【馴れ初め】未亡人の義姉が嵐でうちに泊まることに素敵に時間の過ごした結果...【感動する話】
Summary
TLDRこの物語は、主人公・沢村浩二が亡き兄の影に隠れていた過去と、兄の妻である茜との関係が中心です。浩二は茜を心から愛していたが、兄への尊敬と慕情から身を引いていました。しかし、兄の死後、茜が浩二の家を訪ねてきて彼らの関係は大きく変化。共に過ごす時間の中で、茜との思い出や想いを巡り、浩二は自分の感情に向き合い、茜との絆を深めていく。花火のシーンが彼らの関係の変化を象徴し、最後に茜の記憶障害と浩二の決断が彼らの愛を確かなものに変える。
Takeaways
- 😔 主人公は自分自身を嫌い、不器用で言葉に乏しいと感じており、兄のように頭が良くて優しい人になりたいと思っています。
- 🌟 兄は主人公の憧れであり、学業や性格において完璧で、主人公は兄を尊敬して慕っています。
- 💔 主人公は高校1年生の夏に、兄に好きな女性・茜がいることを打ち明け、その後茜と兄が結婚するまでの展開を経験します。
- 🎓 高校卒業後、主人公は勉強は得意ではなく、料理が好きで、駅前の小さな弁当屋で働くことを選びました。
- 😢 兄の病気とその後の死により、主人公は大きなショックを受け、茜との関係が変わっていくことを感じます。
- 🏠 兄の死後、茜が主人公の家を訪れ、二人の関係は新たな形で始まります。
- 🎆 茜が主人公に渡す花火と共に、二人は昔の思い出を共有し、新たな関係を築いていく過程を描いています。
- 🚗 主人公は茜と海へ行って、昔の思い出を共有し、茜を元気づけようと努力します。
- 🍱 主人公は茜に作った弁当を食べさせて、茜が喜ぶ姿を見て、自分の夢を叶えたと感じます。
- ❤️ 主人公と茜は花火の下で手を繋ぎ、茜の記憶障害により複雑な感情を抱くことになります。
- 🌠 最終的に茜は記憶を失い、主人公は彼女を再び思い出させようと花火の下で決意を新たにします。
Q & A
主人公の名前は何ですか?
-主人公の名前は沢村浩二です。
浩二が尊敬していた兄の名前は?
-浩二の兄の名前は沢村誠一です。
浩二はなぜ兄を尊敬していたのですか?
-浩二は兄が頭が良くて優しくて愛情深い、自分の憧れの人物だったため尊敬していたのです。
浩二が兄に告白したことがあるかどうか、脚本からは分かりますか?
-脚本からは浩二が兄に告白したことがあるかどうかは明確には言及されていません。
上原茜は誰に対する憧れの的でしたか?
-上原茜は全男子生徒の憧れの的でした。
茜が浩二の兄と結婚したことに対して浩二是いかに対応したのですか?
-浩二是に胸の痛みを抑えて、ぎこちない笑顔を茜に向けたと脚本に記載されています。
浩二が兄を失った後、茜はどのように行動しましたか?
-浩二が兄を失った後、茜は浩二の家を訪ねて、兄との約束とデカデカと書かれた大きな包みを渡しました。
茜が浩二に渡した大きな包みには何が入っていましたか?
-茜が渡した大きな包みには、大量の花火が入っていました。
浩二と茜は花火を一緒に見に行くことについてどう思い出しましたか?
-茜の言葉で浩二是高校1年生の夏休みに3人で行った花火大会を思い出しました。
茜が浩二に何を伝え、その後どうなりましたか?
-茜は浩二に兄からの花火を渡し、その後二人は一緒に花火を見に行くことを決めました。
浩二と茜が再会した際の状況はどうでしたか?
