フェミニズムで民主主義は完成する 男性のためのフェミニズム入門② Progressive! Channel 中野晃一
Summary
TLDRこのビデオスクリプトでは、フェミニズムの第1波を中心として、男性と女性が平等な市民として扱われるべきという思想を紹介しています。西洋思想史における心身二元論の影響で、女性は理性を持たない存在として政治から排除されていたが、メアリ・ウォルストンクラフトらが教育の重要性を主張し、女性を解放する運動を牽引しました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、女性参政権をめぐる闘いが本格化し、世界中で女性が政治に参加する権利を獲得するようになりました。日本の市川房枝も国際的なフェミニズムの流れを受けて活躍し、日本の女性参政権運動にも貢献しました。現代においても、フェミニズムは民主主義を完璧にすると示し、男性政治からの解放が日本の市民革命の実現に不可欠であると語っています。
Takeaways
- 📚 このシリーズは、フェミニズムについて学び、行動につなげようとする男性向けに政治の基本から解説している。
- 🌐 男尊女卑のルーツは古代ギリシャの心身二元論にあり、女性は精神世界の下位に置かれた。
- 🚫 市民革命の時代にも女性は有産階級の男性と同じ市民としてみなされず、参政権を奪われていた。
- 🌊 18世紀末から始まった第1波のフェミニズムは、女性が理性を発達させ自由になるために教育の必要性を主張した。
- 📖 メアリ・ウォルストンクラフトは「女性の権利の擁護」で、女性に平等な教育機会を与えることで解放されると論じた。
- 👶 ウォルストンクラフトの娘メアリ・シェリーは、後で「フランケンシュタイン」の作者として知られる。
- 🗳️ 第1波フェミニズムは、女性参政権をめぐる戦いが19世紀末から20世紀前半にかけて結実し始めた。
- 🔄 ウォルストンクラフトの主張は、積極的自由のニューリベラリズムの自由論に先取りした。
- 🌟 ハリエット・テイラーとジョン・スチュアート・ミルは、女性に対等の教育と権利を与えることが社会の進歩にも資すると主張した。
- 🇺🇸 アメリカの第1波フェミニズムは、奴隷解放運動と重なり、性や肌の色による差別に対する不正義に抗議した。
- 🏛️ スーザン・B・アンソニーは、女性が代表を選べないまま課税されていることの理不尽さを訴えた。
- 🌍 第1波フェミニズムは国際的な思想や運動として展開し、男性と対等の公民権、参政権を獲得することが主要ターゲットだった。
- 🎯 フェミニズムは民主主義を完成させるものであり、男性ばかりの政治から解放されることが重要である。
Q & A
このシリーズの目的は何ですか?
-このシリーズの目的は、フェミニズムについて学び、男性が家父長制を変えることを考える男性と共に行動につなげていくことです。
古代ギリシャ時代からの心身二元論とは何を意味していますか?
-心身二元論とは、心(精神)と身体を別々の存在として扱い、女性が身体的世界に生きる存在として、精神的世界の下位に位置づけられたことを指します。
メアリ・ウォルストンクラフトが何を主張したことにより、フェミニズムの先駆者として知られていますか?
-メアリ・ウォルストンクラフトは、1792年に「女性の権利の擁護」で女性の教育の重要性を主張し、女性が男性と同じ理性を発達させることができると論じ、フェミニズムの先駆者として知られています。
メアリ・シェリーの母親メアリ・ウォルストンクラフトの死因は何ですか?
-メアリ・ウォルストンクラフトは、二人目の娘を出産した直後に亡くなりました。
「フランケンシュタイン」という小説のテーマは何ですか?
-「フランケンシュタイン」は、男性科学者フランケンシュタインが一人で人間を作り、再生産しようとして怪物を作り出してしまうというフェミニズム的テーマを持っています。
19世紀末から20世紀前半にかけて、第1波フェミニズムが盛んになった理由は何ですか?
-19世紀末から20世紀前半にかけて、第1波フェミニズムが盛んになった理由は、リベラル主義の進歩と、政府の介入によって基本的な生活条件を満たし、人々が自由を勝ち取るために必要なニューリベラルリズムの自由論の影響によるものです。
ハリエット・テイラーが「女性の参政権」で何を報告しましたか?
-ハリエット・テイラーは「女性の参政権」で、アメリカ各地で盛んに行われていた女性の権利集会について報告しました。
ジョン・スチュアート・ミルはなぜ女性参政権論者でありましたか?
