算数科の改訂のポイント:新学習指導要領編 №14
Summary
TLDR文部科学省初等中等教育局の笠井健一が提供するこのビデオスクリプトでは、新学習指導要領編の校内研修シリーズに焦点を当てています。算数科の改訂ポイントを5つ紹介し、資質・能力の育成を目指す観点から算数的活動を数学的活動に改め、領域の構成を見直し、統計教育の充実化、割合に関する内容の強化などを説明しています。また、児童の発達段階を踏まえた学習指導の段階設定や、数学的な見方・考え方を通して資質・能力の育成を促進する取り組みが紹介されています。
Takeaways
- 📚 スクリプトは文部科学省初等中等教育局の笠井健一による、新学習指導要領編成の校内研修シリーズを紹介している。
- 🔢 小学校算数科の改訂ポイントは5つに分けられる。それは目標や内容を3つの資質・能力の柱で整理し、算数的活動を数学的活動に改名し、領域の構成を見直し、統計に関する内容を充実させ、割合に関する内容を充実させたことです。
- 🎯 算数科の目標は、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性という3つの資質・能力の柱に区分される。
- 👦 小学校算数科では、児童の発達段階に応じた数学的活動を通じて、数学的な見方・考え方を育成することが求められている。
- 📈 統計教育は、社会生活で必要なデータ収集、分析、課題解決、意思決定の能力を育成するために充実させられた。
- 📉 割合に関する内容は、2つの数量の関係を比較する際に割合を使うことの重要性を理解し、その適用を学ぶ。
- 📊 統計グラフの種類も増やされ、棒グラフ、折れ線グラフ、帯グラフを含む多様なグラフの理解と活用が求められる。
- 🤔 学習過程で思考力、判断力、表現力を育成し、結論の妥当性について批判的に考察する能力を学ぶ。
- 🔄 新しい学習指導要領に移行する期間には、特例が設けられ、徐々に新しい内容を取り入れることで円滑な移行が促される。
- 📘 教師は小学校学習指導要領解説算数編を参考に、改訂された算数科の詳細を理解し、指導に活かす必要がある。
Q & A
笠井健一さんはどのような立場から話をしていますか?
-笠井健一さんは文部科学省初等中等教育局教育課程課の教科調査官として話をしています。
このビデオスクリプトはどのようなシリーズの一部ですか?
-これは独立行政法人教職員支援機構がオンラインでお届けする校内研修シリーズの新学習指導要領編の一部です。
新学習指導要領編で説明される小学算数科の改訂ポイントは何ですか?
-小学算数科の改訂ポイントは5つあります。それは目標や内容を資質・能力の3つの柱で整理し、算数的活動の名称を数学的活動に改めたこと、数学的活動を通して働く数学的な見方考え方を育成する資質・能力に基づく領域の構成を見直し、統計に関する内容を充実させ、割合に関する内容を充実させたことです。
算数科の目標はどのように変わりましたか?
-算数科の目標は資質・能力の3つの柱に区分され、知識及び技能、思考力判断力表現力、学びに向かう力人間性などの育成を目指す内容が継承されていますが、特に数学的活動と数学的な見方考え方について着目しました。
数学的活動とはどのようなことを指していますか?
-数学的活動とは、事象を数理的に捉え、数学的问题を見い出し、問題を自律的、協働的に解決し、解決の過程を振り返って概念を形成したり、体系化したりするプロセスを指しています。
統計に関する内容が充実された理由は何ですか?
-統計に関する内容が充実されたのは、社会生活などさまざまな場面において必要なデータを収集して分析し、その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定をしたりすることが求められているためです。
割合に関する内容が充実された理由は何ですか?
-割合に関する内容が充実されたのは、日常生活や教育において割合を用いて物事を比較する機会が増えたこと、また割合を用いた比率の考え方が重要になったためです。
算数科における数学的な見方考え方とは何を意味しますか?
-算数科における数学的な見方考え方は、事象や数量、図形、それらの関係などに着目して捉え、根拠をもとに筋道を立てて考え、統合的発展的に考えることを意味します。
学年目標における(2)の思考力判断力表現力などはどのように育成されることを目指していますか?
-学年目標における(2)の思考力判断力表現力などは、数学的な見方考え方を働かせながら知識及び技能を習得し、習得した知識及び技能を活用して課題を探求することによって育成されることを目指しています。
算数科の内容領域はどのように改定されましたか?