-再会した際、茜は雨の中で浩二の家に訪れ、花火についての話をしていました。
Outlines
😢 兄への憧憬と茜への想い
主人公・沢村浩二は、自分自身を嫌い、兄・誠一への憧憬と茜への想いを抱えている。兄は頭が良くて優しかったが、病にかかり、主人公が24歳の時に亡くなった。茜は主人公が高校1年生の夏に好きだった先輩で、後に兄の妻になる。兄の死後、茜が主人公の家を訪ね、二人の関係は大きく変わる。主人公は茜への想いを押し殺し、兄のようになりたいと願う。
🎆 花火の約束と思い出
茜が主人公に渡す大きな包みには、兄との約束の花火が入っていた。兄が入院中にも花火の話をしていたことから、主人公は花火を見に行くことを思い出す。高校生の時、三人で花火大会に行ったことも思い出し、茜との関係が少し温かくなる。しかし、茜が帰ろうとした時、雨が降り、二人はお互いに気まずさを感じる。
🌅 海での思い出と花火
茜が起きた朝、主人公は彼女を海に連れて行く。海は二人の思い出の場所で、兄との思い出を共有する。そこで、主人公は茜に弁当を作ると約束し、茜が大喜び。夕方、二人は海で花火を楽しむ。茜の手を握る瞬間、主人公は彼女を大切にしようと決心する。
🚗 茜の事故と記憶障害
茜が主人公の家を出た後、事故に遭い、頭を打ったショックで一時的な記憶障害に陥る。主人公は病院に駆けつけ、茜の家族と共に彼女を見守る。茜は主人公を覚えていないが、少しずつ元気を取り戻す。主人公は茜に兄と自分の話を続ける。
🌠 花火大会と茜の思い出
茜の退院が近づく中、主人公はテレビで花火大会のニュースを見て茜に誘う。花火を見て思い出すかもしれないと期待する。二人は河川敷で花火を見ながら、主人公は茜の記憶が戻ることを願う。最後の線香花火の時、茜は主人公に昔好きだったと告白し、記憶が戻る。
💑 茜との結婚と幸せな家族生活
茜との関係が修復され、主人公は彼女を大切にすることを決意する。二人は結婚し、子供が二人生まれ、家族が4人になる。主人公は料理を始め、茜の手伝いを受けて店を経営する。家族は花火大会を楽しみ、主人公は茜との幸せな時間を大切にしている。
Mindmap
Keywords
💡兄
💡茜
💡花火
💡記憶障害
💡弁当屋
💡義姉
💡恋心
💡家族
💡天国
💡線香花火
Highlights
主人公沢村浩二が自分自身を嫌い、兄誠一への憧憬と慕いを語る。
浩二が兄のようになりたいと願い、兄の優しさと愛情深さを称える。
浩二が高校1年生の夏に、兄に好きな女性・茜の存在を告白する場面。
茜が全男子生徒の憧れの的として、浩二と兄の間で複雑な関係が芽生える。
兄誠一が病に倒れ、浩二が病室で悲痛な思いを経験する描写。
兄の死後、浩二が茜との関係が大きく変化し始めたこと。
茜が浩二の家を訪れ、二人で花火の約束を思い出すエピソード。
浩二が兄との思い出を振り返り、花火の意味を再考する。
茜が浩二の家で一晩を過ごし、二人の距離が近づく描写。
浩二が茜との思い出を通して、自分の感情に向き合う決意をする。
茜が事故に遭い、記憶障害に陥る悲劇的な出来事。
浩二が茜の記憶障害に取り扱い、彼女との関係を再構築する過程。
茜の記憶が戻らないまま、浩二が花火大会を提案する場面。
花火の下で茜が記憶を失い、浩二への感情を再確認する瞬間。
浩二と茜が結婚し、家族として幸せな生活を送るエピローグ。
浩二が茜との子供たちと共に、花火大会を楽しむ家族のシーン。
浩二が茜に向けて、これからも一緒にいたいと誓う決意の告白。
浩二と茜が夫婦水入らずの生活を送り、花火大会を楽しみに生活する姿。
物語の締めくくりとして、浩二が兄に感謝の意を表すエモーショナルな場面。
Transcripts
俺は自分のことが嫌いだ
不器用で言葉足らずで相手の気持ちに
うまく寄り添えないできることなら
