさが滲んでいる
あなたのおかげありがとうそんな彼女の
様子に俺はアドすると同時にもう自分と恵
さんが会う必要もなくなるなと少しの寂し
さを感じていたもも社長からの願いで彼女
の相談役として会っていたのだ家族愛を手
に入れた彼女にはもう俺は不要で会うこと
もなくなっていくだろうあのね聞いて
欲しい話があるの干渉に浸るような俺の顔
を覗き込んだ彼女は少し戸惑いがちに話し
出した実はね私ご藤さんと昔会ったことが
あるのうんと子供の時に唐突な話に俺は
驚いた彼女がまだ小学校1年生の頃父親の
金銭トラブルで彼女の両親は離婚した彼女
は母親に連れられ母親の実家のある田舎に
越してきた年置いていた両親の元に戻って
も母は余裕のある暮らしはできなかったと
いう田舎というのは近所同士の距離が近い
小さな子供を連れたシングルマザーの
出戻りは狭い田舎ではあっという間に噂に
なるそしてそれは子供同士ではさらに明け
に現れる彼女は少ないクラスの中でいじめ
の標的になった父親がいないこと貧乏な
こと子供のいじめは残酷だそんな時にいつ
も彼女を守ってくれる女の子がいたそして
その女の子には年の離れた兄がいたいじめ
られ泣きべそを書く彼女の手を引き時には
その兄に音部をされながら帰ったその光景
をさんは忘れられないでいるそしてその
光景を俺も知っていたお天場で手を焼いて
いた小学生の頃の妹学校に呼び出される度
に妹の隣で俯いて泣いていた女の子それが
今目の前にいる恵さんだったのだ優しくて
大きな背中が私の初恋でした俺を見上げる
彼女の方がうっすらと赤く染まっているで
もと恵さんは目線を下にす本当は最初に
会った時に気がついていたのでもあの頃と
変わってしまった私を知られたくなくて
言い出せなかった母が再婚してからこっち
に引っ越して環境がガラっと変わった再婚
の連れ子だって後ろ指を刺されたりして
どんどん誰も信じられなくなっていたの
家族でさえもそう言って俯いていく彼女の
声がかかに震えているでもあなたはそんな
私にも本気で怒ってくれるほど優しい初恋
のお兄さんのままなの今にも泣きだしそう
な彼女の姿にあの頃の小さな女の子の影が
重なった俺は彼女の頭にそっと手を伸ばし
艶のある綺麗な髪を撫でた君はあの頃と何
も変わってないよいつ泣きだすか心配で
ほっておけないそれに貧しい俺なんかと
向き合ってくれる優しい子だよ
そう返した俺に彼女はパッと顔をあげた
貧しいなんて言わないであなたが自分の
ことを貧しいってひげするたびに悲しかっ
た私の父も今まであなたを支えてくれた人
もあなたのことを哀れんだりなんかして
ないあなたの優しくて真っすぐな人間性が
気づいてきた今でしょう先ほどの弱々しさ
と打って変わり俺の目を見て力強く話す
彼女の瞳はうっすらと浮かぶ涙でキラキラ
と輝いているありがとうやっぱり恵さんは
優しい子だよ思っても見なかった彼女の
言葉に思わず鼻の奥がつんとしたそれを
ごまかすように俺はへらと笑って見せた
もうあの頃みたいな子供じゃない音部して
もらうばかりの妹じゃなくてあなたの隣に
並ぶ恋人になりたい私を恋人にして
ください彼女のリンとした瞳が綺麗だとと
思った俺でよければ喜んで季節は巡りまた
春が来た俺はあれからも忙しくも着実に
仕事を積み重ねこの年から本社への閉店が
決まった河野はあの件の後しばらくして
担当していたプロジェクトの下請け業者と
のコンプライアンス違反が発覚し攻殻人事
が告げられた他にも他のプロジェクトの
リーダーと揉め事が起こっていたらしく
もしかしたら上からも目をつけられていた
のかもしれない俺や周囲に負けたくないと
いう焦りから彼の中で何かが崩れていった
のだろう補佐として確実な仕事をこなして
くれていた彼を思うともっとうまく関係を
築いていければ彼とは切磋琢磨できたのか
もしれないと少し残念に思うそして恵は
この春晴れて大学を卒業し社会人となった
彼女は佐々木社長の会社には職
自分で選び希望した会社に就職したただ
いずれは兄と共に父の会社を支えたいと
思っているそうだそんな彼女は今も変わら
ず俺の隣にいてくれているりすさんとの
実家に挨拶に行ったらあの頃のお礼が言い
たいの結婚を前提とした付き合いをして
いる俺たちは近く俺の実家に挨拶に行く
予定でいる妹との再会を待ち望んでいる
ようだ彼女にとってはあの場所は辛い
思い出の多い場所のはずだが私にとっては
初恋の人との思い出の場所よだからあなた
となら大丈夫だと彼女は笑うその姿が
愛しくて俺は彼女を抱きしめた貧乏人結構
誰もお前のその貧乏を盗もうとはしないの
だから俺はもう自分の追いたちを恥じたり
はしていない今までの苦労も努力も何1つ
無駄じゃなかったとようになった
から
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