-算数科の内容領域は、従来のA数と計算、B量と測定、C図形、D数量関係の4つの領域から、新しい指導要領ではA数と計算、B図形、C測定、Dデータの活用、上学年にはA数と計算、B図形、C変化と関係、Dデータの活用という4つの領域に改定されました。
新しい学習指導要領での割合の活用について教えるポイントは何ですか?
-新しい学習指導要領での割合の活用は、ある2つの数量の関係と別の2つの数量の関係を比べる場合に割合を用いること、基準とする数量を1とみたときにもう一方の数量が2倍、3倍、4倍などの整数であらわされる場合に割合を用いて比較することができると教えるポイントです。
統計教育の充実について、新しい学習指導要領で追加された内容は何ですか?
-統計教育の充実について、新しい学習指導要領で追加された内容は、複数の棒グラフや折れ線グラフ、帯グラフの比べ方、代表値や階級という用語、プロットの追加、統計的な問題解決の方法、結論の妥当性についての批判的な考察などです。
移行期間中の特例とはどのようなものですか?
-移行期間中の特例とは、平成30年度と31年度に設けられたもので、接頭語、キロやミリについて触れること、面積の単位との関係を考察することを追加し、また第5学年では乗数や除数が整数である場合の分数の乗法及び除法については省略し、平成32年度に第6学年で指導する内容とすることで、円滑な移行を助けるものです。
Outlines
📚 小学校算数科の改訂ポイント解説
文部科学省の笠井健一が新学習指導要領に沿った小学校算数科の改訂ポイントを紹介。算数科の目標は資質・能力の3つの柱で整理し、数学的活動を通じて育成する。改訂では、算数的活動の名称を数学的活動に変更し、領域の構成を見直し、統計に関する内容を充実させ、割合に関する内容を強化した。また、算数科の目標は知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性を育成するものとされ、数学的な見方・考え方を通してこれらの資質・能力を育成する。
🔍 小学校における数学的活動の定義と目標
算数科における数学的活動は、事象を数理的に捉え、問題を発見し解決する過程を重視。小学校では日常生活に関わる数理化した内容が多く、数学的活動は算数の問題解決に焦点を当てている。算数科の教科目標は、数学的に考える資質・能力の育成を目指し、学習過程で数学的な問題発見と解決が重要。また、算数科の内容は下学年では数と計算、図形、測定、データの活用に焦点を当て、上学年では数と計算、図形、変化と関係、データの活用を扱う。
📈 割合と統計教育の充実化
新しい学習指導要領では割合の概念が充実させられ、2つの数量の関係を比較する際に割合を使うことが追加された。割合は基準量に対する比較量の比率として捉えられ、シュートの例を使って説明されている。また、統計教育も強化され、複数のグラフの組み合わせ方や代表値、プロットの概念が新たに導入された。これにより、児童はデータから異なる結論を導き出し、多面的な考察力を養うことが期待される。
📉 統計教育の強化と学習の評価
統計教育はさらに充実させられ、第3学年から棒グラフや二次元表、第4学年には折れ線グラフや複数系列のグラフ、第5学年には帯グラフの比較が追加された。さらに、思考力、判断力、表現力を育成し、結論の妥当性について批判的に考察する能力を学ぶ。第6学年では中央値や最頻値などの代表値を学び、プロットも追加される。また、移行期間中の学習評価は現行の評価基準に基づく。
📝 学習指導要領の移行と特例
新学習指導要領への移行期間には特例が設けられ、平成30年度と31年度には接頭語、キロやミリ、面積の単位の学習が追加された。また、乗数や除数が整数である場合の分数の乗法と除法は省略され、これは平成32年度に第6学年で指導する内容となる。移行期間中は新学習指導要領によることができるとされていない事項についても、新規定の内容を取り入れて指導を行うことが可能。
Mindmap
Keywords
💡算数科の目標
💡数学的活動
💡資質・能力
💡統計教育
💡割合
💡内容領域
💡数学的な見方・考え方
💡学年目標
💡移行期間
💡代表値と階級
Highlights
文部科学省初等中等教育局教育課程課が主催する校内研修シリーズ「新学習指導要領編」をオンラインで提供
新学習指導要領に伴う小学校算数科の改訂ポイントを5つ紹介
算数科の目標と内容を資質・能力の3つの柱で整理
算数的活動の名称を数学的活動に変更し、その育成を目指す
数学的な見方・考え方を通して資質・能力を育成する領域の構成を見直し
社会生活に必要な統計に関する内容を充実させる
割合に関する内容を充実させる
算数科の目標は資質・能力の育成を通じて継承される
学習過程の果たす役割を強調し、数学的な問題発見・解決の過程を重要視
