なぜ時間が遅くなるの?【相対性理論】/ インターステラー解説【Interstellar】

たてはま / CGBeginner
19 Feb 202122:21

Summary

TLDRインターステラーの時間の描写について。相対性理論で説明される時間の相対性をわかりやすく解説。GPSなどの実例も紹介しつつ、映画での時間のゆがみの設定についても言及。

Takeaways

  • 😀 ニュートン力学は絶対時間と絶対空間を前提としていたが、相対性理論によってそれが崩れた
  • 😮 光の速さは観測者に関係なく一定である「光速不変の原理」が成立している
  • 📏 GPSの正確性は相対性理論に基づいている
  • ⏱ 運動している物体では時間の進みが遅くなる「時間の遅延」が起きる
  • 🌀 重力とは時空そのものの歪みであると考えられている
  • 🕑 重力の強い場所では時間の進みが遅くなる「重力時間遅延」がある
  • 🛰 GPS衛星は日々38マイクロ秒ずつ時計を修正している
  • 📚 ミラーの星の設定は非現実的だが物理法則に反していない
  • 💫 インターステラーはSFながら現代物理学に寄り添う形で制作されている
  • 🎥 インターステラーの科学的解説は面白い

Q & A

  • 相対性理論とはどのような理論ですか?

    -相対性理論とは、アインシュタインが提唱した理論で、光の速さがすべての観測者にとって一定であるという前提の下、時間と空間が相対的な概念であることを説明しています。移動する観測者から見ると時間の流れが遅くなるなどの現象が理論的に説明できます。

  • なぜ時間の流れが遅くなるのでしょうか?

    -相対性理論によると、光の速さはすべての観測者にとって一定です。観測者が高速で移動していると、光がとる経路が傾いて見えるため、光がセンサーに届くまでにより時間がかかることになります。これが時間の流れが遅くなる理由です。

  • インターステラーではなぜ時間のずれが起きるのですか?

    -インターステラーでは巨大なブラックホールの周りを旅しています。ブラックホールの強力な重力が時空間を歪めているため、時間の流れに影響が出て、地球側から見ると時間が遅れて見えるのです。

  • GPSで相対性理論が使われているということですが、どのように使われているのでしょうか?

    -GPS衛星は地上と比べて時間の流れが早くなっています。これは相対性理論によって計算できる量です。GPSの精度を保つためにはこの時間のズレを補正する必要があり、そこで相対性理論が利用されています。

  • 光時計とはどのような思考実験ですか?

    -光時計は、光の速さを利用して1秒の時間を定義する思考実験です。光が一定の距離を移動するのにかかる時間を1秒とみなすという考え方です。この考え方が相対性理論の基本になっています。

  • 重力と時空のゆがみにはどのような関係がありますか?

    -一般相対性理論では、重力と時空のゆがみは等価な概念と考えられています。大質量の天体の周りでは時空がゆがみ、その影響で時間の流れが遅くなったりするとされています。

  • ニュートン力学と相対性理論の違いは何ですか?

    -ニュートン力学は絶対時間や絶対空間を前提としていますが、相対性理論では時間と空間が観測者によって相対的な概念であるとされています。この違いが両者の大きな違いです。

  • 相対性理論は実生活でどのように使われていますか?

    -先ほど説明したGPSのほか、原子力発電所内での時間同期や半導体製造での精密計測など、高精度を要求されるさまざまな場面で相対性理論の応用が行われています。

  • 時間の進みの遅れを実験で検出したことがあるのでしょうか?

    -はい、1960年に22.5mの塔の天地で時間のずれを計測した実験が行われ、時間の進みに1日210兆分の1秒の差が確認されています。ただ日常生活ではこの程度の差は認識できません。

  • インターステラーに出てくる科学のどの部分が事実で、どの部分がフィクションなのでしょうか?

