【極地研公式】#95 南極氷床~地球最大の氷に何がおきているのか?~ 新学術領域研究 『熱ー水ー物質の巨大リザーバ 全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床』
Summary
TLDR北海道大学の杉山教授が南極氷床の現状と研究について説明。南極の氷の面積は日本の40倍に達し、地球最大の氷の塊である。氷が溶けると海面が上昇し、生態系に影響を及ぼす。人工衛星技術を用いた最新の測定手法により、氷の量の変化を追跡し、温暖化の影響が氷床の減少に関与していることを示す。研究者は南極で氷河の裏側や海の状況を直接観察し、氷床の変化を理解し、そのメカニズムを解明している。
Takeaways
- 🧊 南極氷床は地球最大の氷の塊で、日本の40倍の面積を占め、南極大陸の98%を覆っている。
- 🌊 南極氷が溶けることにより、海水面が58m上昇し、海の循環に影響を与える。
- ☀️ 雪や氷が太陽光を反射しているが、それがなくなると地球はより多くの太陽エネルギーを受け取り、温暖化が進む。
- 📉 人工衛星技術を利用して、南極氷床の氷の量の変化を精密に測定することが可能になった。
- 📈 2003年以降のデータによると、南極氷床の氷の量は減少傾向にある。
- 💧 氷の減少量は、日本で使われる生活用水の7年分に相当する。
- 🌡️ 南極の気温は冬にはマイナス60度まで下がるが、温暖化が進むことで氷の解け方にも影響がある。
- 🏔️ 南極氷床の氷のバランスは、降る雪の量と海に面している氷の減少量によって決まる。
- 🛠️ 研究者は南極で氷に穴を掘り、その裏側と下の海を観測することで氷の変化を研究している。
- 🌊 棚氷の底面が海水に溶かれることで、氷山が切り離され、氷の量が減少する。
- 🔥 現在、海の水温が上昇し、棚氷の底面がより多く解け、内陸の氷が加速して海に流れ込む。
Q & A
南極氷床の面積はどのくらいですか?
-南極氷床の面積は日本の40倍で、南極大陸の98%を覆っています。
南極の氷が溶けるとどのような影響が地球に与えると言われていますか?
-南極の氷が溶けると、海水面が58m上昇し、海の循環が変わり、海に住む生き物に影響を与えます。また、太陽からのエネルギーをより多く受け取り、温暖化が進むと考えられています。
南極氷床の氷の量はどのように測定されますか?
-最近の人工衛星技術によって、地球の重力を精密にマッピングすることができます。グレースという人工衛星が使用され、氷の量の変化を測定しています。
南極氷床の氷の量が減少していることを示すデータは何ですか?
-2003年からの時間と南極氷床の氷の量の変化をプロットしたグラフで、黒い線が測定値で、右肩下がりになっている部分が南極の氷が減少していることを示しています。
南極の氷が失われると、どのような地域が影響を受ける可能性がありますか?
-58mの海水位上昇で海に沈む地域が示された地図では、赤で示された地域が影響を受ける可能性があります。
南極氷床の研究者が南極で何をしていますか?
-南極氷床の研究者は、氷の量の変化や氷の流れの速度、棚氷の下の海の状況などを観測し、データ収集を行っています。
南極氷床の氷が減少する主な要因は何ですか?
-海の近くの氷が減少するのは、海の水温が上がることで氷が解けやすくなり、棚氷が弱くなり、内陸の氷が加速して海に流れ込むためです。
南極氷床の研究で使用される「ホットウォータードリル」とは何ですか?
-ホットウォータードリルは、80度の熱水を使って氷を溶かしながら深い穴を掘る技術です。これにより氷の下の海を観察することができます。
南極氷床の氷が海に流れ込む速度が上がるとどうなりますか?
-氷が海に流れ込む速度が上がると、氷床の氷がより多く失われ、海水面の上昇が加速する可能性があります。
南極氷床の研究で重要な観察ポイントは何ですか?