小学校では日常生活に関わる数理的な問題解決を数学的活動と位置付け
算数科における資質・能力の育成を目指す学習過程を重視
数学的な問題発見・解決の過程を2つのプロセスで捉え、それを相互に関連させる
言語活動を充実させ、数学的活動を通じて資質・能力を育成
算数科の教科目標の冒頭に数学的な見方・考え方を働かせることが示される
算数科における数学的な見方・考え方は物事の特徴や本質を捉える視点や思考の進め方を意味
学年目標も算数科の目標と同様に資質・能力の3つの柱に沿って示される
算数科の内容領域を数・量・図形に関する内容とそれらを考察する方法の観点から整理
割合の計算方法とその意味について学ぶ
統計教育の充実を目指し、複数のグラフや統計的な問題解決の方法を学ぶ
移行期間中の特例を設け、新学習指導要領に伴う内容の移行を円滑に行う
教科書と補助教材を適切に使用し、新学習指導要領に基づく指導を行う
Transcripts
みなさん こんにちは
文部科学省 初等中等教育局 教育課程課 教科調査官の 笠井 健一 です
これは 独立行政法人
教職員支援機構が オンラインで お届けする 校内研修シリーズ 新学習指導要領編 です
新学習指導要領について 校内で研修を行う際の 資料として ご活用いただけたらと思います
それでは さっそく 説明に入っていきましょう タイトル は 算数科 の 改訂のポイント です
小学校 算数科の 改訂のポイントでは 次の 5 つを 取り上げて説明します
一 つ 目は 算数科の目標や内容を 資質・能力の 3つの柱で 整理したことです
二 つ 目は 算数科で目指す 資質・能力を 育成する観点から
算数的活動の名称を 数学的活動に改めたことです
三 つ 目は その数学的活動を通して働かせる 数学的な 見方 考え方 や
育成する 資質・能力に基づき 領域の構成を 見直したことです
四 つ 目は 社会生活など さまざまな 場面 において 必要なデータを収集して 分析し
その傾向を踏まえて 課題を解決したり
意思決定をしたりすることが 求められていることから
統計に関する内容を 充実させたことです
五 つ 目は 割合に関する内容を充実したことです
では 算数科の目標は どのように 変わったのでしょうか
現行の 算数科の目標を見てみると 一文で 示されていますが
資質・能力の 三つの柱 に 区別することができます
改定後の 算数科の目標においても これらの 部分は 継承してい ます
今回は すべての 教科等で はじめに どのような学習を通して 資質・能力を育成するかについて
柱書として 示しています
(1) には 育成を目指す 資質・能力のうち 知識 及び 技能
(2)は
思考力 判断力 表現力 等
(3) には 学びに向かう力 人間性等 を 示しています
なお この 3 つの 資質・能力は 相互に関連し合うものであり
(1)(2)(3)の 順に 育成するものではない ということに 留意してください
先ほども 述べましたように 現行の目標の内容を 多く引き継いでいます
赤字で お示しした部分は 今回の改定で 特 に着目していただきたいところです
このうち 数学的活動と 数学的な見方 考え方 について 説明します
現行の学習指導要領では 算数的活動は 目的意識を持って 主体的に取り組む
算数に関わりのある さまざまな活動 と整理されていました
そして 各学年 4つ から 5つの 具体例で 算数的活動を 示していました
これらの 算数的活動の 多くは 新しい学習指導要領では 各学年の内容に 取り入れられたり
内容の取り扱いに示されたり 思考力 判断力 表現力 等 に 示されたりしています
資質・能力が 育成されるためには 学習過程の果たす 役割は 極めて重要です
算数 数学科 においては 中央教育審議会の答申で 示され た
事象を数理的に捉え 数学の問題を見いだし
問題を自律的 協働的に解決し 解決の過程を 振り返って概念を形成したり
体系化したりする過程 といった
算数 数学の問題発見 解決の過程が 重要です
この 算数 数学 の問題発見 解決の過程は 図に示すように
日常生活や 社会の事象を 数理的に捉え
数学的に表現 処理し 問題を解決し
解決過程を振り返り 得られた結果の意味を 考察するという 問題解決の過程と
数学の事象 について
統合的 発展的 にとらえて 新たな問題を設定し 数学的に処理し 問題を解決し
解決過程を 振り返って 概念を形成したり
体系化したりするという 問題解決の過程の 2 つの過程が 相互に関わり合って展開します
このような 数学的活動は 小中高等学校 教育を通じて
資質・能力の育成を 目指す際に 行われるもので 小学校においても 必要な活動です
そこで 従来の算数的活動を 数学的活動とし 目標の中で