    -インターステラーの科学アドバイザーによると、映画の前半部分はほぼ事実に基づいていますが、後半部分には相当なフィクションが含まれているとのこと。詳細はキップ・ソーン博士の書籍を参照してください。

Outlines

The video is abnormal, and we are working hard to fix it.
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Mindmap

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Keywords

💡相対性理論

アインシュタインが提唱した理論で、光の速度が一定であるということから時間と空間が相対的な概念であることを示した。この理論によって時間の流れが遅くなるということが説明される。

💡時間の遅れ

相対性理論から導かれる現象で、速度が大きいほど時間の流れが遅くなる。ビデオでは光時計の例などを挙げてこの現象が分かりやすく説明されている。

💡光時計

光の速度を利用して1秒を定義する時計のこと。これを使うことで速度による時間の遅れを説明している。

💡特殊相対性理論

速度に関する相対性理論。移動速度が大きいほど時間が遅くなることを表す。

💡一般相対性理論

重力場の強さに関する相対性理論。重力が大きいほど時間が遅くなることを表す。

💡GPS

全地球測位システム。精度を保つために相対性理論を用いて時計を補正している実例として紹介されている。

💡インターステラー

映画のタイトル。時空の歪みがテーマのSF映画であり、ビデオ全体の内容がこの映画の解説という形で構成されている。

💡ガルガンチュア

インターステラーに登場する架空の超大質量ブラックホール。スクリプト後半で引用され、時間の大きな遅れの原因となる設定であると説明されている。

💡ミラーの星

インターステラーに登場する架空の惑星。ガルガンチュアの近くに位置するため時空歪みが大きく、劇中でクルーが1時間滞在した結果として地球時間で数十年が経過するという設定になっていると解説されている。

💡ブレーンワールド仮説

重力を説明する仮説の1つとして紹介された。重力を高次元への空間の歪みとして理解する考え方。

Highlights

インターステラーは時間をダイナミックに描いた映画で、序盤では少女だったマーフが終盤で寿命間近の老女になっている

『時間のずれ』がインターステラーの時間感覚に大きく関係している

光の速さは誰から見ても一定で、その代わりに距離と時間が伸び縮みする相対性理論が提唱された

移動しているものから見ると、止まっているものの時間の進みが遅くなる「時間の遅れ」が起きる

重力とは空間の歪みであり、強い重力では時間の進みが遅くなる一般相対性理論がある

1960年の実験で22.5mの高さの差で時間の流れが0.000000002秒違うことが実証された

GPSの精度を保証するためには衛星の時計に相対性理論の影響を考慮しなければならない

インターステラーのブラックホールは太陽の1億倍の質量があり、近くの時空間が大きく歪んでいる設定

劇中のミラーの星では1時間で7年の時間の進みが遅れる状況が描かれている

最後の重力ターンで更に時間が相対的に遅れ、地球からは何十年も時間が経過した設定

科学担当のキップソーン氏によると、ミラーの星の設定は現実的な範囲内だがかなり極端

インターステラーの科学解説本 The Science of Interstellar が英語で出版されている

日本語版のインターステラー メイキングブックが2021年3月に発売予定

インターステラーの科学的設定について真実、科学的に想定しうること、根拠のないことの3つに分類され解説されている

インターステラーのさらなる科学的解説を今後の動画で扱っていく予定

Transcripts

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今回は2014年公開の超大作SF映画『インターステラー』で