-ジョン・スチュアート・ミルは、パートナーであるハリエット・テイラーの影響を受け、女性に男性と対等の教育を与え、対等の権利や自由を与えることが社会や男性の進歩にも資するという功利主義的な議論を展開し、女性参政権論者でありました。
アメリカにおける第1波フェミニズムはどのように展開しましたか?
-アメリカにおける第1波フェミニズムは、奴隷解放運動と大きく重なり、性や肌の色による差別を廃止したはずなのに、実際には横行している貴族制に対する不正義に対する怒りから展開しました。
エリザベス・キャディ・スタントンが主張した「代表なくして課税なし」の原則とは何ですか?
-エリザベス・キャディ・スタントンが主張した「代表なくして課税なし」の原則は、女性が代表を選べないまま課税されていることの理不尽さを指摘し、自分たちが合意を与えていない法律によって縛られることの不条理を糾弾するものです。
第1波フェミニズムのターゲットは何でしたか?
-第1波フェミニズムのターゲットは、男性と対等の公民権、参政権を獲得することでした。
日本で女性参政権が実現されたのはいつですか?
-日本で女性参政権が実現されたのは、戦後の1945年です。
市川房枝がアメリカで働いた期間は何年ですか?
-市川房枝がアメリカで働いた期間は、1921年から約3年ほどです。
フェミニズムで民主主義はどのように完成すると思いますか?
-フェミニズムで民主主義は、男性だけでなく女性も政治に参加し、平等な権利を持つことで、より多様性があり、より包括的な視点をもった政治が実現されると言えます。
Outlines
📚 フェミニズムの歴史的背景と第1波フェミニズムの先駆者たち
この動画では、家父長制を変えたいと願う男性がフェミニズムについて学ぶシリーズの一環として、フェミニズムの歴史的背景について解説します。古代ギリシャの心身二元論から始まり、女性が公共の善を追求する政治に参加する知性を持たない存在として扱われてきたことを指摘し、その後の市民革命の時代においても女性の権利が否定され続けた事実を述べます。18世紀末の第1波フェミニズムの先駆者、メアリ・ウォルストンクラフトが女性の教育の重要性を訴えたことや、彼女の娘であるメアリ・シェリーの小説『フランケンシュタイン』が強烈なフェミニズムのテーマを持っていることも紹介します。また、第1波フェミニズムの歩みが平坦でなかったことや、リベラリズムの発展とフェミニズムの関係についても解説します。
🗽 第1波フェミニズムと奴隷解放運動の共通点
第1波フェミニズムは、奴隷解放運動と密接に関連し、専制的な支配に対する怒りから生まれたものでした。アメリカではエリザベス・キャディ・スタントンやスーザン・B・アンソニーなどが女性の権利を訴え、女性参政権を求める運動を展開しました。特に、ニューヨーク州セネカフォールズでの女性の権利集会で採択された宣言や、アンソニーが1872年の大統領選挙で投票した際の裁判でのスピーチが有名です。これらの運動は、より広範なリベラリズムの中で、国際的な思想や運動として展開し、公民権や参政権の獲得を主たる目標としていました。また、日本の市川房枝がアメリカでの経験を通じて、日本の第1波フェミニズムに影響を与えたことも紹介されます。女性がいない民主主義は成立しないというメッセージを強調し、フェミニズムが民主主義を完成させる重要な要素であることを訴えます。
Mindmap
Keywords
💡フェミニズム
💡心身二元論
💡メアリ・ウォルストンクラフト
💡教育の平等
💡女性参政権
💡リベラル
💡ハリーエット・テイラー
💡スーザン・B・アンソニー
💡国際的なフェミニズム
💡市民革命
Highlights
プログレッシブチャンネルが政治に関するシリーズを提供しており、フェミニズムの基礎から学び、行動につなげていくことを目指している。
男尊女卑のルーツは古代ギリシャの心身二元論にあり、女性が精神世界の下位に置かれる。
女性は知性を持たない存在として、有産階級の男性と対等な市民とはみなされず、参政権を奪われていた。
18世紀末から第1波のフェミニズムが始まり、女性は教育を通じて理性を発達させ、自由になることを求めた。
メアリ・ウォルストンクラフトは「女性の権利の擁護」で女性の教育の重要性を主張し、無知を克服して女性を解放する必要性を説いた。
ウォルストンクラフトの娘メアリ・シェリーは「フランケンシュタイン」の作者として知られる。
「フランケンシュタイン」は男性科学者が女性なしで人間の再生産を試み、怪物を生み出したというフェミニズム小説である。
19世紀末から20世紀前半にかけて、女性参政権の戦いが結実し始めた。