兄のような人間になりたかっ
た頭が良くて優しくて愛情深い俺の憧れ
兄は俺の欲しいもの全てを持っていた俺が
好きだった女性でさえ
そんな兄がこの世を去り残された義姉は俺
の家を訪ねてきた
あの日から俺たちの関係は大きく変化する
二人で見つめ合った夜俺は気持ちの高鳴り
とともにある決心を固めた
[音楽]
俺の名前は
沢村浩二24歳の時に2歳上の兄
誠一がこの世を去った俺は小さい頃から
兄のことが大好きだったいつもやんちゃで
ぶっきらぼうな俺と違い
兄は優しくて穏やか
弟の俺を誰よりも可愛がりどこに行くにも
いつも一緒俺はそんな兄を心から尊敬し
慕っていたしかし
昔から体が弱くそのせいで時々学校を休む
ことも
それでも高校の成績は常に学年トップで俺
の自慢の兄だった
病弱なところ以外は完璧で俺は何一つ兄に
かなわないだからあの時も俺は自分から身
を引いた
なあ工事お前好きな人はいるか
高校1年生の夏俺は兄にそんな質問をされ
た
何でそんなことを聞くんだよ
実は俺
茜のことが好きなんだ
俺は茜という名前が出て心臓が口から
飛び出すんじゃないかというくらい
ドキドキした
あかね先輩のこと好きだったんだ
[音楽]
俺たちの通う高校で上原茜のことを知ら
ないものはいなかった
俺にとっては先輩だったが
兄にとってはクラスメイト
茜は俺だけでなく全男子生徒の憧れの的
だったばっちり二重の正統派の美少女で
その姿はまるでアイドル
高校生でこれだけ完成された顔立ちなのだ
から
将来はきっとものすごい美人になっている
だろう
俺の予想通りいや予想以上に茜は美しく
成長したただ5年後
茜が兄の嫁になるところまでは予想でき
なかった
おめでとうございます
俺はズキズキする胸の痛みを必死に抑えて
ぎこちない笑顔を茜に向けた
ありがとう
茜は少し寂しげに笑った
俺が茜と話をするのは高校の時以来だっ
たあの日もし俺が茜を拒絶していなかっ
たら
未来は違ったのだろうか
そんなことをぼんやりと考えているうちに
あっという間に兄と茜は結婚した
21歳になった俺は
茜への思いに終止符を打つべく仕事に没頭
昔から勉強はできなかったが料理を作るの
が好きだった高校を卒業しレストランへの
就職を考えていた俺が就職したのは駅前の
小さな弁当屋そこの唐揚げの味をどうして
も覚えたくて俺は弁当屋で働くことを決意
し
こうして毎日がむしゃらに働いていた矢先
兄が病に倒れ帰らぬ人となった俺が病室に
着くとそこには泣きはらした茜が
いなくなっちゃっ
た俺はもう目の前の誠一を見て
膝から崩れ落ち
た兄貴
ねぇ冷ましてくれよ
俺の悲痛な叫びは病室に響いた
兄を失ってから1年が経ち少しずつ兄のい
ない生活に慣れ始めた頃ある雨の日に
茜が俺の家へやってきた
久しぶりお邪魔してもいい
突然現れた茜に驚いた俺は
急いで部屋を片付けた
どうぞ
狭い部屋ですが今お茶は用意しますね
ありがとうお邪魔します
茜は座布団の上に座ると
静かに口を開いた
今日はねこうじ君に渡したいものがあって
お礼にですか
俺が不思議そうにしているとあかねが俺に
大きな包みを渡したその包みには工事との
約束とデカデカと書いてある
兄貴の字
墨を開けるとそこには大量の花火が
部屋を片付けてたら見つけたのそういえば
入院中も花火の話をしていたわ
花火好きだったからな
兄貴も俺も
俺は目を細めながら
兄貴が入院していた時のことを思い出した
今年の花火大会はいけなさそうだな
じゃあ
退院したら一緒にやろうぜ
こう思ってさあ入院する前に買っておいた
のがあるんだ
気が早いなじゃあ
楽しみにしておくよ
兄貴との会話を思い出すと思わず涙が
こみ上げてきたそんな俺を
茜は優しい眼差しで見つめた
高校生の時3人で花火大会行ったことも
あったね
茜の言葉で俺は高校1年生の夏休みを