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印象的に描かれる表現である

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『時間の進みが遅れる』という現象について

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お話ししていきたいと思います

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インターステラーは

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クリストファー・ノーラン監督が制作したSF映画で

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フィクションでありながら

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そのストーリーや映像は

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現代物理学に寄り添う形で作られていて

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そういった基礎知識が必要とされる映画です

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もちろん

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「そんな難しい事解らないよ」という方でも

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問題なく楽しめるのですが

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真に深くこの映画を味わうためには

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ある程度の知識があった方がいいですよ

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ということです

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基本的に

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本編を鑑賞済みの前提でお話していくので

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インターステラーをまだご覧になったことがないという方は

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私が以前アップロードした動画に

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鑑賞ポイントをまとめているので

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必ず

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まずそちらをご覧になってから

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映画本編をご覧になって

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そしてこの動画に戻ってきてください

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インターステラーは

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時間をいまだかつてなくダイナミックに描いた映画で

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それは映画の序盤では少女だったマーフが終盤で

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寿命間近の老女になっているということで

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知覚的に表現されます

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こんな展開になったのは

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映画の中でも登場するワードである

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『時間のずれ』が関係してきます

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さてここで5秒数えてみましょう

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さあ5秒経ちましたね

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皆さんも5秒経ったでしょうか

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私の5秒とあなたの5秒は

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果たして同じ5秒でしょうか

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かつて

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アイザック・ニュートンという物理学者がいました

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彼はモノの運動を数式で表す

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『ニュートン力学』というものを構築しました

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これは偉大な功績です

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『あるモノをどの方向にどんな速さで投げたか』

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の情報があれば

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このニュートン力学を使ってそれがどこに落下するかを

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非常に正確に予測することができます

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このニュートン力学は勿論その辺のモノだけではなく

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宇宙に浮かぶ星々の運動すらを予測することができます

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このニュートン力学は

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『絶対時間』と『絶対空間』を前提としたものでした

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『絶対』というのは他と比較しないという意味です

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私の5秒とあなたの5秒は完全に等しいもの

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私の1メートルとあなたの1メートルは

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完全に等しいものです

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この考え方はごくごく当たり前のように思えます

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当たり前すぎて

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そんなことを考えるような事すら無いかもしれませんが

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もし私の理解する5秒が

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あなたの理解する10秒と同じなのであれば

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もはや時計は意味を成さなくなってしまいます

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私が1メートルだと思っている長さが

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あなたにとって10メートルなら

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もはや定規は意味を成さなくなります

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このニュートン力学三つの法則があって

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その1つ目の法則を『慣性の法則』と呼びます

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この法則はガリレオ・ガリレイの『相対性原理』

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として理解されています

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先程『絶対』という言葉を使いました

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『絶対』の対の単語として『相対』という単語があります

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『相対』というのは

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他との比較があって初めて成立します

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例えばテストの点数が80点以上の人は合格ですよ

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という考え方は

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他の人物が何点を取ろうと関係なく

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自分が80点取れば合格するので

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絶対的な評価と言えますし

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テストの点数を上から並べて上位3人が合格

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というような考え方は

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他の人物との比較で初めて成立するので

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相対的な評価と言えます

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この『相対性原理』を一言で言うと

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全ての慣性系で同じ運動法則が成立するという原理です

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分かりやすくするためにこんな場面を想像しましょう

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あなたがボールを真下にあるバケツに落とす

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という遊びをしていたとします

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そしてあなたは電車に乗ります

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電車は常にずっと時速100kmで動いていたとしましょう

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そこであなたは同じ遊びをします

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ボールから手を話すとどうなるでしょうか

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100kmで動いているのだから

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ボールは手を離した瞬間

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100kmで飛んでいってしまうんでしょうか

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そうはならないですよね

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ボールはちゃんとバケツに入ります

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つまり

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自分の周りが止まっていようが動いていようが

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そこで起きる物理現象は

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全て同じ法則が適用できるということです

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時は経ち19世紀になりました

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ここで科学者は『光の速度』という問題にぶち当たります

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『速度』というものは

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相対的なものであることは分かっていました

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例えば時速100kmで走る車Aの後ろから

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時速120kmの車Bが追い抜いてきたとします

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これをAから見ると

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Bは時速20kmで走ってくるように見えます

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反対に向こうから

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時速20kmでこちらに向かってくる

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車CはAから見ると

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時速120kmで

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こっちに向かってくるように見えます

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速度というのは相対的なものです

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それは大体感覚的に分かりますよね

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じゃあ光だって同じだよねって思う訳ですね

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それは思いますよ

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という訳で

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光の相対速度を図るための実験

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『マイケルソン・モーリーの実験』が行われました

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結果はどうだったかと言うと

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どこから見ても光の速度は変わらない

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という結果になってしまいました

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一般的な感覚に反しています

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意味不明です

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光の謎は深まるばかりです

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さてここで

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アルベルト・アインシュタインの登場です

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彼はこの