ウォルストンクラフトはリベラルの先駆者であり、政府の介入による積極的自由の重要性を主張した。
ハリエット・テイラーは「女性の参政権」でアメリカの女性権利集会について報告し、功利主義的な議論を展開した。
ジョン・スチュアート・ミルはテイラーの影響を受け、女性参政権論者として時代に先駆けた。
アメリカの第1波フェミニズムは奴隷解放運動と重なり、性や肌の色による差別の不正義に抗議した。
エリザベス・キャディ・スタントンは、男女平等の創造主による権利を主張し、男性による女性の支配を非難した。
スーザン・B・アンソニーは、女性が代表を選べないまま課税されていることの理不尽さを訴えた。
第1波フェミニズムは国際的な思想や運動として展開し、男性と対等の公民権、参政権を獲得することが主たるターゲットだった。
女性参政権が実現された国々は、ニュージーランドが1893年、全米1920年、イギリス1928年と異なる。
日本の第1波フェミニズムは戦後の1945年に実現し、国際的なフェミニズムの流れと連動して展開された。
フェミニズムは民主主義を完成させるものであり、男性ばかりの政治は民主主義とは言えない。
Transcripts
[音楽] こんにちはプログレッシブチャンネルです
基本的なところから政治について解説をし ています
このシリーズは 家父長制を変えたい、自分も変わりたいと思って
いる男性が、ともにフェミニズムについて 学び考え行動につなげていこうとするもの
です 前回は男尊女卑のルーツが西洋思想史的に
は 古代ギリシャ以来の心身二元論にあり、その
構図の中で女性は 再生産活動を担うものとして
精神的世界の下位に置かれた 身体的世界に生き、公共の善を追求する政治
に 参加する知性を持たない存在として
断罪され、生産活動を担う労働者や 奴隷などとともに、有産階級の男性と対等な
市民とはみなされず、参政権を奪われ続けて いたことを指摘しました
こうした差別は、アメリカ独立戦争や フランス革命などの市民革命の時代を
迎えてもなお変わらずに、維持されていたの です
人は生まれながらにして等しく自由だと 高らかに宣言されたはずなのに、人口の半数
を占める女性がそうした自由な人間の中に 含まれていなかったわけですから
べらぼうな話です。これに立ち向かい、変えて いったのが、18世紀末から1世紀以上続く
もう一つの革命として 展開された第1波のフェミニズムです
女性はその身体性によって規定される、 理性の発達していない存在として
差別されたことを考えると当然の帰結とも 言えますが、第1波フェミニズムの先駆者
として知られる 英国のメアリ・ウォルストンクラフトが
フランス革命最中の1792年に刊行した 「女性の権利の擁護」で強調したのは、女性の
教育で、 教育により女性が
理性を発達させ、自由になることの重要性 でした
ウォルストンクラフトは、女性は生まれ ながらにして男性に劣っているのではなく
無知のまま放置されていることによって 主人である男性に媚びる愛玩犬のような
つまらない 従属した存在になってるんだと考え、女性に
も平等な教育機会を与える改革を行うこと で、女性も自らを解放して、そうして初めて
男性並みの美徳を身につけると 論じました
ちなみにウォルストンクラフトは、「女性の権利の 擁護」の執筆やフランス革命を実際にパリに
渡って間近に体験したりしたのち、そのわずか 数年後に二人目の娘を出産した直後に
亡くなり、 波乱万丈の人生を閉じています。この時
生まれた娘が後にゴシック小説 「フランケンシュタイン」の作者として知られる
メアリ・シェリーです。ところで 「フランケンシュタイン」はご存知の通り
男性科学者フランケンシュタインが一人で、 つまり女性なしで、人間を作ろう、つまり
再生産しようとして 怪物を作ってしまったという話ですから
かなり強烈なフェミニズム小説ですね。 さて、フランス革命1回で
民主主義になりました、めでたし、めでたし、と は行かなかったように、第1波フェミニズム
の歩みもまた、平坦なものではありません でした
実際のところ、女性参政権をめぐる戦いが ようやく
結実し始めるのは、ウォルストンクラフトから 1世紀あまり経った19世紀末から20世紀
前半にかけてのことです そういう意味でウォルストンクラフトの
フェミニストとしての先駆性もすごいですが
実はリベラルとしての先駆性も大変な ものがあります
以前に自由放任の消極的自由を掲げた 古典的リベラリズムから
むしろ政府が介入して最低限の衣食住や 基礎的な教育を満たして初めて本当に人は
自分の生きたいように生きる自由を 勝ち取れるとして