-南極氷床の研究では、氷の流れの速度、棚氷の下の海の温度、そして氷の厚さの変化などの観察が重要です。これにより氷床の変化を理解し、将来の影響を予測することができます。
Outlines
🌏 南極氷床の現状と影響
南極氷床は地球最大の氷の塊で、日本の40倍の面積を占め、大陸の98%を覆っている。この氷が溶けることにより、海水面が58m上昇し、海の循環や生物に影響を与える。さらに、太陽からのエネルギーをより多く吸収し、温暖化が進む可能性がある。南極氷床の研究者である杉山氏は、氷の量の変化を人工衛星技術で測定し、近年氷が少しずつ減少していることを明かしている。
📉 南極氷床の減少要因と研究
南極氷床の減少は、内陸部で降る雪の量と海に面している場所で氷が減少するというバランスが崩れることで説明される。特に海の近くで氷が失われると、内陸の氷が海に流れ込む速度が速くなる。人工衛星のレーザー技術を用いて、氷の厚さの変化を測定し、南極の特定の地域で氷が急速に薄くなっていることを示している。
🔍 南極氷床の研究方法と発見
研究者は南極の昭和基地近くの氷河で、氷に深い穴を掘って氷の裏側とその下の海を測定している。この過程で発見されたのは、暖かい海水が氷の底面に入っており、氷を溶かしていることで、氷山が切り離され、氷が海に流れ込む現象が加速していること。また、氷の下で暖かい海水と冷たい水の循環が起こっていることも明らかになった。
🌐 南極氷床の未来についての考察
南極氷床の研究は、氷がどのように海に影響され、変化していくかを明らかにすることが目的である。氷河の穴掘削を通じて得られたデータは、氷床の減少が海の近くで起こり、暖かい海水が氷を溶かして内陸の氷が海に流れ込む速度を上げることを示している。このようなメカニズムを理解することは、南極氷床の未来についての予測に不可欠である。
Mindmap
Keywords
💡南極氷床
💡海面上昇
💡太陽光の反射
💡人工衛星
💡氷の流れ
💡カービング
💡棚氷
💡熱水掘削
💡淡水
💡地球温暖化
Highlights
北海道大学の杉山が南極氷床についての講演を行いました。
南極の氷の面積は日本の40倍に及び、大陸の98%を覆われています。
南極氷床の氷が溶けることによって、海水面が58m上昇する恐れがある。
氷が太陽光を反射しており、それが失われると地球温暖化が進む可能性がある。
南極氷床の研究者たちが、氷の量の変化を人工衛星技術で測定している。
グレース衛星が地球の重力を測定し、氷の量の変化を推定している。
南極氷床の氷は、近年で減少傾向にあることが示唆されている。
1年間に失われる氷の量は、日本で使われる生活用水の7年分に相当する。
南極の気温は冬にマイナス60度、夏にもマイナス30度程度と極寒である。
南極氷床の氷のバランスは、降る雪の量と海に流れる氷の量によって決まる。
南極氷床の氷が減少する主な要因は、海の近くでの変化によるとされている。
アイサット技術が南極氷床の表面の高さの変化を精密に測定している。
南極の一部では、毎年氷が1mから6m薄くなっている地域がある。
南極氷床の氷が海に失われるのは、海の熱によって棚氷が溶かされることによる。
南極氷床の研究者たちは、氷に穴を掘って氷の裏側と海を観測している。
熱水掘削技術を使って、南極氷床に深い穴を掘り、観測データを収集している。
観測結果から、暖かい海水が棚氷の下で循環し、氷を溶かしていることが分かる。
南極氷床の研究は、地球温暖化に対する理解を深め、未来予測に貢献している。
Transcripts
みなさんこんにちは
北海道大学の杉山です
今日は南極氷床
地球最大の氷の塊にいったい何が起きて
いるのかお話しします
南極はそのほとんどをとても厚い氷によっ
て追われています
この南極の氷どのくらい大きいかご存知
でしょうか
何虚構氷の面積は日本の40倍
南極大陸の98%被っています
そして氷の厚さは平均すると
2000m地球ではダントツに一番大きな
氷なんですこの氷を南極氷床と呼びます
じゃあこの南極の氷が溶けてなくなると何
が起きるでしょうか
まず
はい水準が58m 開かれます
そしてパン水が海に流れ込みますので重要
な海の循環が変わって海にすむ生き物に
インパクトがあります
また雪や氷が太陽の光を宇宙に跳ね返して
いるんですけれどもこの雪氷がなくなると
地球がより多くのエネルギーを太陽から
受け取って温暖化がより進むと考えられて
います
ところでこの後18メートルの海水準上昇
どのくらいのインパクトがあるんでしょう
か
この地図は
58m の海水人のず上昇で海に沈んで
しまう地域を赤で示したものです
あなたが住む町大丈夫でしょうか
今日はこの南極氷床について二つのことを