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『マイケルソン・モーリーの実験』の実験結果と

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ガリレオ・ガリレイの相対性原理を組み合わせました

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全ての慣性系で同じ運動法則が成立するということは

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全ての慣性系で光の速度は同じなんじゃないですか

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ということです

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これがいわゆる『光速度不変の原理』です

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どこから見ても光の速さは一定って

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よくよく考えたらかなり不思議ですよね

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でも実験したらそうだったので

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一旦受け入れましょう

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この事実を受け入れると凄いことが判明します

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距離=速さ×時間

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この関係式見たことありますよね

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小学校の算数の授業でも出てきます

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『はじき』の図なんてのを小学生の時に習ったりしますね

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ここで速さを『光の速さC』だとすると

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これは一定だということなので

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こんな風に式変形できます

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速さ=距離÷時間

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これ普通

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速さはその進んだ距離とかかった時間によって決まります

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でも光の速さはどこから見ても

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誰から見ても変わらない

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『光速度不変の原理』が成り立つのであれば

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その代わりに距離と時間の方が変わるしかない訳です

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つまり『空間と時間は伸び縮みするんじゃないですか?』

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という考え方になる訳です

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ニュートンの

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『絶対時間』と『絶対空間』の前提は崩壊しました

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これを『相対性理論』と呼びます

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ここでやっとこの動画のタイトル

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『時間の遅れ』につながるわけですね

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光の速度は誰が見ても変化することはないという

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『光速度不変の原理』が時間の遅れにつながる

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とても有名な例を見てみましょう

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『光時計』と呼ばれる思考実験です

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ここに筒とライトとセンサーがあります

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ライトをオンにすると光が筒を進み

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センサーにあたって検知されるとしましょう

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光の速度は秒速30万kmです

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ここでは話を分かりやすくするために

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筒の長さを

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30万kmだとしましょう

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もちろんこれは極端な例であって

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実際にそんなクソデカ筒を作れるかどうか

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というのは

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一旦置いておきます

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するとライトオンからセンサーに光が当たるまで

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ちょうど1秒ということになります

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捉え方を変えると

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ライトをオンにして

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センサーに光が当たるまでにかかった時間を1秒とします

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とも言えます

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これは光を基準にした考え方です

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1秒で到達するのではなくて

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到達するまでの時間を1秒としようね

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ということです

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『光速度不変の原理』があるから言えることですね

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さてこの『光時計』を2個用意して

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1つを地球に

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もう1つをロケットに設置しましょう

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ロケットは移動しています

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さて1秒を測ってみましょう

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あれ

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地球では1秒経ちましたが

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ロケットは1秒経ってませんね

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何でこんなことが起こるかというと

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光の速度はどこから見ても一定だからです

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ロケットが移動しているせいで

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『光』は同じだけ進みましたが

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ロケットはまだセンサーまでたどり着きません

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光の軌跡が斜めに見えるからですね

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先ほどのお話のように

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時間を定義付けるのは『光』です

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すなわち『光』がまだセンサに到達していない

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ということは

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まだ1秒経っていないということになる訳です

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これが動いている者による時間の遅れで

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ちなみにロケットに乗っている側の主観では

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自分のロケット内の光時計は

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ちゃんと一秒でセンサーに到達しています

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もっと言うと

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このロケットから地球を眺めると

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逆にロケットが止まっていて地球が移動している

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とも取れるので

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逆に地球の時間が遅れていると捉えることができます

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時間の遅れはお互いさまな訳です

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だから『相対性理論』な訳ですが

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ここではややこしくなるのでこれ以上は話しません

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結論として

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移動しているものは

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止まっているものと比較して時間の進みが遅くなる

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という事実です

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これは『特殊相対性理論』として知られています

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次にもう1つの時間の遅れについてお話ししましょう

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インターステラーの映画の中では

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こちらの方が重大です

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それが『重力』です

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重力と聞いて

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イメージするのは何でしょうか

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最も身近なのは

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モノが落ちるという現象ですね

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落としちゃいけないものを落としてしまった時

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「重力にしてやられた」

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と思いの方も多いのではないでしょうか

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この『重力』

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当然我々は

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地球の重力を大いに受けているわけですが

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実は重力というものは完全に理解されていません

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物理学では

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この世には大きく分けて4つの力がある

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とされています

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『強い核力』『弱い核力』『電磁気力』『重力』の四つです

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このうち『重力』以外の3つは

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ある程度理解が進んでいますが

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『重力』だけは全然理解が進んでいません

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この4つの力を1つの数式で表わそうと

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世界中の物理学者が日々研究を重ねている訳ですね

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実は劇中でマーフが完成させた理論が

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この4つの力を1つの数式でまとめた理論です

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この話は別動画でしていきたいと思っています

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話を戻すと

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『重力』というのはあまり理解されていません

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アインシュタインは

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この『重力』を空間の歪みだと理解しました

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これもよくある説明例を引用したいと思います

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ここでこの布が宇宙空間だとしましょう

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そこに星を置きます