積極的自由を唱えるニューリベラリズム への転換が、19世紀後半頃からあったこと
を話しましたが 男性と平等の教育機会を女性に与えること
で女性は初めて解放されて自由になると いう
議論は、まさに レッセフェールの古典的リベラリズムでは
なく ニューリベラリズムの自由論を先取りする
ものであったのです。言い方を変えれば リベラリズムが一世紀たってようやく
ウォルストンクラフトに追いついたこと によって、第1波フェニズムは19世紀後半
から20世紀前半にかけて 隆盛を迎えるに至ったとも言えるでしょう
前回触れた英国のハリエット・テイラーは 1851年に発表した「女性の参政権」の中で
この頃から盛んにアメリカ各地で開かれる ようになっていた女性の権利集会について
も報告しています。テイラーは 有名な功利主義哲学者
ジョン・スチュアート・ミルのパートナーでもあり 女性に男性と対等の教育を与え、対等の
権利や自由を与えることは、それ自体で重要 であるだけでなく、社会や男性の進歩のため
にも資するという 功利主義的な議論も展開しています。
ミル自身がテイラーの知性の多大な影響を受け てきたこともあり、ミルも当時のイギリスの
エリート男性としては時代に先駆けた女性 参政権論者でした。さてアメリカにおける
第1波フェミニズムは 奴隷解放運動と大きく重なる形で展開し
ました。そのロジックの基礎にあるのは、王や 貴族による専制的な支配を廃止したはずなのに
いまだに性や肌の色で差別する貴族制が 実際には横行しているのは、どうした
ことかという不正義に対する怒りです。 なので
女性参政権運動や奴隷解放運動の 論法は、市民革命を支えた
論法をなぞり、女性や黒人奴隷にも適用す べきことを主張するものでした。例えば
アメリカ・ニューヨークの 女性参政権運動家で
奴隷解放運動家でもあった エリザベス・キャディ・スタントンは1848年に
初めてアメリカで開催された
ニューヨーク州セネカフォールズの女性の 権利集会で採択された
宣言を執筆した際に、全ての男性も女性も 生まれながらにして平等に作られ
譲ることのできない権利を創造主によって 与えられていること、そしてその中に、生命、
自由、幸福を追求する権利があり、 これらを守る
ために政府が作られ、その権力は支配を 受ける人々の合意に基づくことをアメリカ
独立宣言よろしく確認した上で 男性による女性の支配が
ジョン・ロックがそれに対して革命権を行使 できると主張した、専制支配に該当すること
を明らかにしました。スタントンの盟友と なったスーザン・B・アンソニーもまた
1872年の大統領選挙で投票し、 違法として訴えられた裁判に際して、その
スピーチにおいて 「代表なくして課税なし」の原理に反して、女性
が代表を選べないまま 課税されていることの
理不尽さを訴え、自分たちが合意を与えて ない法律によって縛られ
罰せられることの不条理を糾弾しました。 さて少しまとめましょう。第1波の
フェミニズムは より広範なリベラリズムの中で
奴隷解放運動などとも絡み合う形で、国境を 超えた国際的な思想や運動として展開し
ました。その主たるターゲットは、男性と対等 の公民権、参政権を獲得することでした。実際
に女性参政権が実現するのは最も早かった ニュージーランドが1893年、全米では
1920年、イギリス女性全員は1928年、 でした。日本はさらに遅れて、戦後の1945年
ですが、日本を代表する女性参政権運動家 の一人であった市川房枝は1921年から
3年ほどアメリカで働いた経験を持ち、 やはり国際的なフェミニズムの流れと連動
する形で日本の第1波フェミニズムも展開し たと言えます。ところが今でも日本では、女性
のいない民主主義などと言われたりもし ます。ちょっとおかしいですよね?だって、女性
がいなかったら、民主主義のわけないじゃ ないですか。女性のいない民主主義なんてない
って、早くはもう18世紀末からわかって いることなのに。これは韓国の
ウィメンズ・マーチでもらったTシャツです。 Feminism perfects democracy
「フェミニズムで民主主義は完成する」 そりゃ、そうですよね
男性ばかりの政治、 家父長支配におさらばしないと、日本の市民
革命はいまだ実現しません。 さて男性政治におさらばするために
男性どうする? このえらい難しい課題について、次回考え
ます。チャンネル登録、高評価、シェア拡散を よろしくお願いします。
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