思い出した
誠一に無理やり誘われて3人で行った花火
大会
俺一人だと緊張するから
頼む
わかったよじゃあラーメン奢ってもちろん
大森でチャーハンもつけるところが
待ち合わせに現れた浴衣の茜を見た途端
あまりの美しさに二人とも緊張で話すこと
ができず
[音楽]
似合うか
な赤い顔で恥ずかしそうに微笑む茜に二人
して首を大きく縦に振ることしかでき
なかった
そしてその日俺は茜に
[音楽]
おそらく茜もそのことを思い出したのか俺
も茜も気まずくなって黙り込んだ
私帰るね
張り詰めた空気に耐えられず
茜が立ち上がった瞬間
窓の外でピカッと雷が光ったドンという音
が聞こえたかと思うとバケツを
ひっくり返したような土砂降りの雨
少し待った方がいいかもしれないですね
視線を向けると
茜が小さく頷いた
それからしばらく待っていたが雨は激しさ
を増す一方で
ヤム気配がない
どうしようもう帰らないと
不安そうな表情を浮かべる茜を見て俺は茜
に話しかけた
[音楽]
止まっていきますかそのもし
嫌じゃなければ
茜は驚いて俺の方を見た後少し考えてから
答えた
じゃあ
お言葉に
甘えていい
てっきり断られると思っていた俺は
嬉しさで顔がほころんだ
もちろんですあフローを沸かしてきます
あと
服も用意しますね
俺が笑顔を見せたことで
茜も安心したようだっ
たそれから
茜は風呂に入り俺はその間に布団の準備
兄が遊びに来た時に使っていた布団を
引っ張り出し
たすると俺の部屋着を着た茜が風呂から出
てきたいいお湯だった
浩二君どうぞ
茜が俺の服を着てるのを見て
耳まで真っ赤になった俺は
逃げるように風呂場に駆け込ん
だいいか俺落ち着け
[音楽]
気を鎮めてから部屋に戻ると
茜は兄から渡された花火を
寂しげにじっと見つめていた
あのー
茜は俺が話しかけるとビクッとした
びっくりしたお風呂出たのね
さっきまでの表情は消え笑顔を作る茜俺に
は
茜が無理に元気を出しているようにしか
見えなかった
茜に元気を取り戻してもらうにはどうし
たらいいだろう
俺は考えに考えた末ある結論に達した
下すえっ花火一人でするのも寂しいですし
うん
明日
休みですかよかったら明日の夜にでも
[音楽]
茜は黙って頷い
たじゃあ寝ましょうか
俺は部屋の明かりを消すと
布団に入っ
おやすみなさい
茜はぽつりと呟くとそのまま小さな寝息を
立てて眠ってしまった俺は目を閉じて
茜との花火を想像しながら眠りについ
た次の日目覚めるとゆうべの大雨が嘘だっ
たかのように雲一つない青空
ベランダに出て空を見上げた俺はあること
を思いついた
おはよう俺が起きてから1時間後くらいに
茜が起きたおはようございます
晴れましたね本当ねそれになんだかいい
匂い
弁当を作ったんですこれ持って今日は
出かけましょう
ためらうあかねを無理やり連れて俺は車を
走らせ海に向かった
そこは海水浴場ではない
静かな場所俺と兄の思い出の海だっ
たよくここで
兄貴と遊んだんです
釣りをしたり
疲れたら浜辺に寝そべったりして
茜は俺の話を黙って聞いてくれたきっと兄
のことを思い出していたのだろう笑顔の中
に少し
寂しさが混ざっているように見えた
弁当を食べましょう
俺は車に戻ると
弁当とクーラーボックスからお茶を出して
茜の元へ
弁当の蓋を開け中を見た茜は目を輝かせた
すごいさすがねあ
唐揚げが入ってる
懐かしいでしょこの唐揚げ
大人になって職場が遠くなってから行け
なくなってたけど私この唐揚げが世界一
好きなの
あかねの喜ぶ姿を見て俺は心の中で知っ
てるよと呟いた
俺が今の弁当屋に就職することを決めた
理由それは高校時代の茜の言葉があった
からだった
兄と茜が何気ない会話をしていた時に
弁当屋の話が出た時がある私ねあのお弁当
屋さんの唐揚げが世界で一番好き