お話します
まず一つ目は南極氷床の氷は今増えている
のが減っているのかって何のってるのか
話しします
二つ目は私は南極氷床の研究者なんです
けれども私のような研究者が南極で一体何
をやっているのかその活動の一部をご紹介
したいと思います
サポ南極氷床を大きな氷この氷の量の変化
をどうやって測定するんでしょうか
このような測定は非常に難しいんです
けれども最近になってようやく人工衛星の
技術によって可能になってきました
その一つが重力の測定なんです
グレースという人工衛星が地球の重力を
精密にマッピングする測定を可能にしまし
た
この地球が重力を測定するとどうやって氷
のことがわかるんでしょうか
南極氷床のコーリャとても大きいので氷
自体が重力を発生しています
この南極の上空で重力の変化を正確に測定
すればもし氷が減っていれば
注力が減るはずです
また126が増えているようならば氷が
増えていることを示します
こうして重力によって測定された
氷の量の変化がこちらです横軸は2003
年からの時間縦軸は2003年からの南極
氷床の氷の量の変化です
黒い線が測定値
赤い線はそれをなめらかにしたものですが
右肩下がりになっているのは南極の氷が
少しずつ減っていることを示しています
この赤い棒の長さが表彰全体の10番分の
1を示します
集まり表彰全体から比べたらそんなに
大きくないかもしれません
ただ1年間に失われる氷92気がとんです
けれどもこの氷の量は日本で使われる生活
用水の7年分にあたるんですこれだけの氷
が毎年南極で失われています
じゃあどうして南極でまぁ氷が失われて
いるんでしょうか
温暖化が進んで南極で氷がより多く解ける
ようになっているんでしょうか
こちらに示したのは左ガーが冬
右側が夏の南極の気温です
南極は冬になると内陸でマイナス60度
痛いとても寒くなります
海に向かって金を上りますけれども行き氷
や解き始めるぜロードが見られるのは南極
よりもずっと大きく海の上です
で夏になっても南極の内陸ではマイナス
30度
0度が観測されるのはやはり海の上つ
つまり夏も冬も南極は寒すぎるので地球の
温度が発祥上がったとしても急に行き氷が
大量に解き始めるわけではありません
それじゃあどうして氷が減ってるん
でしょうか
南極氷床の氷のバランスはまずないビクに
降る雪の量
この雪の量で表彰が太る成分が決まります
ぜ逆に京商が痩せる方法何で決まるかと
いうと
気温が低くて氷の表面ほとんどときません
その代わりに海に面しているところで氷が
減ります表彰の氷は海まで流れると
国民に浮いてしまってただまだ表彰と
つながっている棚氷っていうものを形成し
ます
この店合意の裏側は比較的温度が高い海に
接してますので海の滅で溶かされています
また棚氷の末端からは大きな氷山が
切り離されていますこの現象を
カーディングと言います
この海で起きるカーディングと棚氷の底面
誘拐が
内陸で降る雪の量と釣り合っているかどう
か
これで表彰の氷の量の変化が決まるんです
今南極の氷が減っているのはこの海の近く
で
追っている変化によるものです
次にもう一つを見せしたいデータは別の
人口 ai sat によって測定された
方ですアイサットはレーザーを地球に向け
て立つことによって地球の表面の高さを
精密に測定します
南極の上でその測定を繰り返せば
表彰の表面の高さの変化つまり氷の厚さの
変化を測定することができるんです
こちらの頭は表彰の表面の高さの編つまり
氷の厚さの変化を追って色分けで示した
もので赤から紫で示されているところは
毎年氷が1m 3m 6m 薄くなって
いるところです
南極の一部特にこの海の近くで多く氷が
減っている場所があります
今何曲はこのような場所で失われる氷に
影響を受けて前回として氷で減ってるん
です
じゃあこの海の近くで何が起こってるん
でしょうか
南極の氷は内陸からゆっくりと流れて海に
迎えます
その途中であたかも川の流れのように
とても早い氷の流れが生まれてそういった
早い氷の流れが海に注いでいます
この頭は色分けで郡流れる速さを示した
ものですけれども赤や紫で示した早い氷の
流れは表が漂流と言われます
このような表が漂流からたくさんの氷が海
に流れ込んでカービングですとか棚氷の
底面誘拐で祝を失っているんです
今この賞が漂流が流れる速度が上がって
距離多くの氷が海に流れ出して表彰の氷が
減っていると考えられています
そのメカニズムをご紹介します
棚氷は海に浮いていますがこの部分に
先ほど示した表が漂流から氷が流れ込んで
います
ただ氷や底面誘拐とカービングで光量を
失いますがこのカービングと底面誘拐の量
が入ってくる氷の量とバランスしていれば