数学的活動を通して 数学的に考える 資質能力を 育成することを目指す としました
ただし 小学校段階では 日常生活に 深く関わり
日常生活の場面を 数理化して捉える程度の内容が多く
数学として 抽象的で 論理的に構成された 内容となっていないことから
小学校では 教科名を 算数とし 中学校以上の 数学と 教科名を分けています
算数科 における 数学的活動とは ひとことでいえば
事象を 数理的に捉え 算数の問題を見いだし
問題を自立的 共同的に解決する過程を 遂行することです
先ほども 述べましたが
算数科 における 資質・能力の育成を目指す 学習の過程においては
数学的に 問題発見 解決する過程を 重視しています
算数科では 日常の事象を 数理的に捉え 数学的に 表現 処理し 問題を解決したり
解決の過程を 振り返って 考えたりすること と
算数の学習場面から 問題を見出して 解決したり
解決の過程を 振り返って 統合的 発展的に 考えたりすることの
二つの問題発見 解決の過程が 相互に関わり合っています
これらを 基盤として 各場面で 言語活動を 充実することが 大切です
このことから 数学的な問題発見 解決の過程に続く 日常の事象から見出した問題を 解決する活動
算数の学習場面から 見出した問題を 解決する活動
数学的に表現し 伝え合う活動を 中核とした活動を
小学校の数学的活動に位置付けることにしました
これら 3 つの活動は 中学校の数学的活動に 引き継がれます
さらに 小学校の下学年には 数量や図形を見いだし 進んで関わる活動を位置付けることにしました
数学的活動に 取り組む機会を設ける際には
活動としての 一連の流れを 大切にすると共に
どの活動に焦点を当てて 指導するのかを 明らかにすることも 必要です
新しい学習指導要領では 児童の発達の段階を 踏まえつつ
算数科と 数学科の接続の視点から
第 1 学年 第2学 年と 第 3 学年
第 4 学年 と 第 5 学年
第6学年 の 4 つの段階を設定し これらの 数学的活動が 示されています
さて
算数科の 教科目標の冒頭に 数学的な見方 考え方を 働かせ
数学的活動を通して とありますが これは (1)から(3)に 示されている
数学的に考える 資質・能力の育成を 目指すための 算数 数学の学習指導の基本的な考え方
を 述べたものです
数学的に考える 資質・能力の 育成にあたっては
算数科の特質に応じた 見 方 考え方が 重要な役割を 果たします
算数の学習において 数学的な 見方 考え方を 働かせながら 知識 及び 技能を習得したり
習得した 知識 及び 技能 を 活用して 課題を探求したりすることにより
生きて働く知識の習得が 図られ
技能の習熟 にも つながるとともに 日常の 事象の課題を 解決するための
思考力 判断力 表現力 等 が 育成されます
そして 数学的に考える 資質・能力が 育成 されることで
数学的な 見方 考え方も さらに 成長していくと 考えられます
数学的な 見方 考え方 については これまでの 学習指導要領の中で
教科目標に位置付けられたり 教科の観点名 として 用いられたりしてきました
今回 小学校 算数科 において 育成を目指す 資質 能力の 三つの柱を 明確化したことにより
数学的な 見方 考え方は
算数 の 学習 において
どのような 視点で 物事をとらえ
どのような 考え方で思考していくのか という
物事の特徴 や 本質を捉える 視点や
思考の進め方や 方向性を 意味することと なりました
算数科における 数学的な 見方 考え方 は 事象
数量 や 図形 及び それらの 関係などに 着目して 捉え
根拠をもとに 筋道を立てて考え 統合的 発展的に考えることとして 整理することが できます
数学的 な 見方 考え方は 数学的に 考える 資質 能力を 支え 方向づけるものであり
算数の学習が 創造的に 行われるために 欠かせ ないもの です
また 児童 一人ひとりが 目的意識をもって 問題解決に 取り組む際 に 積極的に 働かせていくものです
さらに 数学的な 見方 考え方は 算数の学習 の中で 働かせるだけでなく
大人になって 生活していくに あたっても 重要な働きをするものとなり
このような 見方 考え方を 働かせながら 世の中の さまざまな 物事を理解し 思考し
より良い社会や 自らの人生を 作り出していくことが 期待さ れ ます
算数科の 目標を 具体化したものが 学年の目標 です
学年の目標も 算数科の目標と同様に
各学年で 育成を目指す 資質・能力の 3 つ の柱 である
知識 及び 技能 思考力 判断力 表現力 等
学びに向かう力 人間性等 に沿って (1)(2)(3)と 示し て い ます
この表は 第 1 学年から 第 3 学年までの 学年目標のうち