あの日の茜も今日と同じように嬉しそうに
話をしていたいつか俺の作った弁当で
茜を喜ばせたい俺はそう思って今日まで
働いてきた
おいしい
やっぱり世界一好きだわしかもこうじ君が
作ってくれたからもう世界一じゃなくて
宇宙一かも
茜にまた
太陽のような明るい笑顔が戻ってきた俺は
嬉しさのあまり思わずガッツポーズ
よっしゃーやっと夢が叶った
[音楽]
夢
ああいや何でもないですそれより花火
楽しみですね海で花火最高ね
俺たちはこうして
夕方まで一緒に海で過ごした
二人の間にあった気まずさは消えまるで
高校時代に戻ったかのようそしてかつての
胸のときめきも押し寄せる波のように俺の
心に戻りつつあっ
たそれからあっという間に日が暮れて
穏やかな月の光が波を照らした
じゃあ早速始めますか俺と茜は童心に帰っ
て両手で花火を持ちながら
浜辺ではしゃいだねぇ次は筒の花火がいい
なよしいっぱい並べて一気に点火し
ましょうかそんなことできるの
任せてください少し離れてて
急いで花火に火をつけると俺は走って茜の
隣に並んだ
シュンシュンと音を立てて徐々に高さを
増す花火を見ていたら不意に茜の手が俺の
手に触れたこうじ君ありがとう私こんなに
笑顔になったのを久しぶりよ
俺はその手をそっと握った
俺もうです今日来てよかった
花火が消え辺りが途端に静かになった
薄明かりで見つめ合う俺たちは少しずつ
近づき
茜の顔が俺の顔のそばに来た時だった頭の
片隅に
兄の顔がよぎった俺はハッとして両手で茜
の肩を押え
[音楽]
た帰りましょうか
そうね帰りましょう
茜も我に帰ったようでそそくさと花火を
片付け始めた
茜は兄貴の愛した人俺はそんなことも忘れ
て自分勝手な行動に出そうになってしまっ
たことを恥じ
た帰りの車内ではお互い気恥ずかしさから
他愛もない会話を家に着くまで続けた
そうそう線香花火だけ取っておいたんで
また今度一緒にしましょう
線香花火なら静かだし家の近所でもできる
もんね
こうして話を無理に弾ませているうちに車
は茜の家に到着
じゃあまたうんありがとう今度お弁当のお
礼にご飯作りに行ってもいい私の腕じゃ
こうじ君にかなわないかもしれないけど
そんな
嬉しいですよろしくお願いします
じゃあまたね
俺は茜を見送った後ため息をつきながら
自宅へ
ダメだ俺
やっぱりまだ好きなんだ
胸の中に茜が溢れてきて家に着いてからも
その思いが消えることはなかった
その日から
茜は定期的に俺の家に来てくれた
茜が料理を作ってくれることもあれば俺が
弁当に入れる新作のおかずを試食で出す
ことも
兄のいなくなった寂しさを埋めるかのよう
に二人で過ごすことが多くなった俺と茜
そしていつしか俺たちの関係は
義肢と義弟ではなくなりつつあった
明日線香花火しません
俺は帰り支度をしていた茜に話しかけた
そっかまだ残ってたんだうんしよう
靴を履き
玄関のドアを開けた茜は笑顔で振り返っ
たまた明日って言えるのっていいねその
笑顔を見た俺はこみ上げてくる思いを必死
になって抑えた
そうですねまた明日
俺は茜を見送るのに振っていた手を
ギュッと握りしめた
これでいいんだ
その時ふと心の奥がざわめい
た市松の不安を覚えた俺はいつまでも茜の
後ろ姿を見つめた
まさかそれが現実になるなんて
俺は茜を引き留めなかったことをすぐに
後悔することになる
母から家に電話があったのはそれから2
時間後えっ
て俺はすぐに車を走らせ
病院へ
そこには頭に包帯を巻いた痛々しい姿の茜
がベッドに横たわっていた
どうやら横断歩道で車とバイクが接触して
バイクがそのまま茜の方に突っ込んできた
らしい
幸い一命は取り留めたが道路に頭をぶつけ
たよう
だ茜の家族や俺の両親が見守る中俺は茜の
そばに近寄っ
たまた明日ねって言ったじゃないですか