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すると空間が歪みます

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この状態で

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別のモノが近づいてくると

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歪みに沿ってお互いに引き合いぶつかります

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これが重力の正体だというわけですね

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星の周りを星が公転するような現象も

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これで説明できるわけです

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今の例では宇宙を平面布の平面としていますが

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実際は空間です

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今の例では平面は下方向に歪みましたが

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実際の空間は

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こっちの方向に歪みのでしょうか

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それは

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我々が感知できない

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高次元の方向

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いわゆる5次元目の方向に歪みのではないですか

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というのが

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『ブレーンワールド仮説』と呼ばれる考え方です

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インターステラーの劇中で

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五次元という言葉が出るのも

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この『ブレーンワールド仮説』によります

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この話もまた別動画でしていきたいと思います

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さて

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『重力とは空間のひずみである』

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という事実が分かりました

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この

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重力と時間

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何の関係があるのでしょうか

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これも

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空間を進む光をイメージすれば見えてきます

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さて

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何もない宇宙空間を光が移動します

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ここからここが30万kmだとしましょう

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つまり

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ここからここに進むまでの時間が1秒です

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ここに

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大きい質量の星がやってきました

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空間が歪みます

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さて

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同じところからスタートしてみましょう

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あれ

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ひずみがない空間ではもう到着したのに

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ひずみがある空間ではまだ到着しませんね

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これも

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さっきの『光時計』の例と同様に考えれば

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ひずんだ空間は時間の進みが遅くなると言えそうですね

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なので重力というのは

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空間そして時間の歪みと捉えることができます

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『時間』と『空間』を合わせて『時空』と呼んだりしますね

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つまり重力の正体は時空のひずみで

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強い重力環境では時間の進みが遅くなるということです

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これが『一般相対性理論』と呼ばれるものですね

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さあ

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アインシュタインの『相対性理論』

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ある程度分かっていただけたでしょうか

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アインシュタインは先程私がしてきた話を

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数式できちんと表現しているわけですね

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『相対性理論』から導かれる時間の遅れという現象は

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何も机上の空論ではなくて

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実際に我々の周りでも起きていること

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というのが興味深いですね

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実際に

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時間の遅れを検出した実験を

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1つ挙げてみましょう

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1960年に

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パウンドとレブカによって行われた実験で

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高さ22.5mの塔のてっぺんと

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その地下室との間の時間の差を測定したものです

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結果として

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時間は毎日210兆の1秒ずつ

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てっぺんよりも地下室の方が

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ゆっくりと流れることが分かりました

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たった22mの高さの差で

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時間が実際に流れ方が違うんですよね

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とはいえ

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そんな

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0.00000何秒みたいな

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1秒にも満たないレベルでのズレなんか

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まあ我々気付かないですよね

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そもそもこんなちょっとのズレなんか考える必要ある?

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なんてお思いの方もいるかもしれません

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ここで有名な例ですが

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この『相対性理論』の考え方がないと

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この世に存在しない技術を1つ挙げておきましょう

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それがGPSです

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皆さんもGPS1度は使ったことありますよね

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自分が地球上でどの位置にいるか分かる仕組みです

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スマホの地図アプリとかカーナビとか

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自分の居場所がパッと分かりますよね

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最近の女子高生は

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友達と自分の位置を共有するアプリを使って

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待ち合わせとかをしているらしいです

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このGPS仕組みをざっくり説明すると

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まず現在地球の上空2万kmあたりに

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GPS衛星という人工衛星が30個ぐらい回っています

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そこからGPS衛星は

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自分がどこを通っているのかというのと

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現在時刻の情報を

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常に地球に向けて送信し続けています

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このGPS衛星に搭載されている時計は

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世界一正確な原子時計と呼ばれる時計で

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30万年に1秒しか狂わないような

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超正確な時計です

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そしてGPS衛星からの電波をスマホが受信します

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電波は光の速度で届くので

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スマホが電波を受け取った時間と

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その電波に乗っていたGPS衛星が

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電波を発射した時間の差を取れば

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スマホとGPS衛星との距離が分かります

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距離が分かるということは

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地球上に自分がいるであろう場所の候補が

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円として書けます

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GPS衛星は複数飛んでいるので

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それぞれ別の衛星で

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同じように距離を計算すると円が複数書けます

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3つ以上の円が書ければ

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自分のいる場所は

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一点に特定することができます

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こうやって自分の場所を特定するわけですね

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ここまでの仕組みを見て分かるように

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GPSの精度を保証するためには

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GPS衛星が

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正確な現在時刻を電波に乗せる必要がある

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というのは分かっていただけると思います

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ところがこのGPS衛星

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地球から2万kmくらい上空を

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秒速3.8kmというかなりの速さで飛んでいるので

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早く移動することによる『特殊相対性理論』の時間の遅れと

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地上よりも受ける重力が小さいことによる『一般相対性理論』の