(2)の 思考力 判断力 表現力 等 について 主なものを 並べたものです
小学校 算数科 においては
数学的な 見方 考え方の 数学的な見方に 関連するものを 何々に着目 し て
という文言により 記述しています
指導する際の 参考にしていただければと思います
続いて 第 4 学年 から 第 6 学年 の 目標の (2)を 並べたものです
学年に 応じて より 豊かになっていることが お分かりになると思います
現行の 小学校 算数科の領域は A 数と計算 B 量と測定
C 図形 D 数量関係 の 4 つの領域で 示していました
今回の改定では 主として
数 量 図形 に関する内容と それらを 考察する方法の 観点から 整理されてきた
従来の内容領域の 構成を踏襲しつつ
児童の発達の段階を 考慮に入れて
それぞれの 内容の指導等 通じて 育成を目指す 資質 能力を 明らかにし 内容領域を設定しました
従前の 数量関係は 主として 関数の考え
式の表現と読み 資料の整理 の 3つの下位領域からなるものでしたが
今回の改定により 新たに設けた 変化と関係とデータの活用 に主に移行しました
これにより 数量の変化や 関係に着目した考察を 重視するとともに
統計教育の基礎を 充実することとしました
新学習指導要領で 算数科の内容は 下学年では A 数 と 計算
B 図形 C 測定
Dデータ の 活用
上学年 では A 数と計算 B 図形
C 変化 と 関係
D データの活用 と それぞれ 4 つの領域で示されています
これは 小学校における 主要な学習の対象
すなわち 数 量 図形 に関する内容と それらの考察の 方法を 基本とする領域として
A 数と計算 B 図形 C 測定 を
また 事象の変化や 数量関係の把握と 問題解決への利用 を含む領域として
C 変化 と 関係 を
不可欠な事象の考察と そこで 用いられる考え方 や 手法などを含む領域 として
D データの活用 を それぞれ設定したものです
このことにより 算数科 において 育成を目指す 知識 及び 技能
思考力 判断力 表現力 等 が より明確になり それらを育成するための 学習課程の計画が
図られるようにするために 設定し
内容の系統性や 発展性の 全体を
中学校 数学科 との 接続をも 視野に入れて 整理したものです
次に 割合の充実について お話をします
現行の 学習指導要領 では
百分率を用いた 表し方を理解し 割合 などを 用いることのみ 示されていました
新しい 学習指導要領 では
ある 2 つの 数量の関係と 別の 2 つ の 数量の関係とを 比べる場合に
割合を用いる場合があることを 理解すること について 追加して示しています
2 つの数量の関係を 割合を用いて比べるとは
2 つの 数量の関係のうちの 一方を基準とする 大きさ
基準量とした時に もう一方の数字を 比較量が どれだけに 相当するのかを
比較量を 基準量で 割った商で 比べることです
この表された数 商 が 割合です
ある 2 つの 数量の関係と 別の2 つの数量 の関係において
基準にする大きさが 異なる場合に 割合を用いて 数量の関係同士を 比べることができます
シュート の うまさ で 説明 し ます
全 シュート数を 基準量とし その大きさを 1 として
それに対する 入った シュート数の割合を 小数で表すことで
シュート の うまさを 比べていくとします
ここで 0.6 の 割合で 入る うまさ というのは 10 回 中 6 回 入る
20 回 中 12 回 入るなどを 同じ関係と見ることが必要で
全シュート数 と 入った シュート数との間の 比例関係が 前提となります
割合の充実に関連して 新たに 第 4 学年に ある量の何倍かを表すのに
小数を用いることを知ること が 追加されました
例えば 10 m は 4 m の 何倍になるかについて考えます
基準となる1に対する大きさ 4 m を 10当分 すると
0.1 に当たる大きさ が 0.4m に なります
このことを用いると 2m は 0.4m の 5 つ分 にあたります
図にお示ししたように
10 m は 4 m を 1とした時 ちょうど 2.5 の 位置にあたることになります
そこで このことを 10 m は 4 m を 1 と する と 2.5 に 当たる と いい
これを 2.5 倍の意味として 指導するのです
8 m は 4 m を 1 とすると 2 にあたるので
今まで2倍としていたこととも 整合的な 意味となっています
また このことが 商を求める 情報の意味について 考え直す機会となります
第 3 学年 で は A割るBという除法の意味を 包含除の場合