これ表彰の形変わりません
大きさも変わりません
ところが今
海の水温が上がってた名残の底面がより
多く解けるようになっています
たな氷が溶けて薄くなると弱くなった末端
からより多くの氷山が切り離されます
まあそうして薄く小さく弱くなった棚氷が
内陸の氷を抑えられなくなると
形から氷が加速して.海に流れ込みます
集まり海が温暖化して棚氷を蝕ん
その結果内陸から氷が海に加速してくる
こういったメカニズムで表彰の氷が海に
失われていると考えられています
このようなことが本当に起こっているのが
どのくらい怒っているかを知るためには
まず氷の流れる速度調べないといけません
また氷の下でたな合意の裏側がどのくらい
溶けているか
また棚氷の下でどんな温度の排水がどの
ように循環しているのか
この熱いコールドの中や裏側で起きている
ことを調べないといけません
これ調べるのはとても難しいです氷の中
した裏側のことは人工衛星では今んとこ
調べることができません
私たちこういったメカニズムに興味を持っ
今氷に婦狩り穴を掘って棚氷の裏側やその
下の海を調べているんです
ここまでで何極小表情の氷がゆっくりと
減っている特に海の近くで何かを持って
いるということをお話しました後半は
私たちが南極氷床の棚氷の上でを行って
いる
掘削のから即についてお話したいと思い
ます
私たちが活動しているのは南極の昭和基地
の近くにあるだんぐほぐで氷河という
ところです
この氷河を海からみた写真がこちらですが
こちら画面の下ガーが生姜の末端と海の
境界ですこっから大きな今日山がどんどん
切り離されています
で今写真に写っているところ末端数キロは
もう氷が海に浮いてしまって棚氷を形成し
ていますでその裏側だ海の列によって
溶かされているんです
そしてその他な氷にはな襟から祝の流れや
どんどん入ってきていますまあそれらの
バランスが大事なんです
我々この店氷の上で
深い穴を掘って氷の裏側とその下の海を
測定しているんです
そのような穴を掘る技術がうねスリック
スタッフです
80度熱水を同じジェットにして祝に
押し当ててで氷をゆっくりと溶かしながら
深い穴を掘ります
これ今1号部で氷河で熱性掘削をしている
ところです
氷河上の解け水をくみ上げて
で3つのポンプボイラーで熱水ジェットを
作ります
これらの機会は
車を洗う洗車場にある装置と同じです
あついおいで車笑っている合うジェットと
同じです
谷中地で氷の厚さよりも長い放送巻いて
おいてホーストジェットをゆっくりと氷の
中に下ろしていきます
この氷河の場合は300m から400m
の厚さ
約10時間丸1日ですね丸1日かけてこの
氷を掘りできます
それじゃあこの行為に開けた穴の中がどう
なっているのかもう少し見ていただきます
この映像は私たちてが開けた穴の中に上を
向いたカメラをしているところです
穴の上のほう今空洞になってますけれども
これは
水水面が氷河の前の海水面と同じ所まで
下がっているからです
今水の中に入りましたね
今カメラは約300メートルの篤さんお店
氷の一番深い所にありますどんどん今深い
ところに下がっていってます
今棚氷の裏側に抜けました
皆さんは棚氷の裏側からその裏の面を見
てるんです
落ちがちだしているのはな生き物なんです
ね暗くて冷たいただ合意の裏にも生き物が
いました
またこの行為の裏の凸凹を観察すると
棚氷が海によってどんどんとかされている
様子が分かります
私たちこのような穴を生姜の卵の4カ所で
開けてその裏側を測定しましたそうすると
かな合意の下ではは一番深いところから
暖かい海水が入ってきてたな合意の奥の奥
に当たって氷を溶かしていることまたこの
溶けた解け水は淡水などで密度が小さい
ですね軽いんです
その水はフワーッと浮き上がって棚氷か
そこに出ていくつまりこのグループを
温かい水が入って冷たい水が出ていくこの
循環が明らかになったんです
先を2つのことをお話しました
まず今南極氷床に何が起きているのか凍り
画質こうしつつ減っています
でこの氷の変化は海の近くで起きているん
です
棚氷が海の熱で溶かされて内陸にある氷が
加速してます
でそんな
南極氷床の沿岸のメカニズムを明らかに
するため私たち魂氷に穴を掘ってその下を
観測しています
でこれからもこういった表彰が海に影響を
受けてどうやって変化していくかこんな
メカニズムを現地で明らかにしていきたい
と考えています
ありがとうございますこれからもぜひ南極
と南極氷床のことに興味を持ってもらえる
とうれしいです
またお会いしましょうありがとうござい
ます
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