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時間の進みの影響が出てきます

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結果として

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1日38マイクロ秒GPS衛星は時間が地上より遅く進みます

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なので現在空を飛んでいるGPS衛星はそれを考慮して

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毎日時計を修正しているんですね

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もし『相対性理論』を知らないまま

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GPS衛星を飛ばしていたら

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日々自分の位置がマップからずれていって

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最終的に使い物にならなくなります

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毎日友達と待ち合わせしている女子高生は

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『相対性理論』のおかげで

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友達と会うことができるわけですね

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さて

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やっとインターステラーの話に戻ってきました

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インターステラーの劇中では

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巨大質量ブラックホールのガルガンチュアが登場します

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ガルガンチュアは太陽の1億倍の質量を持っているので

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相当時空がひずんでいます

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そんなところでクーパーがウロチョロしたために

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時間がだいぶ遅れたんですね

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この

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時空のひずみは

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ガルガンチュアに近づくにつれて大きくなっていきます

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劇中でかなりの時間の消費をしてしまった

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ミラーの星は

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このガルガンチュアにかなり近いところにありました

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なのでミラーの星がいる環境は

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ガルガンチュアのせいで

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かなり時空が沈んでいたという訳ですね

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そんなところで

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1時間滞在してしまったために

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地球の時間から見ると

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相対的に何10年も経過してしまった

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ということになります

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劇中の最後の方

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燃料がなくなった

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エンデュランス号を

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無理やりエドマンズの星に行かせるために

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ガルガンチュアの重力を使って

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重力ターンを行いました

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この時も当然重力ターンを行うわけなので

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ガルガンチュアによる強烈な時空のひずみの中に

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突入していったわけですね

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これのおかげで

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更に時間が地球と相対的に遅れてしまった

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という訳です

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ちなみに

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映画の科学部分を担当した物理学キップソーン氏が書いた本

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『ザ・サイエンスオブ・インターステラ』によると

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1時間で7年分の時間の遅れが起こるような状況が欲しいと

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クリストファー・ノーラン監督からお願いされて

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それはあり得ないと

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1回突っ張ねたらしいんですが

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そこはノーランが譲らなかったようで

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結構キワキワな条件で

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ミラーの星が設定されました

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なので

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1時間で7年経過するような

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極端な時間の遅れが起きる状態というのは

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かなり極端な設定なわけですね

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ただそこは映画なので

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やっぱりドラマチックな展開にしないといけない訳です

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というノーランのムチャ振りによるリクエストによって

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これは実際の図の引用ですが

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結構キワキワな条件で

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ミラーの星は設定されました

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ミラーの星はここにあります

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ブラックホールに激近の設定ですね

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ただし物理学的には

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破綻はしていないということだそうです

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この『ザ・サイエンス・オブ・インターステラ』

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電子書籍のAmazon kindle版が手に入るので

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是非読んでみてはいかがでしょうか

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この本では

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映画での描写について

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科学的な真実

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科学的に想定されること

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根拠のない憶測の3 つで

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分類分けしながら説明されています

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ただし英語ですのでその辺はご注意ください

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概要欄にリンクを貼っておきます

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またインターステラのメイキングブックというのがありまして

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これの日本語版が

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2021年3月26日に発売されるらしいです

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限定2000部らしいので

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欲しい方はお早めに購入してはいかがでしょうか

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これも概要欄にリンクを貼っておきます

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ちなみに私も予約しています

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というわけで

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今回はインターステラー解説として

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なぜ時間が遅れるのかについて

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解説していきました

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まあほとんど

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『相対性理論』の授業みたいになってしまったんですが

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楽しんでいただけたでしょうか

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今後もまだまだ

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インターステラの解説をしていきたいと思いますので

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チャンネル登録をお願いいたします

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また今後は

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他の映画の解説や考察

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映像やCGの話やガジェットレビュー

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自作PC講座などの話をしていきたいと思いますので

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よろしくお願いいたします

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軽めの動画は

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サブチャンネルにもあげていこうと思いますので

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登録お願いします

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それでは次回でお会いしましょう

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ご視聴ありがとうございました