講義「シンタクスの論理Ⅰ ―チョムスキー革命:その知的背景と主な主張―」(福井直樹)/ 言語学レクチャーシリーズVol.28

国立国語研究所 [NINJAL]
20 Mar 202438:53

Summary

TLDR福井直樹教授が語学の基礎、生成文法の理論に焦点を当てた講義。言語学の歴史的背景、特にチョムスキー革命の知的背景と主な主張について説明。言語は辞書とシンタクスというダイナミックなシステムであり、人間の脳内にある自然物として捉え直す必要性。また、言語現象は自然科学的に研究可能であり、説明理論の構築に数学的な道具が重要であると主張。

Takeaways

  • 📚 福井直樹は上智大学大学院言語科学研究科で言語学を教え、国立国語研究所の客員教授で、専門は理論言語学と認知科学を主に生成文法の理論を研究しています。
  • 🎓 第1回の講義「シンタクスの論理 Ⅰ」は、シンタクスの全体像と歴史的背景を提供し、専門的な内容に入る前に大きな枠組みを説明します。
  • 🌐 シンタクスの研究は、言語学の知的プロジェクトの中で行われており、生成文法と呼ばれる理論的枠組みの中で中心的な位置を占めています。
  • 🔍 福井直樹は、日本語での「Syntax」の訳語が誤解を招く可能性があるため、「シンタクス」を用いることによって、誤解を避けることを意図しています。
  • 📈 生成文法における「Syntax」は、辞書と階層構造を伴う無限の言語表現を生成する記号演算のシステムを指します。
  • 🌟 講義のサブタイトル「チョムスキー革命:その知的背景と主な主張」は、言語学における知識革命を指し、その背景と主な主張を説明するものです。
  • 🔖 講義は全体で4つのセクションに分かれており、チョムスキー革命の知的背景、本質的なポイント、および言語学の進化と未来の見通しについて述べています。
  • 📚 ゼリッグ・ハリスの影響を受けたチョムスキーは、言語学の目的を厳密な分析手続による記述科学と定義し、生成文法の理論を展開しました。
  • 🎓 歴史言語学と生物学の動向が、チョムスキーの理論構築に大きな影響を与え、言語を自然現象として捉える考え方を促しました。
  • 🌐 計算理論の影響を受け、チョムスキーは言語を無限性を持つシステムとして扱い、自然科学研究の対象として位置付けました。
  • 🚀 講義の最終目的是、シンタクスの研究を通じて言語計算の本質を明らかにし、言語学を認知科学の中心的な分野として再定義することを目指しています。

Q & A

  • 福井直樹教授の専門分野は何ですか?

    -福井直樹教授の専門は理論言語学と認知科学ですが、主に生成文法と呼ばれるシンタクスの理論を研究しています。

  • 「シンタクス」の定義は何ですか?

    -「シンタクス」とは、言語の根幹を成す記号演算とされています。これは、辞書や語彙を入力として階層構造を伴う無限の言語表現を生成するシステムを指します。

  • 「統語論」という訳語はなぜ誤解を招く可能性があるとされていますか?

    -「統語論」という訳語は、「語」という言葉が含まれているため、「語の配列」を扱う文法の部門という強いニュアンスを与え、誤解を招く可能性があります。実際の「Syntax」は「語」とは関係がはっきりとしないため、この訳語は避けるべきだと福井直樹教授は考えています。

  • 「生成文法」の理論的背景にはどのような学問的影響がありますか?

    -「生成文法」の理論的背景には、構造主義言語学、歴史言語学、生物学の生得的メカニズムの研究、計算理論などがあります。これらの学問は、言語をどのように规则化し、人間の脳内でどのように処理されるかを理解する上で重要な影響を与えています。

  • 「チョムスキー革命」の主な主張は何ですか?

    -「チョムスキー革命」の主な主張は3つあります。1つは、言語の本質は辞書とシンタクスによる生成システムであること。2つ目は、言語は人間の脳内に存在する自然物であり、生物学的に賦与された能力であること。3つ目は、言語は自然科学の対象であり、説明理論を構築することができるということです。

  • 「言語能力」とは何ですか?

    -「言語能力」とは、人間の脳内で存在する、生物学的に賦与された能力であり、無限の言語表現を生成するシステムを指します。これは、人類特有の認知的な機能であり、言語の理解や生成を可能にします。

  • 「説明理論」とは何ですか?

    -「説明理論」とは、自然科学において現象を説明するための理論であり、言語学においては、言語の仕組みや機能を明らかにする理論的枠組みを指します。言語現象が「なぜ」あるのかを説明し、言語の規則性やシステム性を追求することが目的となります。

  • 「言語の中核を担う部門」とは何ですか?

    -「言語の中核を担う部門」とは、シンタクスと呼ばれる部門です。これは、言語の構造や規則性を記述し、言語表現を生成するメカニズムを研究する分野です。

  • 福井直樹教授が挙げる「生成文法」の特性は何ですか?

    -「生成文法」の特性は、言語を記号演算のシステムとして捉え、辞書(語彙)を入力として階層構造を伴う無限の言語表現を生成する能力です。これは、言語が有限の規則から無限の言語表現を生み出すことを可能にし、人間の言語能力を説明する理論的枠組みを提供します。

  • 「言語学」が「認知科学」の分野に位置づけられた背景にはどのようなことからですか?

    -「言語学」が「認知科学」の分野に位置づけられた背景は、チョムスキーが提唱した言語の内在主義 — 言語能力が人間の脳内に存在する自然物であり、生物学的に賦与された能力である — という考え方からです。この考え方は、言語学の研究対象を人間の脳と認知能力に焦点を当てることを意味し、認知科学の発展に寄与しました。

  • 「言語」が「音」と「意味」を仲介するシステムであるという考え方はどのように理解すれば良いですか?

    -「言語」が「音」と「意味」を仲介するシステムであるという考え方は、言語が音の音素や形態素から構成される「音」の側面と、言語が伝える意味を解釈する「意味」の側面を統合する体系であることを指します。この体系は、辞書(語彙)を入力としてシンタクス(文法)が処理し、最終的に「音」と「意味」を持つ言語表現を生成するプロセスを経由して機能します。

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