ある数量Aが もう一方の数量B の いくつ分 であるかを 求めることと 捉えていました
商 が 小数の場合も考える 第 4 学年では この意味を拡張し
B を1 と見た時に Aが小数も含めて いくつ に当たるかを求めること と
捉え直すことに なります
また 第 4 学年 で は
簡単な場合について ある 2 つの 数量の関係と
別 の 2 つの数量の関係 と 比べる場合に
割合を用いる場合があることを 知ることが 追加されました
第 4 学年では 簡単な場合について 割合を用いて比べること について指導します
簡単な場合 とは 2 つの数量の関係 が
基準とする 数量を 1とみたときに もう 一方の数量が 2 倍 3 倍 4 倍 などの
整数で あらわされる 場合について
二 つの 数量の関係と 別の 2 つの数量の関係と 比べることを知る程度を 指してい ます
例えば この図は
50cm が 150cm に伸びた 平ゴム A と
100cm が 200cm に伸びた 平ゴム B について
差で見て比べた場合 と 割合で見て比べた場合 を 示しています
この場合には 例えば 平ゴムB を 半分に切ったときのことを 考えると
50cm が 100cm に伸びることになるので 比例関係が成立します
そこで 割合で 比べて 良いことが わかります
したがって 平ゴム A のほうが よく伸びると 結論付けることが できます
このように 割合では 基準とする 数量が異なっても それらを 1 と 見 て
相対的な大きさで 比べることを 指導します
次に 統計教育の充実 について お話しします
第 3 学年 では 従来から 棒グラフ や 簡単 な二次元表を 学習することになっていましたが
それに関連して 複数の棒グラフを 組み合わせた グラフなどが 追加されました
第 4 学年 では 従来から 折れ線グラフ を 学習することになっていましたが これに関連して
複数系列のグラフ や 組み合わせたグラフ が 追加されました
第 5 学年 でも 複数の帯グラフを比べることが 追加されました
また 思考力 判断力 表現力 等 として
結論について 多面的にとらえ 考察することとしています
自分たちが出した結論 や データについて 別の観点から 見直してみてみることで 異なる結論が
導き出ないかどうかを 考察できるように します
そのためには 割合で見ていたものを 量で 見直してみたり
観点を変えて 整理し直してみたりすることが 必要となります
第 6 学年 では 中学校 第 1 学年 から
中央値 や 最頻値 などの 代表値や 階級 という用語が 移行しました
また プロットも 追加されました
また 第5学年と 第 6 学年 には 統計的な 問題解決の方法を知ることが 追加されています
さらに 思考力 判断力 表現力 等 として
結論の妥当性について 批判的に考察することを 示しています
以上 お 話ししてきた 割合や統計の 新しい内容 など
新しい学習指導要領 で 内容を移行したものがあります
このことを 円滑に行うために 平成 30 年度 と 31 年度 に 移行期間の 特例を設けています
平成 30 年度 に つい て は 接頭語
キロ や ミリ についても 触れることについて
第 3 学年 および 第 4 学年 に 追加 しています
また 面積の単位 と これまでに 学習した 単位との関係を考察する
ことについて 第 4 学年 に 追加しています
平成 31 年度 については 平成 30 年度 の内容に加えて
ここに 示した 内容を 追加しています
また 第 5 学年 で は
乗数 や 除数 が 整数 である場合の 分数の乗法 及び 除法 について 省略しています
これは 平成 32 年度 に 第 6 学年 で 指導 する内容となります
この表の 赤字で示した部分につい ては 補助教材の配布を予定しています
教科書に加え 当該 補助教材を 適切に使用して 指導を行ってください
なお 移行期間中に 新学習指導要領 によることができるとされていない事項についても
新小学校学習指導要領 の 規定の内容を 取り入れて 指導を行うことができます
また 移行期間中 における 学習評価の 在り方については
移行期間に 追加して 指導する部分も含め
現行の小学校 学習指導要領 の 評価基準等に基づき 学習評価を 行うことになります
以上で 小学校 学習指導要領 算数科 の 改訂の ポイントについての 説明を終わります
この中で 触れられていない点なども 含めて 詳しい内容を 知りたい方は
小学校 学習指導要領解説
算数編 を 参考にしていただければと思います
ご静聴 ありがとうございました
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