すると
茜の指がピクリと動き
ゆっくりと茜が目を開けた
茜の母が
泣きながら茜に声をかけた
茜の父は
意志を呼びに病室の外へすると
茜がじっと俺を見つめた
あなた誰
俺は頭が真っ白になってその場に
立ち尽くした
その後すぐに医師と看護師がやってきて俺
たちは病室の外で待機したしばらくして
医師が神妙な面持ちで俺たちの前にやって
きた
[音楽]
頭を打ったショックで一時的な記憶障害が
見られます
話してみた感じだとここを最近の記憶に
空白期間が見られます
医師の説明を聞いて俺はようやくさっきの
茜の態度が記憶障害によるものだったと
理解した
自分の名前やご両親のことは覚えています
記憶障害は一時的なもので時間が経てば
戻る場合もあります
戻らない場合もあるってことですか
俺の言葉に
意志はゆっくりと頷いた
とにかく今は下手に刺激をしないことご
両親が声をかけてあげてください
医師はそう言うとその場を去っ
た俺の両親が茜の両親に挨拶をして病室を
後にしたので俺も仕方なく自宅に戻っ
た俺があの時引き止めていれば
ほんの少し前まであんなに楽しそうに笑っ
ていたのに
床に倒れこみ見上げた天井は涙で滲ん
だ次の日もその次の日も俺は茜に会いに
病院に行った
茜の両親が俺のことを話してくれたおかげ
で俺は茜と今まで通り話すことができた
ただ今までと違うのは
茜が俺を覚えていないことだけ俺は悲しみ
をこらえて
毎日
茜に兄と俺の話を聞かせた
沢村さんのお兄さんと結婚していたなんて
想像できないです
そう言って
茜はクスッと笑った
と時間が経てば思い出すはずです
俺は何とか記憶を取り戻してもらいたくて
それから
茜が退院するまで
毎日病院に通ったしかしとうとう
隊員の日まで
茜の記憶は戻らず
俺は自分の無力さを痛感しながら
むなしい毎日を過ごしていた
そんなある日テレビで花火大会のニュース
が俺はそれを見てすぐに茜の家に電話した
花火大会に行きませんか花火そうです花火
を見たら思い出すこともありそうだなと
思って
わかりました俺は待ち合わせ場所を伝えて
から電話を切っ
た花火大会当日俺は茜と一緒にするはず
だった線香花火を持って
待ち合わせ場所に向かった
しばらくすると小走りで現れた浴衣姿の茜
俺は高校時代を思い出して
胸が熱くなった
兄と3人で花火大会に行ったことがあって
そうでしたかすみません思い出せなくて
[音楽]
茜が苦笑いするので俺は首を横に振っ
た気にしないでください今日は
純粋に花火を楽しみましょう
俺と茜は河川敷にシートを敷くとそこに
並んで座った
夜空に打ち上がる大きな花火を見ながら
まるで流れ星を見つめるように心の中で
祈った
[音楽]
茜の記憶が戻りますように
俺の願いを聞き入れてくれるかのように
大きな花火が最後に一発
打ち上がっ
た終わっちゃいましたね
寂しそうにつぶやく茜を見て俺は持ってき
た線香花火を茜に見せた
まだ終わってないですよ
[音楽]
観客たちが次々と帰る中俺と茜は最後まで
河川敷に残った
そして
静まり返った河川敷で俺は線香花火に火を
つけた
高校生の時
兄と3人で花火大会に行ったって言った
でしょはいその時俺
告白されたんです
えっ誰にですか俺は茜をそっと指さした私
が
沢村さんに告白でも私はその後
沢村さんのお兄さんと結婚したんですよね
そうです俺があなたを振りました
1本目の線香花火が
ぽとりと下に落ちた
俺は2本目を茜に渡すとライターで静かに
火をつけた
あなたは
兄貴の好きな人だったんですよ俺は兄貴の
気持ちを知っていたからその
告白を受けることができなかった
苦笑いする俺を
茜がじっと見つめた
[音楽]
私を嫌いで振ったわけじゃないってこと
ですね
はい
嫌いじゃなかったなんて今は言うのも
おかしな話ですけど
2本目の線香花火はすぐに消え次がもう
最後の1本
どうかずっと消えずにいてくれ
俺は願いを込めて線香花火に火をつけた
俺あなたのことは本当はずっと好きでした
兄貴の気持ちを知らなかったら俺は喜んで
あの告白を受けていました
[音楽]
沢村さん
好きでしたっていうのは
嘘です俺今でもあなたが大好きです
俺は茜の目をまっすぐ見つめた
あなたを失いそうになって俺はようやく
自分の気持ちに正直に生きようと決めたん
です
最後の線香花火の弾がゆっくりと大きく
なりチリチリと音を立てた
たとえ記憶が戻らなくても俺があなたを
好きだったということだけは
覚えておいてください
そう言い終えると最後の線香花火の弾が
静かに地面に吸い込まれていっ
たまあ
終わっちまった
行きましょうか
俺が立ち上がろうとした瞬間
茜が俺の手を掴んだ
私も私もこうじ君が好き
えっ今こうじ君って俺が顔を上げると目に
涙をいっぱい溜めた茜が力いっぱい
抱きついてきた
最後の花火が消える瞬間全て思い出したの
じゃあ俺と兄貴の子供
のことも正一さんのことも3人で見に行っ
た花火大会のことも
茜は声と肩を震わせながら
必死に説明してくれた
あの時は
振られたショックで優しくしてくれた誠一
さんとその後を付き合ったもちろん
結婚したのは
誠一さんが好きだったから
俺は泣きじゃくる茜の神を優しくなれたで
も
誠一さんがいなくなって
寂しかった私のそばにコウジ君はずっと
寄り添ってくれた
茜は涙を手で拭うと
ゆっくりと顔を上げた
その時に思ったの
こうじ君のことが大好きだってこれからも
ずっと一緒にいたいって
俺は茜を抱きしめたそして夜空を見上げて
天国の兄に向かって叫んだごめん
兄貴でも俺絶対に幸せにするからすると空
に輝く星の中の一つがキラリと光った気が
したそれはまるで
兄が天国から俺たちを見守ってくれている
かのようだった
兄貴
ありがとう
俺は一筋の涙を流すと
茜の耳元で囁い
た好きですこれから一生俺のそばにいて
ください
[音楽]
茜は俺の胸に顔をうずめた
俺たち長い間
我慢しましたね
[音楽]
とねでもこれから二人の時間ならたくさん
あるから
泣きはらした目で
茜は優しく微笑ん
だその後俺と茜は交際から1年後に結婚
すぐに息子と娘が生まれて俺たちは4人
家族になった
子供ができたことで俺はやんちゃだった
性格が悪くなり周りからは穏やかなパパの
顔になってきたと褒められた
働いていた弁当屋は主人が高齢になった
ことで俺が店を譲り受けた子供が大きく
なってからは
茜も店を手伝ってくれるようになって経営
も順調今では従業員を雇い
休みも自由に取れるようになった
休みの日は家族4人で旅行をしたり
夏は地元の花火大会を見に行くように
花火大会がある日は俺が張り切って弁当を
作るので家族は大喜び
パパの唐揚げは宇宙一美味しいね
子供たちにそう言われて俺は茜と顔を
見合わせて笑った
そして子供たちはあっという間に大人に
なり俺と茜は夫婦水入らずの生活に最近の
楽しみは2人で全国の花火大会を見に行く
こと俺は人類を趣味で集めるようになって
花火大会の日はそれを着て行っている時々
茜の浴衣と色を合わせたりして大人の
デートを楽しむようになった
これから先残りの人生も手と手を取り合っ
て
茜と二人三脚で楽しくやっていきたい
と兄の誠一も空から俺たちを見守っていて
くれているだろう
大輪の花火のように
これが俺たちの馴れ初めです
ご視聴いただきありがとうございます今回
の馴れ初めストーリー
良かったと感じた視聴者様はいいねや
馴れ初め最高とコメントしていただけると
励みになりますそれでは次回もお楽しみに
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